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第14話 現状

 それは特高での生活にも少しだけ慣れてきた、入学から三日後の金曜日に起きた。

 教室で数学の授業を行っている時、突如『ウゥーッ!』と不気味なサイレンが鳴り響いたのだ。


「何やっ!?」

「静かに、お前達は座っていろ」


 浮足立つD組の生徒達を、大馬は冷静な声で諫める。

 しかし、サイレンに続いて教室の外から何十人もが一斉に廊下を走る、ドドドッと雪崩のような音が響いてきては、落ち着くなど無理であった。


「先生、何やねんこれっ!?」

「だから静かに座っていろ、CEが侵攻してきただけだ」

「えっ……」


 その言葉に、映助だけでなくほとんどの生徒が顔を青ざめた。


「一大事やんかっ!? こうしちゃおられん、今こそワテらが戦う時――」

「いいから黙れ(ゴキッ)」

「こぺるっ!」


 急いで教室から飛び出そうとする映助の首に、大馬はまたスリーパーホールドを極める。

 早とちりしたとはいえ、敵と戦おうとした勇気に免じて、普段より二割ほど弱めではあったが。


「いいか、今のがCEの襲撃を知らせるサイレンで、走る音は二年と三年が出撃したものだ。まだ集団戦闘の訓練を終えていないお前達一年は、行ってもお荷物になるから留守番だ」


 大馬は反論を許さぬと強く言い切り、鋭い目で生徒達を見回す。

 D組の六割は戦わずに済む事に安堵し、残り三割は戦えない事が不満で口を尖らせている。

 残り一割は冷静に話を聞いており、それを見て大馬は嬉しそうに笑った。


「襲撃と言っても、ここ前橋市の近くまで攻めてきたわけではない。防衛ラインである軽井沢の周辺まで来ただけだ」


 そう言って教科書を閉じ、ノートパソコンとプロジェクターの準備を始めた。


「丁度良いから、今日はCEの襲撃からその対処までの流れを見学するとしよう」


 プロジェクターの光が黒板を照らし、走る人の群れを映す、妙にグラグラと揺れる映像が流れた。


「エース隊員は出撃のさい、カメラと通信機が内蔵されたヘッドセットを着用する。これは出撃準備をしている、とある三年の撮った映像だ」


 大型のヘッドフォンに似た装備を被り、腕には幻想変換器を身に着けた上級生達が、慣れた動きで校舎横の格納庫に走り込み、その中で発進準備を始めていた装甲車に飛び乗っていく。


「あの、制服で出撃するんですか?」


 今、自分達が着ているのと同じ、学生服で装甲車に乗る上級生達に気づいて、陽向が手を挙げて質問する。


「そうだ、別にジャージでも迷彩戦闘服でも変わらんがな。どうせ幻子装甲が無ければ、何を着ていようとCEの攻撃は防げん」


 逆に言うと、幻子装甲さえ有れば、全裸であろうと戦えるのがエース隊員である。


「でも、制服だと動きづらくないですか?」

「そのために、装甲車の中に着替えが人数分積んである。移動しながら着替えればいい」


 全員が着替えるのを待ってから出撃するより、その方が早いから当然の処置であろう。しかし――


「男子の目の前で着替えるんですか?」

「――っ!?(ガタッ)」

「落ち着け」


 無言で立ち上がった映助の肩を、後ろの宗次が叩いて止める。


「ズボンを履いて上着を替えるだけだろ、別に下着姿を見られるわけでもあるまい」

「あぁ、そうですよね」

「……ちっ」


 密かに舌打ちした男子は、映助だけではなかった。


「あれ~、まだお仕置きが足りなかったですか~?」

「…………」


 しかし、先日の覗き未遂事件で受けた、えげつない制裁を引き出されては、誰もが黙るしかなかった。


「これは後々決める事だが、クラスを十二人前後の三チームに分けて、それを『分隊』という最小単位とし、一塊となって作戦に当たってもらう」


 全て軍隊の部隊単位に言い換えると、分隊が三つの一クラス約四十人で『小隊』、小隊が三つの一学年で『中隊』、中隊が三つの学年全てで『大隊』となる。

 といっても、特高に一年から三年が全て揃ったのは今年が初めてであり、ようやくエース大隊が完成するのだが。


「装甲車に乗り込んでいるのは全員同じ分隊の奴らだ。他にも、今後予定されている集団訓練は分隊単位で行う。今から息の合いそうなメンバーを見繕っておけよ、さもないと……」


