第32話 それが侍だ
(な、なんで避けられたのよ! 見抜く能力なの? だとしたらやっぱり能力者!? こっちは引きつけなきゃ当たらないってのに、さっきは運良く逃げれたけど……)
走り出す進を一度振り返る色葉。先程、進を引きつければ基本的には命中することが分かった。だがやはり至近距離でなければ当たらない。そしてあの距離でさえ進は避けてみせた。
もう一度引きつけるのは危険すぎる。先程と同様に避けられれば次こそ命は無い。
(んっ? 追ってるのに武器を飛ばしてこない? 当たらないと諦めてるのか?)
投擲が来ないと分かれば、進は憂いなく全力疾走できる。
そして、色葉はある覚悟を決めた。
(……こうなったら、やるしかない)
それは、まだ能力を上手く扱えていなかった頃に用いた方法。ただ“目標に指を差す”という単純なものだ。
(使いこなしてみせる)
色葉ははらりと後ろへ振り返り、左手を持ち上げ、追ってくる進に人差し指を向けた。親指は立て、ピストルを模した形にする。
途端に色葉の焦点は合わなくなった。視界が壊れる、色が抜ける。そこは、色彩を失くした世界。
全てがモノクロに写り、黒い模様の何かが動いている。――進だ。
(目眩がすると思ってた。……そんなことなくて、ただ心地いい)
指の先、照準を進に合わせる意思もなく、本能がひとりでに狙いを定めた。
ゾワッ。
進は指先を向けられ、身の毛がよだつ。強い殺意を悟った。
(何か来る!)
進は動きながらも身構える。これまでならば走っているだけで避けられた。当たるのことなどなかった。だが、今回は何かが違う――。
色葉は指の標準が合うのと同時に、無意識に右手で短刀を一つ投げ、能力を発動していた。
もう進の元へ転送されている。
(どこだ。どこから来る? いや、もう来てるんじゃ――)
――真横から来た武器を、当たる寸前に刀で受けた。
感触はズシリと重く、生身で当たれば絶命してもおかしくはない。勝手に動いた右手が命を救ったのだ。
驚きと状況把握により、進の進行は止められた。
「やっぱり、こっちの方が当たる」
立ち止まった進を見て、色葉も足を止めてそう言った。
「さっきと全然違ぇじゃねぇか。指差し確認だけでそんなに当たるのか? ……なら最初からやれって話だぜ」
進は冷や汗を流しながらも口角を上げてみせる。
(右手痛ェ……何とか防げたが、マジかよ、おい。ついでにこっちはゲートも何も感じられなかった。やっぱり見えたのは偶然だったか)
先刻の攻撃、進はゲートの位置を見抜けてなどいない。向かってくる短刀が日光に照らされ、間一髪で反応できただけである。しかし偶然はそう何度も起こらない。
色葉が指ピストルをやめると視界がまた元に戻る。思考もいつも通りだ。違うのは、“本気モード”ということ。
「もう、正真正銘の手加減なしよ」
「次は逃がさねぇ。本気で行こうぜ」
色葉は自信が、進は強がりが背中を押した。
進は再び“走攻剣撃”と“修羅馬速”の合わせ技で色葉へ迫る。
色葉は慣れた動きで後ろへ下がりつつ、指でピストルを作る。
色葉の脳内は二度目のモノクロ世界を迎えた。
(“転送”、六線、“転送)
投げられるのは右手のみ。六つの武器を二回に分けて瞬時に飛ばす。
モノクロ世界――“色彩消失”は一種の技である。彼女自身がまだその力に気づけず、使いこなせていないだけなのだ。
この国のある者は『能力とは魂から現れる幻想』と言った。それに加え、魂は体より先立つとすれば、魂から生じる能力も体より先立つ。ならば体は能力に適応するべく働き、適応するべく変化し、特化するだろう。
彼女の場合はモノクロ世界がそれに当たる。能力である“転送”を使いこなせるように備わった特殊技能。
(今投げた。来る、どこからか、必ず来る!)
