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リトライ!!─救国の小女神様、異世界でコーラを飲む─  作者: 山本桐生
恐怖の大王編

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分散と手下

 大陸を侵攻する為の作戦は非常にシンプル。

 兎にも角にも大陸側の兵力を分散させてしまえば良い。


 まずは未開の土地へ鉄人形を集める。その際に送り込む魔法陣は分かりやすいように配置する。わざと相手に『魔法陣は残されたものだけではなく新たに設置できる』と思わせる事が重要。

 これにより大陸は思うだろう。この未開の土地は陽動。別の目的地があるのだと。それは同時に目的地になりうる複数の場所に兵力を分散させなければいけないという事。


 そこへさらに未開の土地へと鉄人形を送り込み兵力を増強する。

 相手の兵力は大陸中に分散されている為、未開の土地で増え続ける鉄人形への対抗はできない。

 唯一対抗できるのは竜であるが、俺を人質とすればアバンセとパルの行動はかなり抑える事ができる……と、思う。ふらふらしてるから見捨てられなきゃ良いんだけど……


 これで相手兵力の薄い部分を各個撃破。

 もしくは未開の土地で膨れ上がった兵力で一気に叩き潰す。ただ叩き潰す前に降伏してほしい。

 俺がアンゴルモアに提案した作戦だった。


「まぁ、作戦と言うほど立派なものじゃないですよ。圧倒的な兵力と、どこにでも作製できる転移魔法陣があるんですから」

 まさか大陸を侵攻する為に作戦を立てるなんてな……

「そうですね……ある程度は相手の報告も入っていますが、あまり難しくない戦いのようですね」

 アソブーの言葉に俺はうなずいた。

 上手くいっている……表向きは。


『魔法陣は残されたものだけではなく新たに設置できる』


 これは大陸の兵力を分散させる為だけのメッセージじゃない。

 同時にリアーナやロザリンド、ビスマルクやミランにも向けたもの。アンゴルモア側はどこでも突然に目的地を急襲できるというメッセージだ。

 そしてアンゴルモア側は知らない情報。それはサンドンの地下神殿を含めた竜脈を使った瞬間移動装置。これはアンゴルモア側の急襲を防ぐ方法があるという事だ。


 つまり表向きは『難しくない戦い』ではあるが、実は大陸側にも切り札があり、戦いは拮抗する可能性を示している。

 ではこの事が俺のアンゴルモアに対する裏切りにはならないのか、という問題もあったが結果は大丈夫。チョーカーは反応しない。

 多分だが、提案した作戦がアンゴルモアにとって現状の最善に近いからだろう。


★★★


 現時点のエルフの村。シノブの商店、その一室。

「この俺のシノブを……アンゴルモアに鉄人形……そんなものはこのアバンセが灰にしてやる」

 人型の不死身のアバンセ。

「灰にする前に引き裂いてやらねぇとな。ロザリンド達も向こうに残ってんだろ? 俺達が出る事ができればな」

 同じく人型の轟竜パル。

「だが俺達が出れば、この俺のシノブが人質として利用されるだろう」

「ああ、全く腹立つぜ」

「……」

「……何か言いたい事でもあんのかよ?」

「俺のシノブ」

「うるせぇ、聞こえてんだ、黙れ」

 他にもこの場で待機するのは……

「俺がリアーナの代わりに指揮を……」

 ユリアンだ。何度か指揮の経験はあるが、それはまだリアーナやロザリンドに及ばない。

「ははっ、リアーナとロザリンドに続くんだろう? 二人ともその若さで指揮ができるんだ。失敗を気にせず何度でも経験しときな。それに私達も補佐する。心配するんじゃないよ」

 そう言って笑うのはタカニャだった。

「ハッキリ言いまして指揮とか苦手なのですけど」

 リコリスは言う。

「確かに指揮するには知略が必要だろう。シノブを含めて、リアーナ、ロザリンド、ユリアンがその類だ。だが直観的な行動で的確な指揮をする者がいる。ドレミドだ。リコリス、お前はドレミドを目標とすれば良い」

