21話目
21話目
倒した余韻に酔いしれ、立ち尽くしていると目の前に宝箱が突然現れた。
一階層のボスを倒したときと同じようにだ。
その時は謎のカードが出てきたんだよな。触るまでは何も書いていなかったが、触った途端俺が何故か使える能力の説明が書かれだしたのはさすがに驚いた。
……そういえば!
さっきピコン! と音がなっていたな。
新しい能力をゲットしたのかもしれない。
ポーチの中を漁り、入っているはずのカードを取り出す。中には食料がパンパンに入っているせいで、みつかりずらいがひっくり返したら直ぐに出てきた。
散乱している食料の包装を剥ぎ取り口に入れながら、カードを見てみる。
そこには今まで書かれていた事の他にもう一つ知らない事が書かれていた。
「早く走ることが出来る? へーいいじゃねえか」
能力は単純明快。
早く走ることが出来るだけ。分かりやすく、使いやすいのだが……どれ程早く走る事が出来るか書いてない。
説明にしては不十分に感じるが、それでもいいや。
今までよりも早く走れており、その速さは使う前と使う後で倒せる魔物のレベルが大きく違ってくる。
分からない事は多いが、それだけで十分だ。
「んで? 宝箱だ」
能力の事に興味が無くなった俺は目の前にある宝箱に感心がむいた。
どんなものが入っているのやら? 出来れば戦闘に使えるものがいいのだが。
戦闘で疲れてしまったフラフラの足で宝箱の前まで行き開ける。
キーとサビついた音を立てながら出てきたそれは……指輪であった。
「あ? なんだこれ」
見た目に頼りなくとも、カードの前例があるため一応手に取る。
「・・・なんもおきないじゃないか」
カードの時のように何か起きるわけでもなくただ手の中におさまっている指輪。きたしていたので悪態をつくのもしょうがないだろう。
とはいえ、一応は宝箱から出たものだ。
そう思い俺は利き手では無い方の手にはめてみる。
装飾は何もなく無骨な感じであるが、見た目が好みに合っていたのでつけてみた。その時、脳にビビッと衝撃が来た。ただの衝撃ではない。
情報が脳にインストールされているような感じだ。
その衝撃は一秒にも満たない間で終わり、外傷は一切なかったのだが一つ得るものがあった。
この指輪はただの指輪ではなかったらしい。
「最強じゃねぇか!」
名は「閃光の指輪」
目がくらむ程度の光を一瞬出すものだ。
その程度と思うかも知れないが、実際ただ使うだけではびっくり装置以外のなんでもない。しかし俺が使えばどんな相手にでも勝てる道具になる。
なぜならば、この説明通りなら指輪を使えば「潜伏」を使えるということだろう? 盾で視界をふさいだり、死体を投げる小細工をせずとも簡単に潜伏を使うことが出来る。
それは俺がやれるなかで最大のアドバンテージを稼ぐ能力を、容易く使用できるようになるということ。
これから愛用する事が約束されているようなものだ。
気分を良くしながら俺は次の階層に行くのであった。
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