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リトライ!!─救国の小女神様、異世界でコーラを飲む─  作者: 山本桐生
王立学校編

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股間のアレとプチ性教育

 無事に模擬戦の参加了承。

 後は試合場所とかトーナメント表とかの発表待ち。


「シノブ、ちょっと手伝えよ」

「ベリー……構わないけど、その手に持ってる液体が不穏過ぎる」

 ベリーはタックルベリー・ヒュンカーヒッターの俺が付けた愛称。そのタックルベリーが手に持っているのは、ピンク色の液体に満たされたガラス瓶。

「実験を手伝え。まずは僕が飲んで安全を確認してやるから」


★★★


「と言う事でリアーナ。同じパーティーとして手伝って。複数の観察対象が必要なんだって」

 学校終わり、寮の部屋にリアーナを呼び込んだ。

「……シノブちゃんも飲むんだよね?」

「いや、リアーナだけに飲ませようかなって」

「嫌だよ!!」

「冗談だって。もちろん私だって飲むよ。ほら」

 俺はカップに注がれたピンク色の液体を飲み干す。

 甘くも苦くもねぇ……味がしねぇ……ただのドロドロとした液体だ……

「うっ、じゃあ、私も……」

 仕方なく、リアーナもその液体を飲み込んだ。

「……」

「……」

「……」

「……」

「……どう、リアーナ? 体に何か変化ある?」

「別に何も無いけど……シノブちゃんは?」

「私も特には……」

「これ、体に毒とかじゃないよね?」

「ベリーにはそう聞いてるけど」

 そこにロザリンドが戻ってくる。

「あら、リアーナ。いたのね」

「お邪魔しています」

「……それ何かしら?」

 ガラス瓶の中にはまだピンク色の液体が残っている。

「これ、回復薬。新発売のポーションだよ。ロザリンドの分もあるから」

「ちょっ」

 制止に入ろうとするリアーナの口を閉じる。

「良いのかしら?」

「もちろんもちろん。ささ、このまま全部どうぞ」

「頂くわ」

 ロザリンドはガラス瓶の中の液体を飲み干した。

「……後でロザリンドちゃんに怒られるよ?」

 リアーナは小さく耳打ちをする。

「大丈夫。何かあったら必殺の土下座が炸裂するから」

「もう……」

「特に何も変わらないようだけど?」

「時間が経てば効果出るかも」


 そしてその薬の効果は翌朝に現れるのだった……


★★★


 朝、目が覚めると下腹部、正確には股間の辺りに懐かしい感触があった。

 こ、これは!!?

 下着の中に手を突っ込んで確認してみる。

 この感触……懐かしい!!

 ベッドの上で寝間着と下着を脱ぎ目視でも確認してみる。

 む、息子よ!!

 そう、そこには立派な男性器が……立派と言っても体格と同様に可愛らしいサイズだが。

 絶対に昨日飲んだ液体の影響に違いない。

 そう思っている所で、下のベッドでロザリンドが動く気配があった。その少し後。



 悲鳴が寮全体に響き渡る。

 『キャー』とも『ギャァー』とも『ギョワー』とも言えない、まさに文字に出来ないような悲鳴。それが同時に二つ。

 一つは俺のベッドの下段。もう一つはこことは違う部屋から。まぁ……絶対にリアーナなんだけどね。もちろん股間のアレが原因。

 そしてドゴドゴと部屋のドアが激しく叩かれる。

「リアーナでしょ。分かってるから、今開けるから」

 ドアを開けると同時にリアーナは部屋の中に飛び込んだ。股間を隠すように掛け布団でそこを覆っている。

「シ、シシ、シノブちゃん、わ、私の、お、おちおち……」

「落ち着いてリアーナ。私も同じ状態だから。とにかく落ち着いて、まずは深呼吸」

「う、うん」

「ロザリンドも。落ち着いて」

 俺はベッドの中のロザリンドにも声を掛ける。

「ち、違うの、こ、これはその、そうじゃなくて……」

「大丈夫。ちゃんと分かってるから。これは昨日、飲んだ薬の影響。薬の効果が切れれば元に戻るよ」

 多分。

「昨日の……あのポーション?」

「そうそう、だからまずは落ち着く」

「で、でも、凄く大きくなっているわ……」

「ちょっと」

「あっ、やっ」

 涙目のロザリンド。その股間を確認すると。

「……朝だからね……」

 さらに顔を林檎のように赤くしたリアーナ。言いながら、そこを隠していた掛け布団を落とす。

「あの、シノブちゃん……私も……」

「……ちょっと大き過ぎない?」

 寝間着の上からでも分かる。これ、日本産じゃねぇ……外国産や!!