(“術式解放”)
(いつの間にッ!? ゲートは見えなかったけど、俺に当たるのは分かる。……くッ、“瞬刃流球壁”ッ!!)
今まで彼女の攻撃が当たらなかったのは技量がなかったからではない。むしろ動く物体を射抜くには相当な練度が必要だ。しかも自身が撃つのではなく、別のどこかから撃たなければならない。
例えるなら、ドローンから高速で動く物体を射撃しているようなものだ。しかもドローンにカメラはなく、自分の視点でしか狙えない。それに加え、操縦者は対象物から逃げ回りながら当てなければならない。となれば、難易度は極めて高い。
その難儀を可能にしたのが、“色彩消失”。能力に適応するための特殊身体機能。
色彩の情報を削り、全ての神経を用いて狙いを定める。本能的無意識の照準であり、感覚的には追跡可能の自動照準スコープである。指差しは幼き頃によく使っていたため、そのトリガーとなった。
――進は辛うじて四つを防ぎ、二つを避けた。
「はァ、はァ、危ねーなァ」
「足が止まってる。いい的ね」
進はまた走り出す。先程は運が良かっただけではない。
(あれがゲートか? 少しだけ、ほんの少しだけ何かが見えた気がするぜ)
進が危惧しているのは、このままゲートを見極められなければいつかは貫かれるということ。“瞬刃流球壁”は剣の流れで球体を作り出す技だが、投擲の威力で流れは乱され、防げる数には限度があった。
(勝機があるとすれば、全速力で突っ込んで距離を縮めること……でもあれだけの命中力なら自殺行為だろ。だとしたら、時間を稼いで魔力切れを狙うことが最善の策か?)
進が作戦を練りながら森を駆け抜ける、その間も雨のように武器が降り続けた。
(運がいいわね。でも、もう絶対に外さない。“転送”)
色葉が短刀を投げたと同時に、進は深い集中域に沈む。問題のゲートを見抜けなければ時間すら稼げずに潰されるからだ。
(一度だけ見えた。確実に見えたんだ。……あれを、あれをもう一度!!)
(“転送”、“術式解放”)
進の強い願いに、体が最大限に応えるべく足の先まで神経を研ぎ澄ませ、五感を活用する。
(感覚のその先を見せろ!!)
――六つの武器が顔を出す。
目を開けていれば何個か見えたかもしれないが、進は要らない情報は閉じるの精神で目を瞑っていた。
(クソッ! ダメだ! いや、待て。落ち着け。来るなら来い! いや、違う。強く思うな、思えば思うほど分からなくなる。……感情はいらない。体の好きなようにやらせろ)
混乱の中、不安に襲われながらも模索する。
そして、
――無慈悲に武器が降り注ぐ。
(“瞬刃”……“流球壁”!!)
――剣先で二つを弾き返し、左手は石をも砕く程の握力で短刀を掴んだ。
「捕まえたぞ……」
左手からは二滴の赤い血がゆっくりと流れ落ちる。握る短刀の先と睨み合う進。
「やっと見抜いた」
進はゲートを感覚で見抜いた。しかし今回見抜けたのは一つのみ、それには犠牲が多すぎた。太もも、背中、腹には深く短刀が刺さっている。
理由は、最後の最後まで打開策が浮かばず、ただ『あの時ゲートを感じられた』という漠然としたものを信じたからだ。
「自分の感覚なら死んでも信じてやろうと思ったが、やっぱ信じて良かったぜ」
その言葉に後悔の入る隙はなかった。
ゲートさえ見抜ければいいと思った進は六方向の一方にのみ全神経を集中させた。“瞬刃流球壁”をその場凌ぎで展開したが、精度は落ちて二つしか防げず、残る三つの犠牲となった。
だが、一方に来たゲートの歪みを感覚がはっきりと捉え、目を瞑りながらも左手で止めたのだ。
