即断即決ノータイム
『け、警備員………』
思わずひまとハモってしまったが……警備員が俺らの素質ってこれって警備員(笑)生活を2年ちょい送ってきたからなのかやはりそもそもの素質があった、という事が証明されてしまったのかのどちらかだよな…。いやいやだとしてもどちらにしても笑えなければ喜べもしないんだけど……。
「あ、あははー…お揃いだねっ!亮兄ぃ…!」
「…こんな素質がお揃いで嬉しいか?」
「うっ…うーん…正直嬉しさ半減って感じかも……」
やっぱ流石のひまも少しは凹んでるっぽいな…。ひまだってまだ16の青春したい盛り、なんだかんだで華々しい系の素質に少しは憧れを内心で持っていたって感じなんだろうな。まぁ諦めろ…お前はお兄ちゃんと一緒で警備員(笑)が限界だったってことだ…。
と、俺たちの悲しみは放っておこう。今はそれよりもするべき事がある、何に差し置いても重要である情報だ。未知の世界、そんな世界に来てしまったんだ情報なんてあるわけがない、それで後々痛い目に合うのは俺たちなんだそれならさっさと気持ちを切り替えて少しでも情報をかき集める方がよっぽど有意義だ……とりあえずは王女様にこの世界の事を軽くでも教えてもらえれば良いんだが、果たして勇者でもないましてや役立ちそうな素質を持ってる訳でもないからな……。
「お待たせしてしまい大変申し訳ありませんでした…。えっと、おふたりの事はなんとお呼びすれば…?」
「はーい!ひまりって呼んでくださいっ!こっちは私のお兄ちゃん!亮介って名前だよ!」
「ひまりさんに亮介さんですね?ありがとうございます!マサヨシ様にはご説明させて頂きましたがこの世界のことについてお話したいのですがよろしいでしょうか?」
「うん!ありがとー!もちろん聞くよねっ?亮兄ぃ!」
当然だ、この世界のことを少しでも知るチャンスだからな…喜んで聞かせてもらうとも。
「では説明させていただきますね」
王女の説明をざっくりとまとめると
1.この国の名前はライリア王国
2.現在魔族と呼ばれる存在に攻められている
3.魔王と呼ばれる存在を倒す必要がある
4.その為に勇者召喚を行いマサヨシ君が呼ばれた
5.何故かその召喚に勇者じゃない俺たちが巻き込まれた…
マサヨシ君は勇者として魔王を倒すために訓練や魔物討伐などをしていくとして、問題は俺たちらしい…。王女からの提案もありマサヨシ君と一緒に所謂勇者パーティとして魔王討伐に参加してくれないか?と提案はされたが……
「「いえ!結構です!!」」
即断即決ノータイム拒否だ。いやというか2年ちょい引きこもってた引きこもりにそんな大役務まるわけもないし、よし!頑張ろう!なんて気力が湧いてくるわけもない。俺としては正直この城の1部屋を借りてずっとゴロゴロしていたいくらいだ…。だが流石にそんな提案する度胸はないからなぁ、と悩んでいたがどうやら王女たちも俺らの処遇を決めかねているようで……
「では、城の騎士として生活をするのはどうでしょう?もちろん初めは騎士見習い、という形からになってしまいますが…」
なるほど…勇者ではないからそれなら騎士としてなら城にも入れるし安全な衣食住は保証される、というわけか…確かにそれは悪くは無い…
横目でひまりを見るとひまりも俺と同じ考えなのか深く頷いてくれた。そうだよな…お前も同じ考えだよな。
そして俺とひまりは軽く息を吸い込み、同時に答えを答えた。
「「いえ!それも丁重にお断りさせていただきます!!」」
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