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夜露死苦! 異世界音速騎士団"羅愚奈落" ~Godspeed You! RAGNAROK the Midknights~  作者: 石川博品
第4突堤 百機夜行 "拷死苦" 侵略すること死の如し!
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4-6 伝説の鎧……!?

 解放された町に住民たちがもどってきた。


 みな地面に転がる無数の骨を見て身震いする。


 さっき会った長老がたかの前に進みでてきた。


「さらわれた娘たちも無事でした。お礼を申しあげます」


「なーに、気にすンナ……!?」


 高瀬は革袋の水筒から水を飲んでいる。


「すぐにドリッジとりでへ向かわれるのですか?」


「オウヨ。俺ら走り屋はチンタラしてンのは似合わねーかンヨ……!?」


「よろしければ、この町に伝わる伝説のよろいをお持ちください」


「アァ……!? 伝説ゥ……!?」


 そのことばにゾクのメンバーたちが色めきたつ。


「かつて魔王を倒した勇者が残していったものです」


「伝説と聞いちゃ黙ってらンねーナ……!? ンじゃ、借してもらおーか……!?」


 そういって高瀬が特攻服を脱ぎかけたそのとき、


「オウ、オメーが着るって誰が決めたヨ……!?」


 マッハクンが思いっきりガンくれながら高瀬に迫った。


 唯愚怒羅死琉ユグドラシルのナンバー2がふたりの間に入る。


ケーヨ、小僧……!?」


「アァン……!? シャシャリの度が過ぎンゾ、高瀬のイヌがヨ……!?」


 にらみあっているところにナイトも参戦する。


「イマドキ年功序列は流行ハヤンねーゼ……!?」


「伝説ならいまから作らしてやンヨ……!? 200人いてウチら4人に負けたッつー伝説をナ……!?」


 フブキもトゲトゲ鉄球をひきずりながらやってくる。


 ところでその4人(・・ )って俺も含まれてんのか?


 この一触即発の空気に一番取り乱していたのが長老だった。


「あの……鎧というのは姫騎士様のものですので、ご婦人用なのですが……」


 姫騎士……この世でもっともすばらしい職業のひとつである。


「ッだヨ、女物レディースかヨ……!?」


 マッハクンが地面につばを吐く。


「ンじゃウチのモンだナ……!?」


 フブキがいたずらっぽく笑いながら周囲の男たちを見渡す。「さっそく着てみンベ……!?」


 長老の肩を抱いて立ちさろうとしたとき、


「誰がオメーのモンだって決めたヨ……!?」


 リコが腕を組み、フブキの前に立ちはだかった。


 フブキは口をゆがめて相手をにらむ。


「テメーはサラシの下に新聞紙でも入れときゃ充分だベ……!?」


「テメーこそ男たちの陰に隠れてりゃ鎧なんていらねーだろおがヨ……!?」


 いまにもつかみあいのけんがはじまりそうなので、俺は割って入った。


「まあまあまあ。とりあえず現物を見てみればいいんじゃないの?」


 俺のことばにふたりのオラつきがやや収まった。


「命拾いしたナ……!?」


「カズに免じて許してやンヨ……!?」


 鎧は長老の家で保管されているというので、ふたりは彼についていった。


「姫騎士の鎧なんてオメーにゃゼッテー似合わねーヨ……!?」


「アァン……!? ゼッテー着こなしてみせッかンヨ……!?」


 まだ口喧嘩をしている。


 というか、謎のおしゃれバトルの話になってきてないか?


 しばらくしてフブキがひとりでもどってきた。なにやら不機嫌そうな顔をしている。


「オウ、どーしたヨ……!?」


 マッハクンにたずねられても舌打ちするだけで答えない。


 やがて遠くの方からリコの怒鳴り声が聞こえてきた。


「ッだヨ……!? ざッけンじゃねーゾ、オオッ……!?」


 見ると、彼女は長老の胸倉をつかんでいる。


「オオッ、イイ眺めじゃねーのヨ……!?」


 マッハクンが歓声をあげる。


 遠目に見るとリコはほとんど裸に見えた。


 いわゆるビキニアーマーというやつである。


 なぜか脚はニーハイブーツで覆われていて、製作者の熱いこだわりを感じる。


「ッだヨ、この鎧はヨ……!? どお見ても防御ボオギョリョクキーじゃねーかヨ……!?」


 彼女は長老を揺さぶる。


「で、ですが、これは実際に姫騎士様が装備されていたもので……」


「何が姫騎士だヨ……!? コレじゃただのシュツキョオだろおがヨ……!?」


 唯愚怒羅死琉も肌色9割状態のリコにざわついていた。


「ウヒョー!」


「ドエレーパイオツゥ!」


「バカ……高瀬サンにブッ殺されッゾ……!?」


 マッハクンがフブキの方を見る。


「オメーがアレ着てたら胸ントコブカブカになってたベナ……!?」


 まわりにいた唯愚怒羅死琉たちが吹きだす。


 そちらをフブキがじろりと見た。


「いま笑ったヤツ、あとで切り刻ンでマグロのヅケみてーにしてやッかンナ……!? おぼえとけ……!?」


「ヒッ……」


「ただの小粋なジョークだベヨ……!?」


羅愚奈落ラグナロクは人々の笑顔さえ奪っていくンかヨ……!?」


 唯愚怒羅死琉のざわめきは次第にやんでいった。


 リコが人をかきわけてこちらにやってくる。


 彼女は特攻服を羽織って体を隠していた。


「ッたくヨォ、伝説だからッけどヨォ、こんなモンただの水着だろおがヨ……!?」


「でも、よく似合うよ」


 ご機嫌を取るためにそう声をかけると、キッとにらまれた。


「アァ……!? オメーもエロい目で見てたンかヨ……!?」


「い、いや、そんな……」


 俺はあわててかぶりを振った。「実は俺、おっぱいとか興味ないし」


 俺、こんな下手なウソついたのはじめてだわ。


「ならいいンだけどヨ……!? もしエロい目で見てたらキンタマ潰してたトコだゾ……!?」


 そういってリコは特攻服の前をかきあわせる。


「マジですか?」


 俺、1人の人間に2度キンタマ潰されかけたのはじめてだわ。今後の人生で3度目があってほしくはないし、2人目が登場するのもナシにしてもらいたい。


エーとこ砦の敵ブッ潰してーンベ……!?」


「そうだなあ」


 俺は特攻服の襟からのぞくおっぱいの谷間をちらちら見つつ、この先の砦でくりひろげられているはずの洗脳キメセクを幻視して、闘志その他をムラムラと燃やしていた。


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