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13話目


13話目


「さて、進みますか」


 俺はここで決めなければいけないことがある。それは今後の行動だ。

 方針は金持ちを殺しまくるなんだが、それをするにはまずダンジョンから出なくてはいけない。


 なのだが、ここで一つ問題が出てくる。


 ダンジョンからでる方法だ。

 このまま戻ればいいじゃないかと思うかもしれないが、それは無理なのだ。

 

 扉に拒まれているからとか、そういうわけではなく。

 何が言いたいのかといえば……ダンジョンで二階層から一階層。もしくは3階層から4階層のように上へ戻ってしまうと、強制的に変態してしまうのだ。

  

 指が4本になったり、目が1つになったりしたら、それは運がいいほうだ。

 場合によっては最悪人ではない別の生物になってしまう。


 回避方法はない。  

 

 ならどうやって地上に出ればいいのかと思うだろう。

 実際なんの損傷もなしに地上に戻ってくる冒険者だって沢山いる。その人たちはどうやっているかというと、五階層毎にある転移装置を使っているそうなんだ。


 実物は見たことないけどね。


 だからその転移装置に乗って地上に戻るとのこと。

 俺も例外に漏れず乗らなければ帰ることはできない。


 まあ、一回層くらいの変態であれば指の爪がなくなるくらいで済むらしいが、試す必要はないだろう。


 そんなわけで帰るためにはダンジョンを進まなければいけないわけだ。


「んじゃぁ行きますか!!!」


 獲ったポーチを腰につけ、パンパンになるまで食料をいれる。もちろん水分も忘れずに。

 どうしても重量が多くなってしまうがこれに関してはどうしようもないので我慢だ。


 俺は信念のため動き出した。



 腹が膨れたおかげか、体が自在に動く。

 この速さで動くことが出来たのは、親の元を離れる前の腹を満たしていた時以来だろう。


 しかし把握動くということは時間当たりの魔物との接触も増えるということだ。


「みつけた!!」

 

 『仮名 鋭利(俺がなぜか使える能力の名称。勝手に付けた)』を使用し、1階層のゴブリンよりも一回り大きいホブゴブリンを一閃。走っていた勢いのまま、突っ込んだせいで狙いは逸れたが、それでも頭蓋骨を綺麗に刃が入った。

 その瞬間、脳味噌がはじけ飛ぶ。


「ギャ!!!!」

「ギャ!?」

「ギャギャ!!!」


「チッ!! きたねぇぞ!」


 頭蓋骨は上手く切断できたが、衝撃の与え方が悪かったのか脳味噌がホブゴブリンの頭の中で爆発してしまった。頭蓋骨を切断しきっていなかったおかげで、悲惨な光景を目の当たりにする事にはならなかったが、切り口からこちら側へ謎の液体が噴き出してしまったのだ。

 その様子を見て、一緒にいたゴブリンはうろたえていた。それもそのはずだろう。


 突然目の前にいた仲間が死んだのだから。


 俺はその感情に便乗するように、次のホブゴブリンへ近付く。


「死ね!!」


 真正面から長剣のように短剣を振りかぶり攻撃をする。だが、流石に隙がありすぎたのだろう。手に持っていた棍棒で防御されてしまう。

 だが想定内だ。進路をふさがれた短剣はその棍棒……に刃を食い込ませた。


「グギャ!」


 攻撃を防御できた上に、武器を使用できないようにしたことでゴブリンは歓喜した。たとえ自分の武器が無くなったとしても、仲間に攻撃してもらえばいいんだから。

 後は武器を持っている仲間に任せようと後ろへ下がろうとする。


 直後、あごの下に冷たい物が当たった。

 

「残念、二本目」


 俺は今度は外さないように、集中しながら顔の下から上へとナイフを刺した。

 棍棒を切り裂かなかったのは、二撃目を防御させないためだ。


 あの距離からだとたとえ棍棒を切り裂きながら攻撃しても、短剣であるがゆえに殺しきることは出来ない。だからわざと棍棒に短剣を食い込ませ動かせない状態にし、無防備な状態にしたのだ。

 それに、棍棒を切り裂いたら簡単に後退できてしまうんだ。


 あ、ちなみにこの短剣はさっき殺した少年の片方が持っていたから一緒に貰ったんだ。


「あと二匹か」


 安心はできない。1階層であれば群れなかったから簡単に殺せたが、こいつらは違う。

 そこらへんのボディービルダーよりも体つきがいいうえに、2匹もいるのだ。


 攻撃を喰らったら、一時的に動かせなくなるどころか複雑骨折程度はしてしまうだろう。


 ならどうするか? 


「オラよっと!」


 安全策だ。

 殺したホブゴブリンの体を投げ目くらましを行う。実はこの戦闘の前に一度ホブゴブリンたちと戦っているのだが、こいつら一度戦闘状態に入ってしまえば怯むどころかまばたきすら行なわないのだ。

 だから手のひらいっぱいの血液を顔に投げたところで普通に殺しに来る。


 それで一回死にかけた。

 体を投げたのはその反省だ。


 しかしそのおかげで『仮名 潜伏』をつかえた。


 この状態になれば声を出したり、ドスンドスンと言った足音を出さない限りこいつらからは見えなくなる。


 棍棒から引き抜いた短剣をホブゴブリンの後ろに回りながら首筋に持っていき、喉仏をねらって切る。すると声らしい声を出せないようになり、仲間に助けを言えず痛みで倒れてしまった。

 それでも空気が管を通った音は出ているので、2~3秒後にもう一匹のホブゴブリンも気付いた。


「はい。おしまい」


 2~3秒も隙を与えられたら殺すくらい簡単だ。

 目の前には喉を切られて脳に血が行かず死んでしまったのと、後頭部から前頭部に貫かれたの、そして顎下からナイフが刺さっているのと、脳味噌が爆発しているのが転がっていた。

 群れで4匹も一緒の場所にいたのだ。

 明らかに1人で攻略できるような構造ではない、今回だって最初に無抵抗で倒せたのが勝つきっかけになっていたが、もし最初の攻撃が避けられたら……


 いや、今はそんな事どうだっていい。


 勝てたのだから。


 



【麻薬求めてダンジョンに入りました!〜現実逃避してるヤク中は短剣片手に走り回る〜】をご覧いただきありがとうございます!!

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