26話目
26話目
「こ、こちらへきます!! 急速に近付いてきてます!」
「なんだと?!」
潜伏を使った俺に対処できる奴は後方にいる男だけ。ならそいつを倒してしまえばこの戦いは楽勝になる。
その読みはあたっていたようで、男の周りにいた冒険者は一斉に前に出て武器を構えた。
「合図とともに攻撃をしろ!」
男は何とか対処しようとしている。
「……いま!!!!」
しかし俺にまで聞こえる声で合図を出してしまえば対処も簡単になってしまう。
合図を出されたとき疾走を使い、攻撃をよけ男の真ん前までいく。冒険者たちは無視してだ。
「ひい!!」
一瞬で目の前に現れたからか、男は腰が抜けてしまったようで座り込んでしまった。抵抗してこないようなので楽に首を飛ばさせてもらった。
こうなったらもう楽だ。
冒険者たちは男の悲鳴が聞こえてこちらを向くが、そこに見えるのは死体と俺の姿だ。
「やあ、はじめまして」
男を殺したことで潜伏が切れてしまっているが、俺には閃光の指輪がある。
すぐに起動させた。
「きゃ!」
まず殺すべきは女の冒険者だ。この距離で火の玉を出されては避けることができない。
急な光に対応ができなかった冒険者たちは妻鹿潰れてしまっており、武器を目の前でブンブンと振っているだけ。
一応潜伏を使いながら女の首に刃を立て飛ばす。
悲鳴もなく女は死んでしまい、冒険者たちは何が起きているかわからない。
もうこうなったら作業だ。
しかし、油断はしない。何が起きるかわからないのだから。
☆
足元の油分豊富な血を払いしゃがむ。
まだ若いのに足腰が痛くなっているのは戦いに身を置いているからだろう。
「あ゛~」
魔物ではない相手は疲れてしまう。今回は俺の対策を取っていたのだから、もしかしたら疲れるだけでは行かなかったかも知れない。そう考えるとさらに疲労がたまる。
体の疲労は取れずとも心の疲労を取ろうと、声を出してしまうのは生理現象にしても良い。
数分くらい何もせず放心するようにその場に座ってしまう。しかし前へ進むためこんな所で休んで入れない。足に力を入れ、殺した冒険者たちから良さそうなものを貰う。
まずは食料だ。
少年たちから獲った食料はもう無くなっており、忘れないように貰っておかなくてはならない。ダンジョンに来てから腹のヘリぐわいが早くなっているから一瞬で食べてしまうのだ。
だから、食料は全て貰って行く。
まだ3階層なのだから、先の事も見据えなければいけない。
そう思いながらも冒険者が持っていた食料の風を開けてしまうのは、先を見据えていると言えているのだろうか?
少年たちが持っていたスティック状の補給食の封を開けるとそこからは、カロリーメイトっぽい物が出てきた。見るからに口の水分を持っていきそうな見た目だ。高級な補給食に慣れてしまったから食べるのに抵抗があるが、餓死したくないので食べる事にした。
恐る恐る食べてみると、やはりと言うべきか不味い。
冒険者ように作られているからなのか、薬品のような匂いにタンパク質の独特な匂いがして今すぐ吐き出したい。少年たちが持っていた補給食がどれ程食べやすかったのかわかる。
「みず!みず!」
無理やり飲み込むため、足元に落ちている冒険者から水を拝借しごくごくと飲む。
「はぁはぁ……まっず!!」
よくこんなものを食べることが出来るなと、体が震えるがこれから俺もこの補給食を食べなければいけないんだと思うと、ポーチに詰めるのをやめたくなってくる。
「はぁ」
死にたくはないのでため息をつきながらでも、準備をするのであった。
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