12話目
12話目
左には死体、右にも死体。その真ん中で両手に食料を抱えてながら、蛮族のように食事をしていた。
これまでの25年の人生で、初めてと言えるほど劣悪な場所だ。
貧富の差が酷かったダンジョン都市であれ、道端に死体が倒れていることは早々なかったから、2つもの死体に囲まれるのは早々ない。
もし、キャピキャピのJKがこの様子を見たら、警察に通報することすら考えずに走って逃げるだろう。
そんな場所で食事をしていた。
だが、仕方がないのだ。
早急にエネルギーを補給しなければいけな行けない状況だったから、場所なんて考えている時間はなかった。
あ、ちなみにこの食料は少年たちが持っていたものだ。
つまり追い剥ぎ。
まあ、こいつらの親も人を物のように使って金を稼いでいるのだから、俺がこいつを物のように殺すのは正当な権利だ。
俺の番になっただけ。
そんなわけで食事をしているのだが、この食料が意外とうまいんだ。
スティック状になっているパイなんだが、表面に砂糖でコーティングされたナッツとかがついていてみるみるうちになくなっていく。
誕生日とかのイベントの時とかに無理して買ったブラジル産のチキンと比べることができるほどうまい。
これほど美味しいものを、腰に巻いてあるポーチに無造作にたくさん入れていたのだから、こいつらの金持ち度合いがよくわかる。
もし俺だったら知り合いが結婚したとかそういうときに渡すくらい豪華なものなのだから。
「ふぅ。んでこのカードは何だ?」
腹が満たされ多少動けるようになったから、ピロン! とかなっていたカードを見てみることにした。
宝箱から出てきたのだから多少は使えるものなんじゃないかと思っているのだ。
まあ、その割に怒ったりしたわけなんだか、あのときはクスリが出ると決めつけてしまっていたから衝動的だったんだ。
中毒症状で喜怒哀楽が強くなっていたのもあるがな。
今は腹が膨れたからある程度は、クスリの中毒症状を抑えることができている。
しかし、手は今も震えているし、目の前にクスリがあったらなりふり構わず腕にぶっ刺すだろう。
でも、今はクスリは目の前にないし、それに社会をぶっ壊すという使命もある。
そう簡単に暴れられないのだ。
その感情が俺を押さえつけてくれているんだ。
「なんか書いてあんな」
カードを拾い両面見てみる。そこには文字がズラーっと書いてあった。
読んでみるとそこには俺が何故かできる謎の能力の説明が書いてあるのだ。
・生物Aから見えていないとき、生物Aから見えなくなります。この能力を使用して行動したとき、行動の内容が生物Aに知られた場合、生物Aから見えるようになります。
・使用している道具は、その道具が鋭くなった場合の効力を発揮します。
こんな感じで。
つまり俺ができる謎の能力が書かれているのだろう。
なんで書いてあるのかと疑問に思うかもしれないが、ダンジョンの宝箱から出てきたものは、なんでかわからないけど出来るって言う事が多いらしい。
だから、こういうことが出来る! で思考を止めてくれていい。
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