 そう答えるのはフォリオ。

「ドレミドを目標に……」

 リコリスは視線をドレミドに向けた。

「ん? 今、私の名前を呼んだか? なんか褒められているような気配を感じるぞ」

「多分ね、ドレミドがね、いつもお菓子を食べ過ぎて、夕ご飯が食べれない事を問題視されているんだよ」

 アリエリもいる。

「ち、違うんだ!! 仕方ないんだ!! だってフレアが持ってきてくれるお菓子が美味しいから!!」

「わたくしが目標とする人……」

「……戦いの場では頼りになる……」

 視線を逸らすフォリオ。

 フレアはそんな様子をニコニコと微笑みながら見ているのであった。その手にはお菓子である。


 そして今……小型の飛竜がエルフの町に降りる。それは大陸中に分散させた雇った冒険者の一人。報告されるのは『王立学校が攻められている』という情報だった。

 この時の為に待機していたのである。


★★★


 現時点の未開の土地。

 タックルベリー達は戻らず、その場で待機していた。

 そこに合流するのはエルフの町から移動してきたヴォルフラム、シャーリー、ミツバ、アルタイルの四人。

「アバンセとかパルならすぐなのに……飛竜だと時間も掛かるし、お尻も痛い」

 そう文句を言うシャーリーの腕の中には小犬のようになったヴォルフラム。

「しょうがない。二人は目立つからあまり動けない。シノブが人質に取られる」

「来てもらってすぐだがすまないな。ミツバ、大変だが頼む」

 ビスマルクだ。

「姐さん達の為だ。当然だろ。しかし……まさかシャーリーの野郎とはな……驚くぜ」

 そう言ってミツバは小さく笑う。

「ふふっ、そうね~あの歳の子は大人の知らない間に成長しているのね~」

 ヴイーヴルも笑顔を浮かべる。

 作戦開始である。


★★★


 現時点の王立学校。

 王立学校校長、チオ・ラグラック。その正体は悠久の魔法使いと呼ばれるララ・クグッチオ。

 ララは高い城壁の上に立ち、その光景を見下ろしていた。

 既に情報は得ている。

 これが鉄人形。どこから現れたのか、王立学校を囲んでいた。

 そしてその中に知った存在。

 遥か昔、数百年も前、大陸で悪さをしていた夢魔の少女。サキュバスの彼女は自由に見た目を変えるが、その隣にいた黒猫を覚えている。その尾は五本。

 間違いない、あの時、確かに封印したサキュバスだ。

 封印した馬の置物は王都で管理をされているはずだったが……

『ねぇ、久しぶり。私の事を覚えてるかな? あの時は自分がどんな姿だったか覚えてないけど、ほらこれ、これ見える?』

 かなり離れているが、すあまの声がララへと届く。

 すあまに脇を抱えられ持ち上げられるおはぎ。

『下ろして』

 そんなおはぎを無視してすあまは続ける。

『尻尾を見て。どう?』

『……昔、私が封印したサキュバスですね?』

『そうそう。ほら、確かに私が悪いんだから仕方ないし、殺されなかっただけマシなのかも知れないけど、やっぱりね……やられっぱなしなのは気に入らない。だから仕返しにきた』

 このタイミングで現れるすあまとおはぎ。そこでララはある程度の理解をする。

 あの時は知らなかったが、このサキュバスは魔法陣を使い別世界から訪れたのだ。そして封印が解かれたからこそ隠され使えなかった魔法陣が再起動した……つまりこのサキュバス、もしくは黒猫が転移の魔法陣に関わる存在。

『……あなたとアンゴルモアの繋がりは?』

『ただの手下だけど』

『操っているだけ。もう自我もあんまり残っていないと思うけど。それよりそろそろ下ろせ』

 すあまの言葉をおはぎが補足する。

 別世界を僅かな期間で支配し、さらにこちらの世界まで支配しようとするアンゴルモアがただの手下。その話を信じるなら全ての元凶はこのサキュバス。

 逆を言えば、このサキュバスを倒してしまえばそこで終わりだ。ララにとっても好都合。

『あなたの目的は私に仕返しをする事だけですか?』

『今はね。後の事は後で考えるから。でもやっぱり昔と同じかも。カッコ良い男の子だけを集めて、私はちやほやされたいんだよ。だってある意味で夢じゃない?』

『この子は基本的にぼっちだからハーレムに憧れるダメな子なんだ』

『ちょっと。タマタマ触るよ』

『やめろ!!』


 そうして王立学校で戦いが始まるのである。

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