二巻 眠れぬ夜の悩み事
「…うっ…」
目を覚ますと、見慣れた天井が俺を眺めていた。
体じゅうが微かに痺れ、頭にはくらくらと鈍い痛みが響いている。
「はぁー…」
何度体験しても慣れないこの感じ。
またやつらが来るのか…
いつになったら、終わるのだろう…終わることなんてないことは判っているけれど。
それから大きく深呼吸をして、側にあった携帯電話の時刻を見る。
ーー午前2時22分。
いわゆる丑三つ時。
あの世のものが現れると言われる時間。
そろもゾロ目だ。
可笑しなことが起こらない訳がない。
ふいに右手首をみると、赤くただれた大きな傷あとがゆらりと浮かんでいた。
じりじりと鉄で燃やされているような鋭い痛みが走る。
幻覚だと判っているが、腕が燃やされている現場がリアルに見える。
俺は吐き気と痛さに声をあげそうになったが、歯をぐっと食いしばって痛みに耐えた。
「はぁー…」
また、奇人扱いされたら溜まったもんじゃない。
もう二度と精神鑑定なんて受けたくない。
昔、理由を知らない両親が深夜に喚く息子を心配して精神鑑定に連れて行った。
そのときの情けなさと言ったら…。
もう子供じゃないんだ、
俺は。
17歳の高校生。
しっかりしろよ、豊城春人。
それからまた感慨深げに溜め息をつくと、ゆっくりと瞳を閉じた。
いつの間にか過去のあやまちを振り返っていた。
遠い遠い昔の、俺が生まれる前のあやまちを。
春人くんは素直で書きやすいです。(笑)よろしければまた読みに来てくださいね!