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リトライ!!─救国の小女神様、異世界でコーラを飲む─  作者: 山本桐生
プロローグ

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勧誘と編入

 王立学校。そこは5歳から20歳まで、選ばれたエリートだけが通う事を許された学校。

 今現在、俺やお姉ちゃんが通っている学校は、このエルフの町の中だけのもの。しかし王立学校は違う。エルフの町はもちろん、大森林を含めたこの王国、大陸中から優秀な人材が集まるのだ。

 そしてその王立学校の最大の特徴は入学試験の他に、大陸中から優秀な人材を勧誘している所。

 その王立学校から、お姉ちゃんに勧誘があったのだ。つまり王国にお姉ちゃんの優秀さが認められたという事。

「本当に編入するの?」

「そのつもり」

「そっか……お姉ちゃん行っちゃうんだ……」

 王立学校の場所は遠い。馬車や徒歩を使い3ヶ月は掛かる。簡単に行き来が可能な距離じゃない。王立学校に通うとなれば何年も帰って来れないかも知れない。

「寂しい?」

「いや、全然」

「寂しいよね?」

「いや、全然、全く、ちっとも、これっぽっちも、少しも寂しくないんだけど」

「ちょっとシノブ……」

 ギュゥゥゥゥッ

「いひゃい!! ほっへをひっぴゃらわいれ!!」

「シノブが冷たい事を言うから」

「だ、だってアバンセに頼めばそんな時間掛からないで会えるし」

 そう、距離的には遠いが、アバンセがいれば数時間程度で会えに行けるんじゃないか? そして方法はそれだけじゃない。

「そんな不死身のアバンセを乗り物みたいに……」

「それにサンドンの地下神殿は世界中にあるガーガイガーが造った道場と繋がっているんだよ」

 ガーガイガーの造った道場には必ずサンドンの地下神殿への出入口がある。そしてその道場は大陸中にいくつか存在していた。つまり地下神殿を中継地にして大陸中の瞬間移動が可能なのだ。まぁ、いくつか条件があり、頻繁に使えないのは残念だが、それでも充分に便利過ぎる。

「サンドン? それって古代竜・冥界の主サンドンの事?」

「あっ、まだお姉ちゃんに教えてなかったんだけど、私、サンドンとも友達なんだよ」

「古代竜と友達って……シノブはどこまで非常識なの……」

「お褒めの言葉として受け取っとくよ」

 お姉ちゃんと二人して笑った。

「でも……いつでも会えるわけじゃないから。本当は寂しい」

 俺はお姉ちゃんに抱き付いた。その俺の頭をお姉ちゃんが優しく撫でる。

「最初から素直にそう言いなよ」

「何で王立学校なんて行くの? 遠いよ。ここじゃダメなの?」

「私はシノブのお姉ちゃんだからね。見栄を張りたいの」

「……」

「シノブは凄い力を持っているし、アバンセなんて友達も居るから、本当は必要無いのかも知れない。でもね、それでもね……お姉ちゃんは、シノブを守ってあげられるお姉ちゃんになりたいの」

「そんな事どうでも良いのに」

「分かってる。だからこれはお姉ちゃんのただの見栄。その為にどうしても王立学校に行きたい、もっと力を付けたいと思ったんだよ」

 俺はバッとお姉ちゃんから離れる。そして顔を真っ直ぐに見詰めた。

「お姉ちゃんなら絶対、世界最強になれるよ!!」

「世界最強?」

「私だけじゃなく、世界を守れるくらいのお姉ちゃんになるんだよ!!」

「なれるかな?」

「当然!! 私のお姉ちゃんなんだから!!」

「シノブがそう言ってくれるなら頑張らないとね」

「だからね……」

「うん」

「……いってらっしゃい」

「……うん」


★★★


「いってきます」

 それからの準備は早かった。数日で支度を終えた。

 そしてサンドンに協力して貰い、お姉ちゃんを王立学校に近いガーガイガーの道場へと送り届ける。

 もう、この家の中にお姉ちゃんはいない……

 ……そりゃ、寂しいさ。今までずっと一緒に生活をしていたからな。でもお姉ちゃんは頑張っている。だったら俺も毎日を一生懸命に過ごさないと。なんせお姉ちゃんの妹なんだからな!!


★★★


 制服に身を包み、髪は自分でセットする。

 とはいえ簡単にだけどな。耳の後ろ辺り、後頭部にポニーテールを作る。そこに上から下まで真っ黒いリボンをランダムに巻き付けていく。そこから毛束を所々引き出しまして。あら不思議、パッと見で編み込んだように見える。しかも真っ白い髪に真っ黒いリボンが映えるぜ。ふむ、かわいい。


 学校。

 階段を下りていて、ふと思い付いてしまう。

 階段の手摺りに後ろ向きに跨る。

「シノブちゃん?」

「いや、前からやってみたいと思っていたんだよね」

 そのままお尻から滑り降りる。

 ズザー

 捲り上がるスカート。そして着地。

「パンツが丸見えだよ!!」

 リアーナは俺に合わせて階段を駆け下りた。

「まぁ、そうなるよね。あははっ」

「もう。誰も見てなかったから良かったけど」

「ちょっとリアーナも滑ってみ」

「やだよ!!」

「未知なるモノを求める冒険者……未知なる体験を求めなくて良いわけ?」

「冒険者って言われれば何でもするわけじゃないからね?」

「面白いから!! 一回だけ、一回だけ滑ってみて」

「……一回だけだよ」 

 そう言ってリアーナも階段の手摺りに俺と同じように跨り滑り降りる。

 ズザー

 やっぱり捲り上がるスカート。ふひひっ、パンツ丸見えだぜ。そして着地。

「えっと……リアーナさん、そういう事は危ないから止めてくださいね」

 滑り降りた先に立っていた男性教師。苦笑いを浮かべながら去っていく。

「めっちゃ先生に見られたね……」

「シノブちゃんがあんな事させるからでしょ!!」

 顔を真っ赤にしてリアーナは怒るのだった。


 なんて楽しいお遊びをしながらの2年は本当にアッという間なのである。

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