「偶然なんかじゃなかった。俺には、それが見えたんだ」
今回は最後まで諦めなかった進の勝ち。恐怖に怖気付いたままでは何も得られなかっただろう。
選んだのは犠牲、あとは勝ち取った答えをどう活かせるかだ。
「何が見えたっていうの! ボロボロじゃない! 絶賛苦戦中で死にそうなくせに!」
「うるせぇ! 悪戦苦闘ってのは強くなるためにあるんだ! ボロボロなのは勲章だ! 俺はまた成長したぞ。それに比べてお前はずっと逃げやがって! 正々堂々掛かって来やがれ!」
「その手には乗らないわよ! 瀕死のくせに!」
「こんなの……ッ、優次郎の痛みと比べたらなんでもねぇのさ。さあ、今度はもっと強いの投げてきやがれッ!!」
やはり痛みが強い。もし短刀が爆破式なら死んでいただろう。彼女がそうしないのは魔力がそろそろ底をつくのと、指ピストルに意識を持っていかれたからだ。
進は深々と体に刺さった三つの短刀を抜き、体内操作で気持ち程度の治療をし、再び走り出す。
「……馬鹿正直に向かってくるしかないようね」
指をピストルに、するとまたモノクロの世界。無意識の自動照準は動く進を逃すことなく追い続ける。
(“転送”、六線、“転送”、“術式解放”)
投擲までの手際は相変わらず速く、いつの間にか転送が終わり、対象に当たるのを待つのみ。
――突如空中に出現した短刀は音を忘れ、殺意は忘れず、突き進む。
物理法則を超えた転送ゲート、それは自然ではない不純物。そのゲートは空間にヒビを入れ、摩擦を起こし、自然に溶け込もうと掻き乱す。そして不自然に混ざり、歪みを生む。
それに気づく者はいない。おおよそ人間が感じ取れるモノではない。
けれど、先程命の危機を持って得た感覚がはっきりと覚えている。“お前がゲートだ”、と。
――先鋭なる六つの投擲、進は豪快かつ的確に打ち払った。
「もうそれは見切ったっつッてんだろ!!」
進は言葉を吐き捨て、止まることなく駆け抜ける。
だが色葉がそれに動じることはない。なぜなら、モノクロ世界では集中すればするほど自我を保てなくなるからだ。モノクロ世界に慣れていない色葉は技に呑まれ、進を次々と狙い撃つマシンのようになっていた。
(“転送”、六線、“転送”、術式解放)
淡々と技を繰り出す。ほとんど無意識であるため、魔力残量も体力も考慮していない。
進の体力も相当に削られてはいるが、動力源は魔力ではなく底なしの根性である。進自身の体力も危ういというのに、色葉と距離を詰めつつ魔力が切れるのを待っている。
(もう完全に見切れる。痛みで感覚も冴えてるから余裕だぜ。……でも突っ込むにはまだ早い。もう少し魔力削ってからだ)
進の体力が尽きて投擲の餌食となるか、色葉の魔力が尽きて進に倒されるか。終幕はもう時間の問題だった。
「……狙いは合ってるはずなのに。当たらない」
モノクロ世界が少し霞み、自我が少し漏れる。
(思い出せ、師匠との修行を!)
思い出すのは大和言葉。何気ない言葉にも意味はあり、進は胸に刻んできた。
――敵の考えを予測しろ。お前は向かないだろうが、敵の嫌がることを最大限にしろ。
進はただ距離を詰めるだけではない。敵の視界から逃げ、障害物を飛び越えては隠れ、相手を揺さぶるように左右に動く。
色葉からすれば追い詰められれば不利になる。その中で攻撃が当たらないのは焦る原因となる。焦れば焦るだけ判断力、集中力は鈍る。
そうさせるべく進は痛みに耐え、自分を強く見せる。そして相手に絶望を与えるのだ。
(当たらない! 当たらない! 当たらない!)
