勇者召喚
目を開くと周りには騎士のような服装をした人、ローブを被っている人など様々な格好の人間に囲まれていた。そしてやはりと言うべきかその誰もが現代日本にいるような見た目ではなく、髪の色や目の色がアニメ等でしか見ないような色をしている。
極めつけにはどこからどうみたって私が王様です!と言わんばかりの見た目をした男が豪華な椅子に座ってこちらを見ている。
「よくぞ参った!異世界の勇者殿よ!」
「よかった…!これで我が国は……!」
「しかし何故3名もいるのだ…?」
「召喚するのは1人だったのでは無いのか……?」
あぁ、これもう会話の流れでわかったよ…どうせあれだって、さっき考えてたことが現実に起きたんだよ…どー考えたってマサヨシ君が召喚されて近くにいた俺たちが巻き込まれましたよパターンじゃん…アニメであるよこんな展開……。
とりあえずステータス!とか心の中で唱えてみたはいいけどなんにも表示されないし分かるような気もしないから俺が痛いやつみたいになったじゃん…。いや別に唱えたりした訳じゃないからいいんだけどさ…。実際に口に出してステータス!とかいってそれで何も起きなかったりしたら黒歴史確定だろこんな…
「ステータス!!!」
「ひま!?!?!?」
「なにもでない……」
「いやいやいや…ひま…気持ちはわかるけどそれ絶対後で黒歴史になるって…思い立ったら即行動!がひまの長所なのはわかるけど短所にもなりかねないよって……」
まさかひまと考えたことが同じでしかも実行するとは……自分がした訳じゃないのに似たような事を心の中で試してたがばかりに自分で試して不発だった、みたいな恥ずかしさが出てきてすげぇきつい……
「あの…よろしいでしょうか……?」
「あっ……す、すいません…。ど、どうぞ…」
焦って完全にテンパってる…まさか周りが見えなくなってるほどとは…少し落ち着こう…
「えっと…では、いきなり皆様を召喚することになってしまい、大変申し訳ございません。私はモニカ=ヴェルダース。このライリア王国の王女という立場にいるものです。そしてまず皆様にはおひとりずつこちらの石版に手をかざして頂きたいのですがよろしいでしょうか?それで皆様の素質を見させて頂きたいのです。」
「よく分かってないですけど…とりあえずそれに手をかざせばいいんですね?じゃあ俺からやります!」
マサヨシ君…すごいな…。疑いも躊躇いもなくその行動を取れるのか、やっぱり俺は捻くれているのか疑いすぎなのかだろうか…。まぁ俺の予想が正しければきっとマサヨシ君は……
「っ!!勇者の素質をお持ちのようですね…!お名前を伺っても…?」
「あ、武田 正義です!」
「ありがとうございます、マサヨシ様…!大変申し訳ないのですがマサヨシ様には勇者としてどうか我が国を、世界を救っていただきたいのです…!!」
「せ、世界を!?ど、どういうことですか…?」
まぁそうなるな…。高校生がいきなり知らないところに連れていかれて世界を救ってくれ、なんて言われたらこんな反応になるだろうな。まぁとりあえずは王女様がマサヨシ君と話している間に自分の素質とやらを見ておこうか。
「ん?亮兄ぃが次に試してみるの?」
「あぁ、勇者はマサヨシ君で確定したとはいえ自分の素質が何なのかは把握はしておこうかと」
「じゃー私はその後にためしてみよーっと!」
結果として…俺とついでにひまりの素質は奇しくも同じ素質であった。というかまさかほんとに自分にこんな素質があったとは……この石版壊れてないよな?事実は小説よりも奇なり、とはよく言ったものだな…。
素質『警備員』
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