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リトライ!!─救国の小女神様、異世界でコーラを飲む─  作者: 山本桐生
崩壊編

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六人の男女と突然の開戦

 最初に気付いたのは広域防御魔法を張るフレアとホーリーだった。

 それは範囲内の侵入者に反応する魔法。

 次にキオがそれをカトブレパスの瞳で確認する。

 正面から向かって来るのは六人の男女。

「僕が前面に出る。リアーナとロザリンドを呼んで。二人の隊員は後方で待機」

 向かって来る相手に、雇った傭兵や冒険者では太刀打ちが出来ない。

 やがて相手は姿を現した。

 向かい合い、対峙する。


「話は聞いている!! お前達だな、私達の邪魔をするのは!!」

 年齢的には俺やリアーナよりも年上、フレアやホーリーよりも年下、それぐらいの女性。流れるような長い金色の髪。そして鋭い視線を放つ瞳は金色に輝いていた。

「違います!! 人違いです!!」

 俺は答えてやる。

「そうか。すまなかったな……おい!! 違うらしいぞ!!」

「いや、間違いない。アイツ等だ」

 女性に答えたのは青い肌をした単眼の青年。

「どういう事だ!!? 私を騙したのか!!?」

「騙していません!! 本当に人違いなんです!!」

「おい、人違いだって言っているぞ?」

「だから言っているだろう。アイツ等だ」

「ど、どういう事なんだ!!? 混乱する!!」

「あははははっ」

 あの金髪金眼の女、笑えるわぁ~

「おうっ、お前等、また会ったな!! ははっ」

 ヴァルゴだ。リアーナとロザリンドの姿を見て笑う。

「やっぱりお前達じゃないか!!」

 女性は怒ったように言うのだった。

 女性とヴァルゴ、単眼の青年、そしてアリエリもいる。さらに二人。

 一人は金色の瞳、そして金色の鱗を持つ獣人だった。蛇や蜥蜴のように見える。リザードマンと言われる種族に似ている。

 もう一人、同じく金色の髪と瞳。ただスゲェ、こっちは人魚じゃん。熱帯魚のような金色の下半身は魚のそれ。そしてその下半身は水の球体に包まれ、宙を浮いていた。

 リアーナもロザリンドも武器を構えるが……

「おいおい、こっちは戦う気は無いんだ。武器をしまえ、武器を」

 ヴァルゴは言う。

「ならどういう理由で私達の前に現れたんだ?」

 ビスマルクだ。

「お互い、相手の顔を知っていた方がお遊びは楽しいだろ?」

「お遊びでお前達はこんな事をしているのか?」

「違うぞ!! お遊びじゃない!! 私達は……そう言えば私も理由を聞いていないぞ? どういう事なんだ、ヴァルゴ? お遊びなのか?」

 女性は仲間達に聞く。

「ドレミドはね、話をいつもちゃんと聞いていないから。馬鹿なの?」

 そう答えるのは少女アリエリ。

 くっ……笑っちゃ駄目だ……

「みんな、アリエリが酷い事を言うぞ!!」

「少し黙ってろ」

 そう言うのは金色の鱗を持つリザードマン。

「そうだ、アリエリ、静かにしろ!!」

「ドレミド、お前だ」

「酷い!!」

 あの金髪金眼の女性……ドレミドと呼ばれている奴、面白過ぎるじゃないか……仲間にしたくなるぅ……

 なんて気を取られた隙……足元からだった。

 俺達が立つ地面から金色の靄が立ち上がる。それは意思を持つように足に絡み付いた。

 俺は前方の六人を睨む。

 単眼の青年、その一つだけの大きな瞳が怪しい光を放っている。

「フレア!! ホーリー!!」

「防御魔法は展開しております」

 険しい表情でホーリーは言う。

 二人の防御魔法を越えての攻撃。従来の知っている魔法攻撃ではない。

 しかし……破裂音。それと共に靄が霧散する。

「さ、させません……」

 隣に立つキオだった。

 その左目、カトブレパスの瞳が鮮やかに輝いていた。その力が単眼の青年の力を打ち消す。

 ふわぁぁぁぁぁっ、キオが頼もし過ぎるよぉぉぉぉぉっ!!

