18話目
18話目
褐色のボブゴブリンが殺した弓兵の下半身を投げつけながら後退する。視界を遮ってくれればいいなと思いながらも直ぐに、叩き落されてしまいそうにはいかない。
しかし、勝ち筋は見えた。
褐色のホブゴブリンは攻撃後が遅いのだ。大剣が大きさに比例して重いからこそ、しょうがないのかも知れないが、それがつけいれる隙になっている。
いまだって下半身を叩き落したのは良いが、慣性の法則により勢いを止める事が出来ていなかった。
「勝てるかどうか」
だが、その隙を付くには条件を満たさなければいけない。
一つ目は盾持ちをどうにかしなければいけないということ。攻撃を邪魔されて隙をつけなかったら死んでしまうのは俺だ。二つ目は攻撃させること。
隙を狙うのだから、どうにかして攻撃させなければいけないのだが、避けるのは難しそうだ。なぜなら攻撃自体は早いからだ。
もし攻撃の軌道上にいたら一瞬で死んでしまう。避ける隙すらない。
だからどうにかしなければいけないわけだが……これに関しては思いつかない。
そして三つ目なのだが、一撃で倒さなければいけない事だ。
案外簡単に思うかも知れないが、一瞬しかない隙をついた上に倒しきらなければいけないんだ。もし倒しきれなかったら、避けられない距離で二撃目が来て死ぬ。
……もし今持っている武器が槍ならリーチ差で剣があたらない距離を保ちながら攻撃が出来ただろう。もし槌やハンマーを持っていたら強引に倒すことが出来たかもしれない。
しかしいま俺が持っているのは短剣だ。
俺が戦闘するとき絶対考えないといけないのはリーチであり、毎回短いリーチに足を引っ張られている。
俺に仲間がいれば、こんな短い刀身だって気にならないのかも知れない。
「いや、そんなこと考えたってしょうがない」
どうやって攻撃を避けるか?
どうやって一瞬しかない時間で倒しきるか?
俺が持っている手札でこの二つをどうやって突破しようか考えた時、直ぐに「無理」と言う結論がでる。
だが、どうにかしなければいけない。
ならどうするか?
「新しい手を作るまでだ!」
脚に力を入れて盾持ちへ走る。
その瞬間腰にかけているポーチからピロン! と音が聞こえた気がしたが、気にしている余裕はない。だが、その音が聞こえた瞬間俺の体が変わった。
さっきからの速度とは比べ物にならない程の速さで盾持ちの前へついたのだ。盾持ちもここまで早いとは思っていなかったのか、武器をちゃんと構えれておらず、簡単に攻撃が通る。
「行ける!!」
その瞬間ピースとピースがはまったかのような勝利への道が見えた。
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