「ううっ……そんな事を言われても……」

「二人とも。大きくなっているのは朝の生理現象だから。少し経てば通常のサイズに戻るから。まずは落ち着こう」

「でもシノブちゃん……小さくなっても、これが無くなるわけじゃないんだよね?」

「そうだけど、小さくなれば気にならなくなるよ。それにすぐベリーに相談するから」

「ベリー?」

「ロザリンドは知らないか。魔法学科のタックルベリー・ヒュンカーヒッター。薬は彼からの貰い物だったの」

「……知っているわ……彼は色々な実験に人を巻き込む事で有名だもの。シノブ……私を彼の実験に巻き込んだのね?」

 羞恥と怒り、赤い顔をした涙目のロザリンドが可愛い。こういう表情って男心をくすぐるよね?

「でもこんな実験だなんて知らなかったし」

 ドアがコンコンとノックされる。

 その音にリアーナもロザリンドも飛び上がる。

「だから落ち着いて」


 ドアを開けるとそこにはリアーナと同室のマルカがいた。

「ねぇ、リアーナがこっちにいると思うんだけど、どうしたの? 大丈夫? それにロザリンドの悲鳴も聞こえたけど……」

「マルカもタックルベリー・ヒュンカーヒッターって知ってる?」

「ああ、あの迷惑男」

「その実験に巻き込まれて私とリアーナとロザリンド、三人とも今日は学校を休むって伝えて。詳しくは後で説明するって」

「うん。分かったけど……本当に大丈夫?」

「大丈夫。もし大丈夫じゃなかったらちゃんと先生に相談するから」

「分かった。じゃあ、リアーナをよろしくね」

「了解」


 これで学校の方は良し。

 もう二人は落ち着いただろうか。男性特有の生理現象、落ち着けばそんなに長続きはしない。

「どう? 二人とも、そろそろ小さくなった?」

「シノブちゃん……全然、小さくならないよ……」

「私もだわ……」

「え~と……二人とも、その……ちょっと興奮してる?」

「!!?」「!!?」

「つまり……ちょっとエッチな気分になってるとか」

「そんなはず無いでしょ!!」

 こんな必至なロザリンドは初めて見たわ。

「リアーナは?」

「わ、私は……す、少しだけ……」

「ちょっと、リアーナ!!」

 驚きの声を上げるロザリンド。

「だ、だって男の子の……ロザリンドちゃんは全く興味が無いの?」

「そ、それは全く無いわけじゃない……けど……」

 段々と声の語尾が小さくなるロザリンド。

「ねぇ、シノブちゃん、どうすれば良いのかな?」

「手っ取り速いのは一人でするとか」

 その後の俗に言う賢者タイムで落ち着くとは思うが……

「そ、そんな……男の子のは経験が無いから無理だよ……」

「リアーナは女の子のなら経験があるって事? 自分でした事があるんだ」

「あっ、やっ、そ、それは……シ、シノブちゃんは無いの!!?」

「黙秘で」

「ズルい!!」

「ちょっと二人とも。その『一人で』とか『自分で』とか、どういう意味なのかしら?」

 こっちは未経験か。

「こういう事」

 こんな所でプチ性教育を行うとは……ロザリンドに説明をする。

「はわ、はわわわわ」

 ロザリンドは泡を噴きそうな雰囲気だぜぇ。

「無理だわ……しかも初めてが男の子のだなんて……絶対に無理よ……」

 仕方ない……か。

「ほら二人とも。順番で私が手伝ってあげるから」

「手伝うって、シノブは経験があるの?」

「シノブちゃん、男の子とお付き合いをした事は無かったよね?」

「経験は無いけど、まぁ、本とかで知識をね」

 本当は転生前の自分の経験だけどな。


 そしてその後、そこにはトロンと惚けたリアーナとロザリンドの姿が。顔は紅潮して、薄っすらと汗に濡れている。少しだけ浅い呼吸。

 衝撃的ではある。異性の感覚なんて普通では絶対に経験が出来ない。その全く違う感覚に、俺も最初は衝撃を受けたもんよ。

 とりあえず今は良いが……さらにこの後、トイレ、お風呂など、数々の問題を乗り越えて就寝。この時の話はまた。そして翌朝にはすっかり体は元に戻っているのだった。

 ちなみにロザリンドにはメチャクチャ説教をされた。


★★★


「ベリー!!」

「お、シノブ。女の体って凄いんだな? お前も男の体を堪能したか?」

「死にさらせ!!」

 ドロップキックがタックルベリーを弾き飛ばすのである。

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