23話目
23話目
閃光の指輪の効果は破格であった。3階層に来てから数が増え、盾や防具を着るようになっている魔物たちを1撃で倒すのは困難になってきたのだが、閃光の指輪を使えばそんな事は簡単に解決してしまう。
たとえ初撃を防がれたとしても、閃光の指輪を使えば周りにいる魔物には俺の姿が見えなくなり潜伏を再発動できるようになる。
流石は冒険者や権威者が欲してやまない【秘宝】と言うだけある。
稀に金持ちの間で取引があるというのも聞いた事が有るが、その殆どが1億二億はくだらない値段をつけられていた。だから相当の物だと思っていたが、これほどだとは。
「ありがたいね」
秘宝と言う名に負けず劣らずの効力を発揮しているところを見ると戦闘中であれ笑みが浮かぶ。
潜伏を使っている俺を見つけようと、必死に周りを見渡しているホブゴブリンに鋭利を使用した短剣で首を断ち切る。
その瞬間を狙ってか周りにいるホブゴブリンたちが、武器を振り上げ攻撃しようとしてくる。攻撃してくるのは予測済みだ。
俺は左に一歩移動すると、振り下ろされた武器達の先っぽが目の前を通過した。
短剣を使っていると間合いを意識せざるを得ないせいで、相手の攻撃をギリギリで避ける技術が身についたのだ。
ホブゴブリンたちの武器をよけきった事を確認すると、直ぐに前へ詰める。と、その時武器を温存していたやつがいたのか風切り音がきこえた。
攻撃の合間を抜けて前に詰めているせいで、後ろに下がることはできない。しかし攻撃を受ける事は考えられない……
とは言いつつも、俺は危機感なく笑っていた。
「あはははは!」
ネズミのような高い声がダンジョンの中を響き渡る。ホブゴブリンたちはそんな俺を見て、気色悪かったのか震えていた。
なぜ笑っているのか?
だって、この程度簡単に対処出来るようになったのだから。自分の成長を実感し、今までにない達成感を感じているからだ。
攻撃が来ているということが分かっていながら足を止めず……反対に速度を上げた。
「疾走」
なぜか足が速くなる能力を使い、まばたきすらさせぬ速さで首に短剣を斬り入れる。
スッと音が聞こえる様な剣さばきで首を跳ね飛ばし、俺を襲うはずであった攻撃を走り抜けるという荒業で対処した。
「よし、配置おっけ!」
と、ここでやっと準備が整った。
何の準備かって? 遊ぶための準備だ。
「閃光の指輪」
俺はホブゴブリン全員に当たる位置で閃光の指輪を使用した。ホブゴブリンたちはまた見えなくなったと慌てふためき、俺を探そうとしているがもうそんな時間はない。
「ほい、ゴブリンの串刺し!」
ホブゴブリンたちは丁度横並びになっており、俺はそれの頭部を狙って短剣を刺すように攻撃した。
バキ、グチャ
まるで団子のように短剣に頭を連なって刺すことが出来た。
「いや~、慣れたもんだね」
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