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英雄《しゅやく》になれない槍使い  作者: 笹木さくま(夏希のたね)
第6章・戦士の休日、不穏の前奏
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【聖剣の英雄伝説・第5章・63ページより】

 深夜、人の営みである電気の光が灯らない、真っ暗な大地の上を英人は飛び続ける。

 そうして一時間と経たぬうちに、行く手から禍々しい光が見えてきた。

 夜の闇にそびえ立つ、七色の光を放つ八角柱の結晶体。

 スカイツリーすら超えるその巨大結晶こそが、人類の敵CEを生み出す元凶・ピラーであった。


「こいつが、姉さんを、皆を……っ!」


 上空五百mでピラーと正対しながら、英人の顔には大切な姉を奪った敵への、激しい怒りと憎しみが浮かんだ。

 それも一瞬の事で、英人は醜い感情を振り払い、聖剣を振りかぶる。


「怒りも憎しみも、全てここで終わらせる、唸れ、エクスカリバァァァ―――ッ!」


 シュゴオオオオオォォォォ―――――ッ!


 黄金の輝きを放つ聖なる光が、邪悪に輝くピラーに叩きこまれる。

 だが、しかし――


「そんな、馬鹿な……っ!?」


 英人の目が驚愕に見開かれる。

 聖剣の光をまともに受けながら、ピラーは傷一つ付かず、平然とそびえ立っていたのだ。


「頼む、エスクカリバー。今こそ力が必要なんだっ!」


 英人は諦めず、再び聖剣の光を放つ。

 しかし、何度繰り返そうとも、ピラーはこゆるぎもせず、禍々しい光を夜の闇に放ち続けるのだった。


「聖剣が、エクスカリバーが効かない……っ!?」


 人々の希望、英雄の象徴が、災厄の元凶たるピラーには全く通じない。

 それは、天道寺英人の敗北であり、人類の敗北でもあった。

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