31話目
31話目
最初に見つけたのは狼だ。
3層のボスよりは小さいがそれでも大型犬程はある。それが群れていた。3匹や4匹じゃない、7匹だ。
俺が狼たちを見つけたころには、狼も俺の事を見つけていた。潜伏はちゃんと使っていたのだが、匂いでバレたのだろう。
狼たちはそこに居るはずなのに見えない俺に首をかしげているが、短剣を構え治すとしっかりと魔物の顔つきになった。潜伏が使えない事は良く分かったので、疾走と鋭利のプランへ変える。
まずは1匹だ。
疾走で一気に近づき、欲張らず1匹だけ殺す。匂いのせいで狼たちは俺の場所が分かっているみたいだが、速度で翻弄されついてこれていない。おかげで簡単に首を落とせた。
この様子なら、傷を負うこと無くたおせそうだ。
そう思った瞬間、狼は一斉に襲い掛かってきた。まるで壁のように隙間なく。
「・・・」
凄い連携をしていると思うが、怯むようなことではない。この程度なら2階のボスのほうが凄かった。
今度は鋭利を使い、一歩前へ近寄る。
近寄ったら攻撃されると思う事無かれ。この距離は俺も攻撃できる。
短剣を使っているせいでギリギリまで近付かなければいけないが、鋭利を使えるおかげで攻撃できる範囲に入れば必ず殺せると言い切れるほど殺傷性が高い。
短剣を振り払うように動かす。力はいらない。
そうすれば抵抗なく、狼たちの顔は半分になった。
「後はお前たちだけか」
「ぐるぅぅぅ!!!!」
襲い掛かってこなかった残り二匹は逃げたいのか、腰を引いていた。逃げたいのであれば逃げてくれればいいのだが、唸っているのを見るとそうはいかないだろう。早くかたずけてしまいたいので、疾走を使い走り抜けるように殺した。
あっけなかった。
3層のボスの時もおもったが、たとえ潜伏を見破られたとしてもその程度なのだろう。
「早くしなきゃな」
この程度なのであれば隠蔽が使えないとはいえ、走り抜けることはできるだろう。3層の時と同じように、疾走でボス部屋を見つける事にした。
☆
走って居れば狼たちを避けることが出来た。
疾走様様だと思う、しかし偶にだが10匹や9匹の群れがおり、その群れは数の多さで戦闘せざるをえない。
数のせいで通り抜けることが出来なかったのだ。
でも、数をこなせばわかったのだ。数を減らせば何とかなる事に。
そんなとき、丁度良く狼の様な影が見えた。何匹の群れかは分からないが、ひとまず腰にかけている予備のナイフをとりだし、思いっきり投げた。
この狼がいる様な? と言う距離でも、疾走の勢いを使えば届くんだ。
もちろんこれで殺せるとは思えないが、手負いでも減ったのと同じだ。
後は、通り過ぎると同時にナイフを回収すればいい。そう思い、走る。
そこで気付いた。
「魔物じゃねぇじゃん」
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