 待っているのは地獄だ――と、声には出さず、口の形だけで忠告するのであった。


「兄弟、ワテらズッ友やろ!?」

「ずっとも?」


 涙目で宗次にすがる映助だが、田舎者は十数年前の若者語など知らなかった。


「ひ、陽向ちゃん、私……」

「はいはい、大丈夫、一緒のチームになろうね」


 ボッチは嫌だと泣きつく神奈を、陽向が慰めたりと、クラスの中はちょっとした騒ぎとなるが、担任が手を叩いてそれを鎮める。


「静かに、分隊の決定はまだ一ヶ月は先の話だ。今は映像に集中して、戦闘の流れを少しでも掴んでおけ」


 言われて生徒達は黒板に目を戻すが、今は軽井沢方面への移動中であり、退屈な装甲車の内部が映し出されるだけであった。


「これみんな三年か、思ったより緩い顔しとんな」


 両側に六人ずつ向かい合って座る、三年生達は楽しげに談笑しており、これから戦場へ向かうという気負いは窺えない。

 しかし、その明るさも兵士に必要な資質であった。


「毎日気を張っていたら、緊張で押しつぶされて自滅するだけだぞ。抜ける時に抜いておく切り替えも、これからは必要になると思え」

「抜ける時に抜く……やらしいな」

「お前はずっと気を抜くな」


 大馬の投げたチョークが、必中の槌ミョルニルのごとき精度で映助の額を打ち抜いた。


「さて、そろそろ到着だな」


 無駄話をしている間に、装甲車がゆっくりと停止して、上級生達が素早く降車を始めた。

 カメラが捉えたのは、避暑地として有名だった軽井沢より少し進んだ先、長野県御代田町の光景。

 有るのは古寺とゴルフ場、そして畑くらいという、さびれた田舎ではあるが、静かで穏やかな空気に包まれた町。

 しかし、それも六年前の話でしかない。

 今の御代田町にあるのは、ただ一面の焼け野原。

 CEとの度重なる戦闘によって刻まれた、鉛玉と炎の破壊跡だけであった。


「酷い……」


 テレビでも何度か流され、ネットを探せばいくらでも見つかる光景。

 それでも、三年生の視点で見る御代田町の生々しい光景は、生徒達に恐れと怒りを生み出すのに十分であった。


「慣れろとは言わん、だが今は上級生達の動きに注目しろ」


 憤る生徒達に珍しく優しい声をかけつつ、大馬はプロジェクターに別の映像を出す。

 それは衛星が捉えた御代田町の写真で、西の方向、ピラーの存在する長野県松本市方面から近付いてくる、光り輝く群れが映っていた。


「CE……」


 人類の敵、謎の結晶体、クリスタル・エネミー。

 それが視界に入った瞬間、上級生達は一斉に動き出した。


『射撃隊、前へっ』


 伝説の弓矢を、投石器を、投げ槍を持った者達が隊の前列に出る。

 そして、確実に当たる距離まで引き付けてから、号令が上がった。


『放てっ!』


 必殺必中の幻想を持つ矢や弾や槍が、まるで生き物のごとく宙を駆け、先頭を進んでいたCEの中心部、赤く光る球体を貫いた。


「あの赤い球体が奴らの弱点『コア』だ。あれを破壊しない限りCEは止まらん」


 大馬が解説している間にも、次々と伝説の射撃武器が結晶体を貫いていく。

 しかし、押し寄せるCEの数はあまりにも多く、半数ほど減らした所で、矢の方が先に尽きてしまった。


「射撃系の幻想兵器は、使った分だけ幻子干渉能力を消費して、ついには幻子装甲すら維持できなくなる。射撃武器の使い手はよく注意するように」

「はい」


 宗次の横に座る、投石器使いの一樹が真剣な顔で頷いた。


『盾隊、前へっ!』


 号令に合わせて射撃部隊が後ろに下がり、盾を構えた者達が前に出てくる。


