17話目
17話目
「グギャァァァァァァ!!!!!!!!!!」
弓兵を倒したことに怒りをあらわにしてきた褐色のホブゴブリンの威嚇に、心を震わせながらも体を動かす。
弓兵が一匹居なくなった今、このチャンスを逃すわけにはいかないんだ。
幸いな事に盾持ちはこちら側を見ていなかったおかげでもう一匹の弓兵は倒せそうだ。
地面に落ちているナイフを拾い、そのまま弓兵へ投げ飛ばす。これで倒せるとはまったく思っていないため、この隙を使い頭に刺してしまった短剣を引き抜き、弓兵の懐へ入る。
遠距離であれば脅威になりえる弓は、こんな距離になってしまえば攻撃さえできない。
首を狙うように放たつ斬撃。鋭利を使用しているため、骨に阻まれることはそうそうないだろう。もし体の中に鉄板でも仕込んでいるなら、そうはいかないともうがな。
そう鼻で笑いながら攻撃をした。
「獲った!」
この距離であれば防御される事は無い。だから殺せる。
今までの戦闘で培われた経験がそう言っている。しかし……経験は簡単に裏切られてしまった。
真横から巨大な剣が迫ってきたのだ。弓兵を殺してからでは避ける事は出来ないと判断し剣から逃げ湯ように横へ飛ぶ。すると、先ほどまで俺がいた場所に、かすりでもしたら骨折は愚か内臓が破裂するんじゃないかと思う斬撃が通り過ぎる。
風が切れる様な音を立てながら振るわれた剣は、勢い止まらず弓兵を真っ二つにした。
「ヤバいわ」
門に入った時は褐色のホブゴブリンと他のホブゴブリンの違いは分からなかったが、この距離で見たら存在感が違う。全身に有り余るほどつけられている筋肉によって持ち上げられている大剣は今まで戦った事が有るやつとは一味違った。
だからこそこう思うのは仕方が無いだろう。「こんなの経験した事無い」と。
☆
どうやって倒せばいいのか、分からない。
弓兵を倒しきることは出来たが、盾持ちはいまだかけることなく健在であり近付くのは至難の業だ。
そもそも、盾を持っているというだけで短剣の俺には相性が悪いのに、そのうえ槍まで持っているのだ。
戦い方からして、本来なら逃げる一択。
しかしそれを掻い潜って弓兵を倒すことが出来た。でも出てきたのは防御する事すr出来ない程の破壊力を持っている攻撃をしてくる魔物。
ゲームであれば、リスタート前提の難易度だ。
でも、俺はあいつを倒さなければならない。
「ふぅ。行くぞ!!!」
なぜか呆然としている盾持ちの頭を飛ばして気合をいれる。
「グギャァァァ!!!」
それに答えるように褐色のホブゴブリンが叫ぶ。
負けるわけにはいかない。俺はここを出て殺さなければいけない奴らが沢山いるんだ。お前はそのための踏み台でなければいけない。
こんな所で躓いている訳にはいかないんだ。
短剣を強く握りながら、どうやって倒すか周りを見て考えるのであった。さながらパズルのように。
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