色葉は狙い通りに不安に襲われる。モノクロ世界は壊れていき、自我が表れていく。
二人の攻防は続き、形勢は変化している。それは進の慣れと、色葉の魔力切れによるものだ。
(余裕だぜって顔するのも辛いな……けど、効果はあるみたいだ。色葉の顔に焦りが見える)
「いいぜ、いいぜ、今超楽しいぜ。でも、ヘボい弾じゃ飽きてきたな」
進は気持ちで上回ってみせた。けれども全身の痛みで笑顔は少し引きつっている。
「舐めるなッ!!」
「だから、当たらねーッて」
進の煽りはよく効いている。色葉は対人戦に慣れておらず、心構えもない。精神的な攻撃は弱点だった。
命中率を上げるには冷静さが必要だ。
「あ、やべっ」
(今だ!)
進がよろけ、それを見逃さず、渾身の“転送”で潰しにかかる。
ゲートを見抜いた進は色葉を一瞬睨み、笑う。
「――フェイントだよ」
砂埃が舞う。投擲が地面に当たった証拠だ。
「引っかかったな?」
あと一テンポ早ければ当たったかもしれない。それが更に色葉の苛立ちを加速させる。
ところが色葉はピストルの指を下ろした。
「ハァ、ハァ、ハァ」
息が上がり、モノクロ世界が途切れ、完全に意識を取り戻す。どっと体中に疲れが溢れ出る。魔力の使いすぎと、不慣れなモノクロ世界によって限界がすぐそこに迫っていた。
(決めるなら、今だ)
進の体力も残りあと少し。色葉と進の直線上に障害物はなく、あるのは少しの斜面のみ。
この期を見逃すわけにはいかない。
――右足を踏み込みんでは瞬く間に斜面を駆け上がる。
(来たっ……!)
(殺しはしないが、お前は危険だ。多少強引にでも動けなくするぞ!)
色葉は左手を上げ、右手で六つの短刀を投げた。
(“転送”)
指をピストルに、最後の力でモノクロ世界に入る。極限の体力により、初めてモノクロ世界でも自我を保てた。
(出し惜しみはできない。……なら、最後は最大火力でいくわ。“転送”、術式解放、術式解放)
これは術式を二回重ねた技。
術式とは、武器に組み込んだ妖術のこと。爆竹のようなもので、火力を上げる役割をしている。武器一つにつき二回のみ使用可能。
二回同時に術式を解放すれば、火力もそれだけ上がり、速度も上がる。
――加速した短刀がゲートを抜ける。
(さっきより速い!!)
進は最後にミスをした。馬鹿正直な突進、直線をただ走るのなら色葉は待っているだけで必ず当てられる。そして、近くに来れば来るほど的も広く、命中する確率も上がる。
転送された位置は進を囲ったところではなく、進の真正面。六つのゲートが、開かれる。
至近距離、しかも火力と速度は上がっている。進の体力的にもう直線に進む他ない。当たるのを待つしかない。
――短刀は、稲妻の如く猛烈な速さで空を駆ける。
(くそッ、ゲートを捉えたのに、弾が速すぎて防げないッ――!)
最後に色葉の判断が功を奏した。あえて進が迫るのを待つことで、至近距離かつ完璧な照準にし、そして二回の術式解放による火力の底上げしてみせた。
進がどんなカラクリで投擲を避けるかは分からずとも、それを帳消しにできる環境さえ整えてしまえばいい。
不可避攻撃。
(や、ヤバい。終わった――)
その瞬間、生命危機のサイレンのようなものが頭の中で鳴り響く。死ぬときはいつも、本能が『生きろ』と伝えてくるのだ。
(うるせぇ、分かってんだよ! でも、今は)
通常ならば危機を知らせてくれる警報なのだが、今は既に危機を承知している。進にとっては焦らせるノイズでしかなかった。
(ゲートを見抜く感覚も、これじゃ意味がない。“瞬刃流球壁”で防ぐか? ……駄目だ。あの速さじゃ全部は防げない)
六つの投擲が一つも余すことなく体を貫くことは軌道から嫌というほど分かっている。
(……“無空断絶”? 無理だ。まずあれは広範囲でもないし、師匠が最上級の技って言ってた。ああ〜! クソッ! 何かねェのか!)
