表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
リトライ!!─救国の小女神様、異世界でコーラを飲む─  作者: 山本桐生
神々の手編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

160/244

心と体

 そんなわけで特訓も終了。

 塔から戻ると既に編成も終わっていた。


 司令部。

 俺、ヴォルフラム、ホーリー、アルタイル、シャーリー。他200名。

 まぁ、いつも通り、ヴォルフラム達4人は俺の護衛だね。それとは別に王国兵とギルドの冒険者が周りを固める。ついでに予備隊の人数も含まれている。


 救護班。

 タックルベリー、フレア、アリエリ。他100名。

 タックルベリーは回復と護衛、フレアは回復と負傷者回収、アリエリは負傷者回収と護衛。


 第一本隊。

 隊長ビスマルク、副隊長ヴイーヴル、ミツバ。他600名。

 とにかくの大火力。


 第二本隊。

 隊長ミラン、副隊長ドレミド。他400名。

 基本的には第一本隊の補佐となるが、ビスマルクが離脱する場合はこちらが主隊となる。

 防御と攻撃のバランスが取れた隊。


 遊撃隊その一。

 隊長リアーナ、副隊長タカニャ。他300名。

 基本的には自由に動いてもらう。


 遊撃隊その二。

 隊長ロザリンド、副隊長フォリオ。他300名。

 こっちも基本的には自由に動いてもらう。


 偵察班。

 ベルベッティア、キオ、ハリエット。他50人。

 先行して偵察、索敵、場合によっては敵の足止め等の役割を担ってもらう。


 連絡班。

 リコリス、ユリアン。他50名。

 各隊、各班の連絡と連携が主な役割になる。


 そんな大編成になっていた。


★★★


 特訓の終わり、戦いの始まり。その間。

 元同級生の三人がちょうど集まっているので。

「リアーナ、ロザリンド、恋バナしようぜ、恋バナ」

「どうしたの急に? シノブちゃんってあんまりそういう話に興味無さそうだったのに」

「いやさ、リコリスとユリアンを見てたらね。リアーナもロザリンドも学校では人気あったでしょ。二人とも彼氏とか全くいなかったの?」

「私はいないわね。あまり考えた事も無いわ」

「そうなの? ロザリンドちゃんはパルさんと仲良いからてっきり……」

「待って、リアーナ。その話詳しく」

「二人ともたまに一緒に出掛けるから……ロザリンドちゃん……もしかして秘密だった?」

「あの浮気モンがぁぁぁぁぁっ!! ロザリンドと私の二又だったかぁぁぁぁぁっ!!」

「完全に誤解ね。特訓に付き合ってもらっているのよ。私の攻撃は殺傷能力が高過ぎて、普通の人には試す事ができないから」

「ああ、刀に魔法を乗せるヤツでしょ? パルってそういうのも手伝ってくれるんだ?」

「代わりに女性の好きそうな事や物を教えてあげているわ。シノブの為に色々と調べているのよ」

「凄い……シノブちゃん……アバンセさんにも、パルさんにも愛されているんだね」

「さっきパルの事を二又って言っていたけど、シノブもあまり変わらないんじゃない?」

「あ、それ私も聞いたよ。二人を誘惑しつつ利用しているって」

「だ、誰からそれを!!?」

「ヴォルから」

「私はシャーリーちゃんから」

「あの野郎ども!! 余計な事を喋りやがって!!」

「そろそろシノブもハッキリさせたらどう?」

「だ、だって本当は自分でもよく分からないし……って、私の事はどうでも良いんだよ!!」

「自分で言い出したくせに」

「そうだ、リアーナ!! リアーナはどうなの? 好きな人とか」

「う~ん、好きなのはシノブちゃんかな」

「よし、結婚しよう」

「あはははっ、そうだね。だってほら、シノブちゃんって時々だけど男の子みたいに見えるから」

「それ、私も分かるわ。今は昔程ではないけど、言葉だったり態度だったり、男性みたいに見える事があるのよ」

「そ、そう? 自分じゃ分からないけど」

「だからかな、他の男の子とシノブちゃんを比べちゃう事があるの。そうなるとシノブちゃんにはみんな勝てないかなぁ」

「見た目はこんな子供なのにね」

「ロザリンドだって子供みたいな胸じゃん!!」

「む、胸は関係無いでしょう!!」

「ちょっと二人とも」

「今、この空間で貧乳が多数派。巨乳は黙ってて」

「そんな……」

 なんて会話もたまに繰り広げられるのであった。


★★★


 ここはアバンセの館。竜、不死身のアバンセが山の中腹に建てた館。俺の為にだ。しかも前には無かったはずだけど、庭にはちょっとした庭園が出来上がっていた。

 色とりどりの花が咲いている。

「これ……アバンセが植えたの?」

 隣に立つ人型のアバンセは得意気な表情を浮かべていた。

「そうだぞ。前に花の都に行った事があるだろう? シノブも楽しそうだったからな。規模は小さいが、ここにも作ってみたんだ。ちなみに向こうには野菜も植えてある」

 竜なのに……俺の為にガーデニングに家庭菜園まで……

 俺は片手を差し出す。

「ん」

「ん?」

「手ぇ。繋ぐんでしょ?」

「も、もちろんだ!!」

 嬉しそうに笑うアバンセ。

 二人で小さな花園を回る。

 アバンセの野郎、めちゃくちゃ嬉しそうな顔してやがる。

「アバンセはそんなに私の事が好き?」

「もちろんだ。何を今更」

 即答。

 思い出すのはロザリンドの言葉。


『そろそろシノブもハッキリさせたらどう?』


 ハッキリなんかさせられない。

 どこかおかしい……心と体のバランスが崩れているような感じ。パズルがきちっと合っていないような心地悪さ。

 前世では男だったから、今の体は女でも、心は男だと思っていた。実際にリアーナやロザリンドを含めて女性に興味があるし。

 ただ同時に今のアバンセの言葉が嬉しくも感じる。アバンセの男の体で、俺の女の体を触られる事が嫌じゃない。

 心が体に影響を受けているのか……だとしたら、いつか前世の俺は完全に消えてしまうのか?

 分からない。

 けど……


「私はアバンセにまだ『好き』とは言ってあげられないけど……」

「ああ」

「嫌いじゃないよ」

「……そうか」

「だからね、いつかは結論は出ると思う。その時まで待ってられる?」

「前にも言っただろう。竜の時間は長い」

「アバンセが望む結果とは違うかも」

「構わない。時間は長いんだ。その後に結果も変えてみせよう」

「馬鹿じゃないの」

 俺は笑った。

 そしてアバンセも笑うのだった。


★★★


 その突然の報告に俺は言葉を失う。

「島国が……降伏?」

 ロザリンドの故郷でもある島国が、アルテュールの軍門に下ったのである。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