「盾の幻想兵器は幻子装甲よりも遥かに硬く、CEの攻撃を何十回も防げる。常に最前線に立って味方を守り切る、最も危険で重要なポジションだ。心しておくように」

「あ、うぅ……」


 盾の使い手だが臆病な神奈は、怯えて陽向に抱きついてしまう。

 そんな中、カメラに映る上級生達は、CEが迫ってくるのを無言で待っていた。


「前にも話したが、CEの攻撃は射程が約三十mと短い。こちらから飛び出して体力を消耗するより、待ち構えた方が楽だ」


 そう頭で分かっても、ゆっくりと敵が近づいてくるのを、目の前で待つ緊張感はどれほどのものだろうか。

 耐えかねて突撃しかねない味方を、号令を上げていた人物が上手く堪えさせていた。


『まだだ、焦るんじゃない、もっと引き付けるんだ』

「うん? この声は……」


 宗次が疑問を抱き、考え込もうとしたその時、ついに接近戦の幕が上がった。


『今だ、全員突撃っ!』

『『『うおおおぉぉぉ―――っ!』』』


 雄叫びを上げ、上級生達は一斉に駆け出した。

 先頭を走る盾役達が、三十mの距離を切った瞬間、CEが一斉に赤い光線を放つ。

 しかし、機械のようにタイミングも狙いも正確すぎる攻撃は、伝説の盾によって容易く防がれ、火花を上げて四散する。


 そして、次の攻撃が始まる僅かな合間に、エース隊員の花形、近接部隊がCEに躍りかかった。

 伝説の剣が、斧が、槍が、槌が、火を噴き雷を轟かせ、結晶体を両断し、粉砕し、貫いていく。

 人が火薬と銃を手にした事で忘れた、原初の荒々しくも美しい闘争の風景がそこにはあった。


「CEの攻撃は脅威だが、約五秒に一度ほどの頻度でしか発射できないようだ。この間隔を体に刻み込まなければ生き残れないぞ」


 同士打ちを避ける知能はあるのか、後続のCEは前方に味方がいる場合は、攻撃を控えているようだ。

 おかげで、突撃した近接部隊は大した反撃を受ける事なく、目の前の敵を一体ずつ確実に仕留めていく。

 とはいえ、光の速度で放たれる攻撃を全て避けられるはずもない。

 最前線で戦っていた斧使いが、運悪く集中砲火を受け、変換器がけたたましいアラームを響かせた。


『藤村、退きたまえ! 河野、替わりに前へ!』

『分かった!』


 乱戦の最中でも混乱せず、的確に指示が飛ばされて、斧使いは余裕をもって前線から退いていった。

 その声を聞いて、宗次の疑問はようやく氷解した。


「麗華先輩だ」

「はぁ?」

「号令を出していた、このカメラの人物、麗華先輩だ」

「なんやてぇぇぇ―――っ!?」


 衝撃の真実に、映助は思わず絶叫した。

 食堂で会った時とは少し違う、高めの大声だったので気付くのが遅れてしまったが、その声は確かにあのイケメン女子、先山麗華のものだった。


「なんだ、知っていたのか? 確かにこの映像は先山のものだ」

「いや、それも驚きやけど、なんであのイケメンが指揮してんねんっ!?」


 そう問い詰めると、大馬はむしろ不思議そうな顔をした。


「何故って、先山は三年A組の分隊長で、実質的な指揮官だからな。知らなかったのか?」

「知らんわそんなのーっ!」


 映助の絶叫は、D組全員の総意であった。


「A組って、あのイケメンはワテらと同じ飯食ってたやんっ!?」

「確かにA組は特別な食事を支給されているが、諸君らと同じ物を食べるなとも言われていないぞ」

「しかも三年の分隊長で指揮官って、それこの学校で一番偉い奴やんかっ!」

「いや、大隊長であり生徒会長でもあるトップは別にいるぞ。ただ、生徒会長は幻想兵器の性質上、皆を巻き込まないよう一人で突撃するから、全体の指揮は先山が担当しているだけだ」