進の思考は凄まじい速度で回るが、どれほど考えても打開策は浮かばない。
(第一、あの技って前に失敗して……って、そういやあの時、攻撃が止まって見えたような)
それは罠の槍が飛んできた時、とてつもない速さのそれが止まって見えた。あの時は進の体が追いつかなかっただけであり、動体視力でいえば完全に見切れていた。
(……そうだ、そうだよ。あの時の集中があれば攻撃は見えるんだよ。……“無空断絶”だって完璧な精度が要るわけじゃない。当たらないように向きを変えてやる程度でいい。……それなら今の俺にもできるよな)
無駄だと思えた記憶、そこから逆転の策は生まれた。
(やらなきゃ駄目なんだ。……じゃあ、行こう)
危機感か、緊張か、集中領域にはすぐに沈めた。恐怖や不安、それらで焦ることも怯えるもことなく、本気の進の前ではどれほどのマイナスも背中を押す材料にしか成り得ない。
集中領域は暗く、どこまでも未知であり、慣れるという感覚が正しいのかも分からない。もしかすると現実に戻れなくなるかもしれない。けれども、ここは怖くない。むしろ、ずっと居たいと思えてしまう。
(……まだだ。こんなんじゃない)
深く、深く。
深海のような暗さが包む。
(もっと行けるんだろ?)
感覚的にはあと少し。
もう一歩。
――そこは集中領域の奥深く。
もう少し。
そこにあるのは、
(心の……壁……?)
進が知覚したのは白く光り輝く場所、集中領域の更に別の領域。
五感でも認識できない“心”というモノがあるとそれば、そこには五感などでは測り得ない新たな“感覚”があるかもしれない。……もう“感覚”ですらないのかもしれない、“何か”が。
手を伸ばし、触れた。
――その時、進は視覚ではないもう一つの目を開いた。
(ッ、止まって見える。……遅すぎるんだよ)
その感覚は五感の先、第六感。
その正体は誰もが持っているもの、捨てたくても捨てられず、自覚せずともそこにある、人を人たらしめる存在。
――心。
この第六感に名を与えるとすれば、“心眼”。
進の眼は淡く蒼く輝く。空のように高く、海のように深いものを宿して。
(……眼では見極めた。あとは体が追いつくかだ)
視界の中をゆっくりと六つの投擲が迫りつつ、進は最後の覚悟を決めようとしていた。
前回は槍一つですら上手く操作できなかった。今回は六つ。しかも、目では捉えられても実際には一瞬だろう。
(どんなに頑張っても今の体じゃ感覚に追いつかないだろう。きっと二回も振る間もない。……やるなら、一撃だ)
その緊迫感が、不意に集中域を揺らがせた。
だからこそ進は、また真っ暗になりつつある集中域のど真ん中で叫んだ。
(信じろ。俺を全力で信じろ。信じる想いを剣に乗せろ。――それが、侍だ!!)
それに共鳴するかのように辺りは壊れ、広がり、現実の感覚に戻った。
全身が“行け”と言っている。
進が覚悟を決め、全身に力を入れた時、六つの短刀は恐ろしい速さで飛び掛かる。
(――それがッ、侍だ!!)
――鬼をも穿つ六つの雷撃、一太刀にして全て薙ぐ。
六つの短刀は進に掠ることもなく、無力で無情にも後ろへ走り去っていった。
「なっ!?」
「――やっと、捕まえたぞ!!」
――ひと休みの後日談ズ――
『“心眼”』
目で見えずとも、捉えられずとも、心の眼で見抜く。実を見抜き、見極める。第六感の一つである。
その目は、おおよそ全てを見通せる。
『“色彩消失”』
モノクロ世界。
“転送”の能力に特化するために備わった技。視界をモノクロにすることで、色彩情報を削る。動くものは目立ち、照準を合わせる。
この技のトリガーは指ピストル。
半ば本能任せであるため、意識が持っていかれ、思考が停止することもある。
32話時点では自我を保てない。意識があれば射撃マシンにはならず、効率のいい策や技の選択ができたであろう。




