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十三巻 出会いは常に突然の事

「まず、春人さんに、夢を渡っていただきます。」



夢を渡る…?

一体どういうことだろう。


「今まで春人さんには、夢写しで異界を視て頂きました。繊細に、鮮明に。


ですが、今回は『視る』だけでは何もして頂けません。


『入って』頂かないとなりません。」


『入る』……


「つまり異界に行く…?俺が…?!」


鳥肌がたった。

あんな奇怪なものが溢れる場所になど、行きたくない。


俺は人間だ。

日常を愛する高校生だ。


化け物なんかじゃない。


非日常なものを受け入れるのでさえ、苦労していると言うのに、今度はそこに行けだと?!


ふざけている…


「お願い致します!

春人さんがわたくし達をお嫌いになっていることは、重々承知しておりまする。

ですが、今回だけは………今回だけはわたくし達の元に来て頂けないでしょうか…

あのこを、助けて頂けないでしょうか…」


葉詩は苦しそうに唇を噛んだ。強く、強く。

すると微かに血が滴り、

彼女は息を詰まらせたように、口元を拭った。


よく見ると手のひらをぎゅっと握っていた。



未だに化け物は人の血液に弱いと言うのか。

そして、『子供に弱い』とも。



昔、祖父から聞いたことがある。


化け物の中には子供を愛するものがいると。

子供を敬い、大切にし、陰からそっと見守る暖かなものがいると。


疾風丸としての使命を受け継いだ俺に、祖父はそう言った。



『恐れることはない。

お前のもとに来るものは、悪いものではないだろう。

人を敬い、距離を置き、陰の世界を支える美しいもの達だ。


だから、安心しなさい。

きっと大丈夫だ。』


俺の頭を優しく撫でて、うっすらと夕闇に溶けていった。

祖父の通夜での出来事だった。


「春人さん…」


目の前にいるコレは果たしてどうだろう。

人を敬い、大切にする美しいものだろうか?


子供を愛し、異界を支えるものだろうか?



解らない…。



今まで触れたものたちは、

みな些細な願いを求めて俺のもとにやって来た。


異界に触れるような危ない願いは一つもなかった。


だから俺は異界というものを知らない。


何が起きるか、何が壊れるか解らない。


それでも俺はコレを助けなければならないのだろうか。


いくら使命とは言え、拒むことは出来ないのだろうか。


どうすればいい?



俺は深く頭を捻った。

お久しぶりです!初めての方もお久しぶりな方もここまで読んでくださってありがとうございました。次回からまた少しずつ進めていくので、よろしくお願い致します☆

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