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【聖剣の英雄伝説・第4章・58ページより】
「これがピラーか」
街の中に突如出現した巨大な結晶と、英人は空中で対面した。
「これが、こいつらの仲間が姉さんを……っ!」
大切な姉、刹那を奪ったCEへの憎しみが心に燃え盛る。
しかし、英人は直ぐにその醜い感情を振り払った。
「違う、復讐は何も生まないんだ……けれど、皆を悲しませるお前を、俺は絶対に許さない!」
人々の平和を祈る正義の心に応えて、聖剣が黄金の輝きを宿す。
「皆の涙を拭うため、今こそ悪を断て、唸れ、エクスカリバァァァ―――ッ!」
シュゴオオオオオォォォォ―――――ッ!
聖なる光の放流が、巨大な結晶の柱に叩きこまれる。
それは強力なバリアさえ容易く打ち破り、ピラーを原子の光に分解する。
「見ろ、ピラーが、誰も壊せなかったあれをついにっ!」
「天使様……いえ、あの方こそが私達を救ってくれる救世主様なんだわっ!」
その神秘的な光景を目にした街の人々は、誰もが迷わず確信した。
銀の翼で空を翔ける、黄金の聖剣を振るう英雄。
天道寺英人これが、人類を救う救世主なのだと。