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第02話 ケンドーは強かった

 俺は剣を抜いて相手へと向ける。


 すると目の前の奴は物凄い速度でこちらに向かってきて、剣を振り下ろす。

 その剣を捌き、こちらからも斬りかかる。


 しかし、それをあっさり受け止められ、剣と剣で押し合う。


 こいつ、めちゃくちゃ強い!!


 俺は宮廷騎士団の騎士長に剣術を教えてもらい、剣だけならほとんどの冒険者に勝ると思っている。


 だが、こいつは何かが違う。

 動きは少なく、素早い。

 なのに一振り一振りが重く、強い。


 習った剣術は王宮剣術に少しアレンジが加わったもので不意を突くような攻撃が多い。

 なのに全てを簡単に捌かれ、防がれる。


「強いな、お前」


「・・・・・・」


 ここで、こいつがさっきから殆ど動いていない ということに気がつく。

 動かない理由は3つ考えられる。

 1つ目はこの独特な構えをする剣術があまり動かないスタイルである ということ。

 2つ目は 今立っている場所に身体強化などの範囲魔法が張られている ということ。

 3つ目は その両方か だ。


 どちらにせよ、一撃離脱を繰り返せば相手の攻撃は届かない。


 そう結論を出し、素早く近づいて 一撃、二撃と攻撃し、相手が剣を振るその瞬間にバックステップで剣を避ける。


「その剣術も強いが欠点が多い、俺の方が一枚上手(うわて)だったよう――」


 ここで自分が相手に誘い込まれていたことを理解し、自分が相手の間合いに入っている事に気がついた。

 相手が攻撃してこない事に油断して警戒を怠ってしまったのだ。


 相手の方へ詰め寄ろうとした瞬間、相手が動き出し剣を上げ、こちらへ強く音を立てて踏み込み、剣を振り下ろしたのだ。


 俺はその動きを捉えることが出来たが、反応が遅れた。

いや、反応が早くても相手の方へ突っ込んだ時点で結果は同じだったと思う。


 持っていた剣を横にして両手で構え、振り下ろされる剣を防いだのだが、その桁外れの威力に剣は叩き割られ、手に激痛が走る。

 それと同時に相手の蹴りが横腹に放たれ、横腹に手に感じた数倍の激痛が走る。


 その時に女が被っていたフードが脱げ、黒髪の女の姿が一瞬視界に入り、すぐに視界が真っ暗になる。


 ーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 目が覚めると椅子に座った状態で拘束されていたので身動きが全く取れなくなっていた。

 脇腹はもう痛くない、とは言えないが申し訳程度の回復はされているらしく 軽減されていた。


 そこにはマスターと先ほどの黒髪ロングの美少女が話をしていた。

 マスターが超可愛い。


「お、起きたか。目覚めはどうだ?」


「その女は・・・」


「もうお前に危害を加えるつもりはないから心配しなくても大丈夫・・・です」


「それで、そいつとマスターはどんな関係なんですか?」


「・・・こいつは私の友人みたいなものだよ」


「そいつ何者なんですか? 俺、剣術なら結構自信があったんですけど、そいつの変な剣術が意外に強くて」


「変な剣術ではなく剣道です」


「け、ケンドー??」


「私の故郷の国に数百年ほど前から伝えられている武術の1つだ」


「故郷の国って?」


「あー、説明しておいたほうがいい?」


「あ、お願いします」


「まず、ユウカについてだ。

 こいつは 由奈浜ユウカ 優香ユナハマ、異世界から来た奴だ。

 んで、こいつは ソル。こう見えてもBラン――」


「おい、マスター。 サラッと流してるけど異世界ってどういうことだ?」

 

この世界には『召喚術』と呼ばれる魔法がある。

賢者と呼ばれる魔導師が複数人で儀式を行う必要のある禁忌の魔法の1つだ。


「まあいいや。 で、その異世界人とやらが俺を突然襲って来た理由は何?」


「ユウカを責めるな。 私がお願いした事だからな」


 横にいる黒髪の美少女は無言で激しく頷く。


「マスター? どういうつもりだ??」


俺からしたらタチの悪い嫌がらせにしか感じなくて少しムカついているのだ。


「ハッハッハー、そう怒るな!

 これはソルの実力を見て、任せるに値する実力かどうかを試すためにやった事だ」


「実力を測るのに半殺しにするか? 普通」


「まあ良いではないか。君の実力はよく分かった」


 それだけを言うとユウカの手を取り、もう片方の手で俺の頭を掴む。


「な、何ですか?」


「なあに、ちょっとね」


 それだけを言うとマスターは大量で複雑な魔法陣を展開し始めた。

 そして魔法陣の中心に現れた光に全身が包まれて――そこで意識が途切れた。

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