おじさん
「ただいま〜」
部活が終わって家に帰った
私の家は他の家と比べると少しだけ裕福
お父さんが社長をしているから
だからお父さんは他の会社の社長さんと知り合いな事が多い
たまにそういう人が家に来る時がある
現に今だってそうだ
見慣れない黒い靴が玄関に置いてある
そして廊下にまで響き渡る笑い声
私は憂鬱になりながらリビングに行った
...挨拶をしないと怒られるからね
色々と考えながら私はリビングに繋がるドアをゆっくりと開けた
「ん?...あぁ。おかえり」
「ただいまです」
ニッコリと貼り付けた笑みを浮かべながら挨拶をする
「...娘さんかな?」
少し太っている、優しそうな感じのおじさんがいた
「...はい。初めまして。濱野來未と言います」
私が挨拶をすると目を見開いて驚いたような顔をしているおじさん
「...どうかされましたかな?」
「...いや、來未ちゃん...だよね?」
「はい」
お父さんが怪訝そうな顔でおじさんを見る
そしてその後ハッとしたように私を睨む
どうせ、 “ 失礼なことをしたんじゃないだろうな ” とでも思っているのだろう
でも残念だったね
私はこのおじさんとは初対面
なにかしたくても何も出来ない
「...來未ちゃんってCOCONAさんか?」
「え...?」