お願い
何を言っているの...?
その言葉しか頭に浮かんでこなかった
...私があのCOCONA?
そんなわけないじゃない
「...いえ、違いますけど」
「...そうか」
「そうですよ!桐谷さん
こんな奴があのCOCONAのわけないじゃないですか」
...こんな奴、ねぇ...
仮にもあなたの娘なんですけど?
「...折り入って頼みがあるのだが」
頼み?
「もちろんいいですよ!なんでしょうか」
いや、違う...
今のはお父さんに言ったんじゃない
私に言ったんだ
今確かにこの人は私の目を見て言った
何でだ?
今あったばっかりの私に頼み事...?
「來未ちゃん、COCONAとして芸能活動してくれないか?」
おじさんが発した言葉にリビングの空気が凍った気がした
私は頭が真っ白になった
私だけじゃなくてお父さんもだと思う
目を見開いて何を言っているんだこの人という目をしている
「いや...いきなりすまないね…」
「い、いえ...」
「...君の声はCOCONAに似ている
COCONAは顔出しNGだ。
COCONAが誰かなんて誰も知らない
君がCOCONAだとして売り出せば必ず売れる」
おじさんは突拍子もないことを言ってくる
「今、私の会社は危ない状態なんだ
...手助けだと思って私を助けてくれないか?」
手助け...
私がこの人の...?
私がCOCONAに....?
「びっくりするのは無理もない
...お願い出来ないかな?」
「...わかりました。やらせていただきます」
全国に知られているCOCONA
誰も “ ホンモノ ” の顔を知らない
それなら私が “ ニセモノ ” ってバレない...?
私がCOCONAになることで人の役に立てる…
それに
ワタシハアイサレル...!!