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第03話 異世界支部

投稿しようと思っていた話を投稿するまえに思いつきで書いた話がようやく終わりました。

一応次からが本編です。

「んあ?」


「全く、お前はどれだけ気絶すれば気がすむのだ?」


 マスターが仰向けに倒れている俺を心配そうに見下ろしながら俺に言う。


「どれだけって2回目です。1回目はユウカ もといマスターのせいじゃないですか?」


「知らんな。 過ぎたことは気にするな、それより早く起きろ」


 横腹の怪我を気にしながら、起きるとそこは何もない建物の中だった。


「ここは?」


「ここはギルドだ。ちょっと特殊だがな」


 そう言われて良く見渡すと、新品のように綺麗なクエストボードを見つける。

 どうやら新しく開けるギルドなのだろう。


「ギルドか・・・ どこの街に作ったんだ・・・ですか?」


「その前に、もう敬語はやめていいぞ?

 というか、敬語になってない時の方が多いよ。ユウカと同じで」


 結構頑張って敬語を使おうとして来たのに・・・


 俺の努力なんて知らないマスターは、にこやかに笑いながらそう言う。

 俺のプライドにヒビが入る音が聞こえた気がした。


「・・・そうする」


 そう言うとマスターは満足そうに微笑み、入り口と思われるドアを開けた。



 そのドアの先に広がっていたのは真っ白な世界。

 何もなく、ただの平地がずっと続いていた。


「なんだ?ここは」


「ここは、全ての世界を繋ぐ中心となる世界だ。

 つまり、どの世界にでも行く事ができる」


「ど、どういうことだ?」


「ソルは鈍いわね。そんなの決まっているじゃない?」


 後ろから黒髪の美少女(ユウカ)が出て来て声をかける。


「つまりここは『ライゼフォールズ』の異世界支部、ということだ」


「異世界・・・支部?」


「そうだ。本来、異世界の生物を私たちの世界へ召喚する魔法、召喚術は禁忌とされている。

 ソルが仲間から受けた呪いもその禁忌の1つだ」


「マ、マスター。気がついてたのか?」


「お前が酒を飲みながら良く話していただろう?」


 知らなかった。

 毎日のように泥酔するまで飲んで、記憶がなかったけど、まさかそんな事を話していたなんて・・・

 今度から飲み過ぎないように注意しよう。


「だが、あちらからユウカのように勝手にくるやつは結構いるのだ。

 ならば、世界間でお互いに干渉し合っても問題はないはずだ。

 というか、何度か『ライゼフォールズ』には異世界からの依頼を受けているしな」


「・・・・全然話についていけない」


「つまり、この異世界支部では異世界からの依頼を主として受ける。という事ですよね?」


「さすがユウカ、物分かりがいい。

 そこでだ、この異世界支部をやる上でマスターが必要になるのだ」


 そう言うとこちらを見て、続けてこう言った。


「ソル、君の実力はこのギルドを任せるのに値する。君がマスターになれ」


 その言葉を認識するのにはあまり時間はかからなかったが、理解するのには少し時間がかかった。


「えーっと、どういうことだ?」


「だから、君は私にここの異世界支部のギルドマスターに任命されたのだ」


「マスターってローザの支部のマスターなのにそんな事を決める権限なんてあるの?」


 これは1番最初に浮かんだ質問だ。

 ローザという超平和な街にある支部のマスターである、銀髪美少女エルフがいきなりのとんでもない事を言い出したのだ。

 この状況が俺以外の誰だとしてもそう思うだろう。


「全く、お前は鈍すぎるな。

 1つの超平和な街の、支部の中でクエストがダントツで少ないギルドの支部マスターにSSランクの冒険者が付くはずがないだろう?」


「えっ?」


「私は『ライゼフォールズ』の本部のギルドマスター、つまり『ライゼフォールズ』自体のギルドマスターだ」


 目の前にいる銀髪の美少女エルフがいきなりの放ち始めた魔力に驚愕し、冗談としか思えないその発言を否定できない自分に鳥肌が立った。


「マスターが・・・あの『剣聖』と呼ばれ『大賢者』の称号を持つシュトリ・・・さん?」


「そうだ。 私が『ライゼフォールズ』のギルドマスターのシュトリだ。

 それで、どうするんだ?

 私はソルがこのギルドのマスターとなるに値すると思っている。

 だから君にマスターになってもらいたい。

 けど、決めるのはソル自身だ」



 俺はギルドに捨てられた。仲間にも捨てられた。

 それだけでなくある種の呪いに近い魔法でかつての仲間に力を奪われた。

 それからは平和な街で適当に仕事をし、酒に溺れるような日々だった。


 そんな俺に手を差し伸べ、運命を変えるチャンスをマスターがくれている。

 俺は変えたい。万年Bランクの現状を。力を奪われたことを逃げ道にしていた日々を。

 そして、俺の歩む運命を。


 そのチャンスを逃さないために、現状いまを変えるために、未来を変えるために、俺はこう答えるのだ。


「是非、よろしくお願いします」 と。



 この日、異世界支部のマスターとなったこの瞬間から、俺の運命が大きく変わり、俺の新たな人生が始まるのだ。 そう確信していた。

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