15話目
15話目
俺の攻撃範囲は半径2メートルちょっと。肘を完全に伸ばしてしまえばもう少し広げることが出来るが、威力が下がってしまう。
そんなわけで魔物を倒すには至近距離まで近づかなければいけない。
足に力をいれて思いっきり近づく。残念な事に、潜伏を使用することは現状出来なさそうなので、2階層で戦った時のように先手必勝で確実に一匹殺すようなことは出来ない。それでも、この一撃で一匹から2匹は倒しておきたい。
じゃないと、数の差でおしきられてしまうかもしれない。
「ここだ!!」
盾持ちに近付くために槍をいなしながら前へ進んでいく。しかしそれだけではだめだ。相手は盾を持っているのだから攻撃できる場所を探さなければいけない。
運が良い事に、槍をいなした衝撃で盾の握りが甘くなったみたいで、隙が出来た。
ここだ! とさらに足に力をいれようとした時、盾持ちの背後から嫌な視線を感じた。あまりにも嫌な感じだったので、一瞬だけ視線を外してそちらを見ると、キランと光が反射している物がこちらをむいていた。
「やばい!!」
反射的にしゃがむ。
すると俺の頭部があった場所に鋭く早い物が飛んできた。
矢だ。
もしあれ以上攻撃しようと突っ込んでいたら、今頃脳汁をこぼしながら地に伏していただろう。
そう思うと背筋が凍る。
このままではだめだと、一度体制を整えるために後ろへ後退するのであった。
「どうすればいいんだよ」
扉に背をつけるほど一気に後ろへ下がり、どうやって倒すか考える事にした。1階層のボスがあまり強くなかったから、簡単に倒せると思っていたせいで、今感じる緊張感が半端なくなっている。
一手でも間違えたら死ぬ。
そんな瀬戸際にいるんだ。
「弓兵をどうにかしたいな」
正直盾だけなら何とかなるかも知れない。槍をいなしただけで握りが甘くなるのだから、時間をかければ倒せるだろう。しかし弓兵がいるだけでそうはいかなくなった。
防御すらできない速度の攻撃が遠距離から飛んでくるのだから、近接ファイターの俺には相性が悪すぎる。
それを助長しているのが、盾持ちだ。
盾がいるせいで弓兵を先に倒すなどが出来なくなっているのだ。盾持ちと弓兵がそれぞれをそれぞれが強化しており、手が出せなくなっている。
そんなとき、策ともいえない策を思いついた。
……もし潜伏を使うことが出来るのなら、打開できるかも知れない。
潜伏さえ使えればと言う行き当たりばったりの駄策ではあるが、現状に限っては最善であると言わざるを得ない。潜伏を使えさえできれば弓兵を先に倒すことが出来るのだから。
それに、弓兵は二匹だけだ。
それなら一撃で倒しきれる。
「これで行こうか」
どうやって使うか思いつかない。しかし今の俺に出来るのはこれしかない。戦闘に関しては未熟な頭で結論を出したのであった。
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