「戦うつもりは無いのではなかったか?」

 ビスマルクの言葉に単眼の青年は笑う。

「……俺の力に対抗するなんて、なかなか良い力を持っ、あぐっ!!?」

 パカンッ

 そんな青年の頭を引っ叩くヴァルゴ。

「悪かったな。本当に争う気は無かったんだ。そうだろ? ローロン」

「……そうだな。すまない」

 単眼の青年、ローロンは小さくそう言った。

 ヴァルゴが言葉を続ける。

「アリエリには会った事があるんだろ? こいつがローロン。こっちはドレミドだ。それとママトエトエ。ミラベルだ」

 リザードマンがママトエトエ。

 人魚がミラベル。

「はい。これで私達の自己紹介は済んだよね。帰りましょうよ」

 面倒臭そうにミラベルは言う。

「この場からそのまま帰れると思うのか? 私達の敵であるお前達が目の前に揃っているんだ。まとめて叩くには好機だな。そっちに戦う気は無くても、こっちは違うぞ」

 言いながら、ビスマルクは一歩前に進み出る。

「むっ。好戦的な奴だ。私が相手してやる」

 ドレミドも腰の剣を抜いて一歩前に進み出る。

「まぁ、待てよ。そっちの嬢ちゃんも同じ意見か?」

 そのヴァルゴの言葉は俺に向けられていた。

「……私はこの人に従うだけです」

「おいおい、誤魔化すなよ。ローロンから聞いているぞ。お前がこの隊を率いているんだろ?」

「馬鹿を言うな。まだ子供じゃないか。きっと迷子を保護して、もごもご」

「だからお前は黙っていろ」

 ママトエトエはドレミドの口を塞ぐ。

 もう隠すつもりも無いし。

「……お互いに戦う気ならそれも良いんだけどね。そっちは逃げる方法くらい考えてるでしょ」

 わざわざ目の前に姿を現すんだから、絶対に逃げ切る方法があるに決まってんだよ。

「それよりも本当にそんな自己紹介する為に僕達の前に現れたわけ? 三つ首竜は馬鹿なの?」

 その俺の言葉に反応したのはドレミドだった。

「三つ首竜?」

 一瞬だけポカンとした表情を浮かべる。

「もう下がれ」

 ママトエトエはドレミドを隠すように後ろへと押し込み、自身が前に立つ。

 おいおい、『三つ首竜』の言葉で何か反応があるかと口にしてみたが、ドレミドの表情を見る限り、とんでもないヒントじゃねぇか。

 コイツ等を操っているのは三つ首竜じゃない可能性が高くなったぞ。

「それにお遊びと言うならルールを教えて欲しいんだけど。それが分からないと充分に楽しめないでしょう?」

「ははっ、面白い嬢ちゃんだな」

 ヴァルゴは笑う。そして言葉を続けた。

「大したルールじゃ無ぇ。俺達は大陸を混乱に陥れる。お前達はそれを阻止する。ただそれだけだ」

「目的は?」

「さぁね」

「今、ふと思ったんだけど……全員は無理だけど一人くらいなら捕まえる事が出来るんじゃないかな、ってね」

 俺は笑った。

 そして次の瞬間。

「ベリー!!」

「あいよ!!」

 タックルベリーは瞬時に魔法を発動する。

 ヴァルゴ達の頭上で大爆発が起る。突然の開戦。

 もちろんその程度で終わる相手ではなかった。

 金色の人魚、ミラベル。彼女がタックルベリーの魔法を自らの魔法で相殺する。

「こうなる可能性もあったから嫌だったのに」

 ミラベルは大きく溜息を吐いた。

 そしてドレミドが腰の剣を抜き突進する。

「お前達が始めたんだぞ」

 その突進を止めたのはヴイーヴルだった。素早く飛び出して、ドレミドの剣を受け止める。

「あらあら~こんな可愛いのに、凄い力ね~」

「か、可愛い!!? 私が!!?」

「ええ~とっても~」

「そ、そうか、それは嬉しい。うん、嬉しいぞ」

 なんて会話をしているが……ドレミドの剣はその手先さえ見えない速度で打ち込まれていた。そしてそれに負ける事無く大剣クレイモアで打ち返すヴイーヴル。

 二人ともその力は尋常じゃねぇ。


「私がアリエリの相手をする」

 そう言って飛び出すのはビスマルク。

「そう。戦うの。分かった」

 アリエリの小さい体が宙を浮く。

 子供の見た目に惑わされる程に甘くはない。だからこそビスマルク。


 ローロンの単眼がまた鈍い光を帯びる。

 それに反応するようにキオもまたカトブレパスの瞳を発動させるのだ。

「キオ、ローロンをお願い!! ミツバさんも!!」

「は、はい!!」

「了解っす!!」

「あの色……カトブレパスの瞳か……面白い」

 ローロンの力を相殺するキオ、そしてミツバは巨大な戦斧を握り締め、弾丸のように突撃した。


 ミラベルから放たれたのは水の槍だった。超高密度に圧縮され打ち出された水の槍は鉄の扉でさえ簡単に貫くだろう。しかし無数に打ち込まれるそれをフレアの防御魔法が防ぐ。

「リコリス、ユリアン、大変だと思うけどミラベルを任せるよ!!」

「やってやりますわ!!」

「ああ、任された」

 リコリスもユリアンも、一瞬にしてミラベルとの間合いを詰める。

「子供だと思わない方が良いのね」

 ミラベルはそう呟く。

「フレア。二人を守ってあげて」

「はい」

 フレアは微笑んだ。そしてリコリスとユリアンの後を追う。


「おいおい、お前等はどちらかと言うと正義の味方だろ? 正義の味方が戦う意思の無い相手に先制攻撃するなんて、これじゃどっちが悪者か分からねぇな、ははっ」

 ヴァルゴは笑うが……

「ばーか、正義の味方とか悪者とか知った事じゃないし、どうでも良いんだけど。僕は僕のやりたいようにやるだけなんで。リアーナ、ロザリンド、ベリー、お願いね」

「うん。任せて」

「分かったわ」

「はいよ」

「またお前達が相手をしてくれるのか、面白い事になってきたな」


 一応、キオの索敵で周りに他の敵がいない事は確認した。しかし絶対は無い。

「フォリオさんとタカさんは辺りを探って下さい。相手の援軍が無いとは限らないので。それと必要なら隊員達の指揮もお願いします」

「ああ」

「本当にとんでもない奴等を相手にしているんだね。任せな」

 フォリオは静かに頷き、タカニャは笑った。

「それとアルタイルえもんは全体の補佐をお願い。押されている所のね」

「……」

 アルタイルは黙ってスケルトンを召還するのだった。


「……で、俺の相手はお前達がしてくれるのか?」

 ママトエトエだ。無造作に近付いてくる。その手に握られているのは長槍。

 ヴォルフラムは元の姿に戻り、ホーリーはより強力な防御魔法を展開する。ベルベッティアは俺の肩へと駆け上がった。

「どうするつもり?」

「どうするって、もちろん話をするんだよ」

 ベルベッティアの言葉に俺は笑みを浮かべる。

 引き出せる情報があるなら引き出してやんぜ!! その為に吹っ掛けたんだからな!!

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