表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
夜露死苦! 異世界音速騎士団"羅愚奈落" ~Godspeed You! RAGNAROK the Midknights~  作者: 石川博品
第2突堤 爆走純情戦乙女 "悪糾麗" 咲かせてみせます恋の花!
10/54

2-1 中坊……!?

第2突堤(ニトツ) 爆走ばくそう純情じゅんじょういくさ乙女おとめ"悪糾麗(ワルキューレ)" 咲かせてみせます恋の花!




 コンビニに一歩足を踏みいれた俺は、ため息をついた。


 なんてすばらしい場所なんだ。


 壁には落書きなんてなく、床には煙草の吸殻すいがらひとつ落ちていない。店の中を歩く人はつばを吐かないし、こっちにガンくれたりもしない。


 そういうのを全部乗せしたカロリー高めの学校が俺の通う私立(さば)()さき高校だ。


 校内で1日1回は殴りあいのけんを目にするとか、俺のクラス入学式では40人いたけど4・5・6の3ヶ月で10人やめちゃったとか、よその学校の人に信じてもらえなさそうなエピソードがいっぱいある。


 編入して1週間たつが、俺はいまだに慣れなかった。治安が悪すぎてとにかく疲れる。


 俺の心を癒してくれるのは登校時に立ちよるこのコンビニだけだ。


 菓子パンをひとつ取り、冷蔵庫の前で飲み物を選んでいると、背後から声をかけられた。


「あのー」


 ふりかえると、中学生男子2人組が立っていた。どちらもDQN丸出しの茶髪だ。制服から見て、俺の卒業した海山うみやま五中の生徒ではない。


「な、何……?」


「これ、よかったら使ってください」


 そういって彼らはかごを差しだしてくる。


 なんだなんだ、いい子たちじゃないの。


 すさんだ環境に身を置いているせいで、ついつい人を見かけで判断してしまった。


「ありがとね」


 俺は籠を受けとり、手に持っていたパンをその中に入れた。


 ふたたびジュース選びにかかる。炭酸が飲みたいけど、暑い教室に置いてたらぬるくなって不味まずくなるよな、などと考えていると、視界の端に何か違和感をおぼえた。


 足元に置いた籠の中に入れたおぼえのないサンドイッチがある。


「ん?」


 俺は顔をあげた。


 先程の中学生2人組が焼肉弁当とカレーパンとシュークリームとポテチとコーラを運んできて、俺の籠に放りこむ。


「え? キミたち何やってんの?」


 俺がたずねると、彼らはニヤニヤといやらしい笑みを浮かべた。


「おごってくださいヨ、先パイ……!?」


「俺らチューボーなンでカネないンすヨ……!?」


 マジかコイツら……。


 ふざけんじゃねえ! と怒鳴りつけてやりたいところだが、相手はどう見てもヤカラだ。喧嘩になったら確実に負ける。


 何もいえずにいる俺を尻目に、中学生たちは籠の中に商品をどんどん入れていく。


 こんなことがまかりとおるなんて許されんだろ……。この街には刑法って施行されてねーのか?


 怒りに打ち震えていると、店の外からブオンブオンとけたたましい音が聞こえてきた。


 中学生たちがそちらに目をやる。


「オッ、トッポい音出してンじゃねーの」


「見に行くベ」


 彼らは雑誌コーナーの方に駆けていく。


 その隙に俺は籠の中から弁当をひとつ取って棚にもどした。せめてもの抵抗である。


「オオッ、シルバーメタリックのZ400FX(フェックス)! シビー!」


「てことは、ひょっとしてあの人かヨ……!?」


 彼らのいうあの人(・・・)は店に入ってくるとまっすぐにドリンクコーナーへやってきた。


「オウ、カズゥ。どーヨ……!?」


 そこに姿を現したのは、朝っぱらから横分けをビシッとキメた荒垣あらがき騎士ないとだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