表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
夜露死苦! 異世界音速騎士団"羅愚奈落" ~Godspeed You! RAGNAROK the Midknights~  作者: 石川博品
第1突堤 大日本音速騎士団 "羅愚奈落" 出ッ発!
9/54

1-8 4人目……!?

 翌朝、俺が教室に入ると、ざわめきが起こった。


「オ、オメー、マッハクンとタイマン張って無傷なンかヨ……!?」


 吉本よしもとが目を丸くしている。


 昨日はあのあと異世界で暴走行為につきあわされたので学校にはもどっていなかったのだ。


「なんとか無事に切りぬけたよ、ハハハ」


 俺は笑ってごまかした。前の異世界から能力が引きつがれて――なんてことを説明するわけにもいかない。


 同級生たちが俺を遠巻きにして何やらささやきあう。


「このダサ坊がマッハクンとタメ張る実力だってのかヨ……!?」


「この学校の勢力図がかわるゼ……!?」


「やっぱ少年院ネンショー帰りは伊達ダテじゃねーナ……」 


 周囲の声の中に聞きずてならないフェイクニュースが交じっているようだが、気のせいだろうか。


 彼らの中から3人の男が立ちあがり、俺に迫ってきた。いずれも接客業の面接には決して受かりそうにない髪形・髪色をしている。


「コイツをブッチメりゃー俺もマッハクンと互角以上だってコトだよナ……!?」


「こんな雑魚ザコ1匹()るだけで名前あげられンだからオイシー話だゼ……!?」


「ヒャハァ! 鯖ヶ崎(シャバ)コー1年シメンのは俺たちだァ……!?」


 何なんだコイツら……。人を殺して名前をあげるってどういうこと? 旅の武芸者みたいな世界観を持ってらっしゃるのな。


 取りかこまれて、襟首えりくびをつかまれる。


「ヒッ……」


「ヘヘヘ、いただきィ」


 DQNが拳を振りあげたそのとき――


 背後で戸が開かれた。


「オイオイ、うちの旗持ちに何してくれてンのヨ、彼氏ィ……!?」


 ふりかえると、そこにはマッハクンが立っていた。そのうしろにはナイトとフブキもいる。


「えっ……コイツ、イヤこのお方が羅愚奈落ラグナロクの旗持ちィ……!?」


 DQNが顔色をかえる。


 ナイトが相手の毛穴まで見えそうな距離からソイツにガンをくれた。


「オメー、その手は何ヨ……!?」


「イ、イヤ、コレは……ネクタイが曲がってたンで直してさしあげてたンス……ハイ……」


 DQNは俺から手を離し、乱れた襟を撫でるようにして直す。


 残り2人のDQNの前にフブキが進みでる。


「オメーら、コイツにアヤつけるってコトは羅愚奈落に弓引くンと同じだかンナ……!?」


 彼女がいうとDQNたちは、


「そ、そんなことしませンヨ……」


勘弁カンベンしてくださいヨ、フブキサン……」


 卑屈な表情を浮かべる。


 DQNから解放された俺はほっと一息ついた。


 羅愚奈落の面々が来てくれたおかげでDQNの魔の手から逃れられた。まあ、こっちもまたDQNなんだけど。


 昨日召喚したドラゴンがいってたことじゃないが、まるでともに冒険をするパーティーだ。


 ていうかこの学校、ソロプレイで生きぬくことがほぼ不可能って、難易度設定バグってんだろ……。


「オーシ、オメー、ココに名前書け……!?」


 マッハクンが机の上に日の丸の旗をひろげる。


 白地の部分に「桜木音速」「荒垣騎士」「大和扶々稀」と書かれている。


 ここに名を連ねたらもう引きかえせない。


 だが……暴走ハシりつづけるしかねえ! この学校で生きていくためには!


 俺はマッハクンから渡されたサインペンで旗に署名した。


「俺が羅愚奈落第4の男、山岡和隆やまおかかずたかじゃ――――――イ! 文句ある奴ァかかってこいやァ――――――ッ!」


 ヤケクソで叫ぶ声は静まりかえる教室に響きわたった。


 ごくフツーの高校生・山岡和隆が死んだ瞬間である。


 チームのみんなが集まってくる。


夜露死苦ヨロシクな、カズゥ」


「気合入れろヨォ……!?」


「俺らで関東統一すンゾ……!? 羅愚奈落はテン布武フブだかンヨ……!?」


 3人に肩を揺さぶられながら俺は、次に異世界転移するならのんびりスローライフ系のところがいいなあとぼんやり考えていた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