16話目
16話目
地面を強く蹴りホブゴブリンに向かう。さっきと同じようにだ。しかし明確に違う点があった。
体勢が異常に低いのだ。
狙いは一瞬でも見失ってくれることを願ってだ。だから盾で視線が切れるように縮こまった。
とはいえ近づかなければ意味がない。
すると弓兵が攻撃を仕掛けてきた。自分の速度も相まって、攻撃される可能性を考えていても驚異的だ。
とはいえ避けるくらいは簡単だ。
体をそらすように横に少しズレて躱した。
それを見て盾持ちはこちらへ来るとわかったのか、今回は絶対に落とさないぞ。という気合を入れていた。
だがそんなことはどうでもいい。それどころかありがたいほどだ。
「うぉぉぉぉ!!!!」
わざと大きな声を出しながら短剣を振り上げる。
ビビってくれたら御の字。
その程度に思っていたが、同調したのか盾を目を隠す高さまで持ってくれた。
俺はここである事をやろうとする。想定ではもう少し近づいてからやる予定だったが、そんな高さにまで縦を持ち上げているのであれば、やっていだろう。
そうして俺はあることをした。
バタン!
大きな音を立てながら寝っ転がったのだ。勢いを殺していなかったせいで、前半身が擦り傷だらけになっている。
とはいえ、作戦は成功した。
盾持ちに潜伏を使う事が出来たのだ。
盾を顔の近くに持ってくれたおかげで目線を遮れたおかげだ。
とはいっても弓兵や、奥にいる褐色のホブゴブリンにはしっかり見られていたみたいで、使うことは出来ていない。
しかしこれでいい。
今度こそは倒すために走る。盾持ちは俺のことが見えていないせいで、隙だらけだ。だが、俺が倒すのは盾持ちではない。
腰にかけているナイフを取り出し、左後ろにいる弓兵へ投げる。弓を引いているところが見えたので、攻撃させないようにしたのだ。あわよくば倒せればいいなと思いながら。
思惑は成功したようで、弓を降ろしながらかわしてくれた。しかし弓兵は2匹いるため、うちのもう一匹はいまだ攻撃しようとしている。
だが、これで十分だ。
俺は盾持ちの真ん前まで勢いをころさず突っ込む。もし俺の姿が見られていたら、避けられたりされたのかもしれないと思いながら、攻撃するわけでもなく、盾に足を乗っけて飛んだ。
弓兵さえ居なければどうにでもなるのであれば、先に弓兵を倒せばいい。
単純で明快な、策は複雑で無いからこそ成功した。
驚愕の顔を浮かべている弓兵の顔面に短剣を突きつけながら、全体重をのせて上から刺した。
頭蓋骨によって阻まれる事無く、鋭利の効果ゆえなのか豆腐のようにスッと入って行った。
「グギャァァァァァァ!!!!!」
その時、褐色のホブゴブリンが動き出した。
身の丈に合わない程巨大で凶悪な大剣を両手で持ちながら。
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