20話目
20話目
俺の足元には死体が転がっている。
準備は整った。
短剣は構えたまま、少ししゃがむ。褐色のホブゴブリンの事は目を放さずにだ。
その時俺はある事に気づいた。このしゃがんでいる態勢が、凄い隙を晒しているということに。
「やばい!!」
褐色のホブゴブリンもそのことが分かったのだろう。勢いよくこちらに走り出した。
この瞬間を逃さまいと言う気合が見て取れる。
しかし俺もやられているばかりではいられない。
「近寄らせねぇぞ!」
手に取った死体を褐色のホブゴブリンへ投げる。止まってくれれば良いがそうはいかず少し横にずれるだけで避けられた。その瞬間体が動く……褐色のホブゴブリンの方へ思いっきり飛んだのだ。
まさにジャンプするように、俺は自分の間合いに入らせた。
この時間。まさに一瞬のこと。
俺は思考が加速するかのように、動いていた。
死ぬ気はないが、殺すのはこの瞬間しか無理だとなんとなく思ったのだ。
「オラ!!!!」
褐色のホブゴブリンは投げた死体を避けた時に大剣の質量により、足元がおぼつか無くなっている。それをつつくように、手に対して殴るように短剣を当てた。
「グギャ!!!」
これで褐色のホブゴブリンの武器は無くなった。
だが油断することは出来ない。なぜならまだ、手と足が残っているからだ。
褐色のホブゴブリンの筋力は軽く手を振るうだけで俺の全身を破壊するだろう。だから……一歩、さらに前へ進む。
それは両手が届く距離。
危険だと言いながら、その危険な間合いへ入る。
馬鹿だと思うかも知れないが、これが考えれる限りの最善だった。
「斬り切れ!!」
両手が届く距離と言う事は、俺の短剣も届くと言う事。そして、ここまで近づけばフルパワーで振るうことが出来る。
顔と肩の間。首めがけて神経ごと切断する事を願い攻撃をした。
……もし、首を斬り切ることが出来なければ、たとえ殺したとしても脳から神経を伝って腕に「思いっきり殴れ」と命令がされるだろう。
ザン!
そんな可能性がありながら、俺は成功した。
「手を取らせやがって」
……ボト
目の前に歪んだ顔が落ちた。
勝利だ
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