 どちらにせよ、校内ヒエラルキーの最上層に位置するのは間違いない。


「あの人が、A組で指揮官……?」

「強力なライバル登場ですね~?」


 心々杏がからかっても、陽向は青ざめて聞こえていない様子であった。


「凄い人だったんですね」

「そうだな」


 宗次の方は驚いた様子もなく、一樹と頷き合って映像を眺める。

 麗華のカメラが映す光景から、CEは見る間に減っていき、ついには最後の一体が打ち取られ、人類の敵は全て粉々の欠片となって地面に散らばった。


『状況終了、第二陣がなければこのまま帰投します』

『了解、ご苦労様でした』


 京子らしき声が労い、上級生達は警戒しつつも帰る準備を始めた。


「以上で作戦は終了だ。ここ数年、CEは今回のような小部隊を繰り出してくるのみで、こちらから仕掛けない限り、六年前ほどの大部隊を展開してくる事はない。そのため、現在のような睨み合いが続いているというわけだ」


 大馬の説明も、イケメン女子・麗華の正体が衝撃的すぎて、D組生徒達の大半には聞こえていなかった。


「何をそんなに驚いているんだか」


 呆れ顔をしながら、大馬はパソコンを操作して新しい映像を映し出す。

 それは上空からの衛星写真で、群馬から南西に二百㎞以上離れた名古屋周辺を撮ったものだった。


「今回、CEは東日本方面にしか進行してこなかったようだが、当然ながら西日本方面へと進行する事もある。これは一ヶ月ほど前、それを撃退した自衛隊の映像だ」


 名古屋より三十㎞ほど東へ進んだ先の岐阜県中津川市。

 御代田町と同様に人の姿が消え、建物すら焼け落ちて荒野と化したそこに、CEが群れをなしてゆっくりと進んでくる。

 だが突然、無数の轟音と土煙が上がり、砕けたCEの結晶が宙を舞った。


「FH70・155㎜りゅう弾砲、および99式自走155㎜りゅう弾砲による間接射撃だ」


 説明の間も砲撃は延々と続き、CEを粉々に粉砕していく。


「ひぇ~、これならワテら用なしやん」

「そうなら良かったんだがな……」


 感心する映助達が見守るなか、砲撃は止んで風が土煙を吹き飛ばしていく。

 現れたのは、ガラス片のごとく大地に散らばった結晶と、その中でまだ光を放つ赤い球体。


「死んでない?」

「そうだ、CEはコアを破壊しない限り活動を止めない。そして、バリアのような物でコアを厳重に保護しているらしく、並みの砲撃では表面しか破壊できない事が多い」


 とはいえ、割れて光を失ったコアも散見されており、決して砲撃が無駄だったわけではない。


「あとは戦車で接近し、外さないよう至近距離からコアを破壊して回るのだが、この時が一番気を使う」


 大馬はパソコンを操作し、地面に半分以上埋まったCEコアの動画を映す。


「これは敵を研究分析するため、あえて破壊せず放置しておいたコアの映像だが、見ていろ」


 百倍速で流れる動画の中で、球体のコアしか残っていなかったCEの周りに、キラキラと光を反射する結晶が生まれていった。


「再生してるっ!?」

「そうだ、コアを破壊しない限り、CEは何度でも再生してくる」


 そして、何度でも人々を襲ってくる。


「だから、コアは何としても破壊しなければならない。土砂に紛れていた物を見逃したり、間違って戦車で踏んで地面に埋めたりすれば一大事だ」


 戦車で砲撃跡に向かった自衛官達は、慎重の末に慎重を重ねて地面を精査していた。


「もっとよく調べようと戦車から降り、埋まっていたコアに攻撃を受けて、再起不能になった者もいる。辛く危険な任務だ」

「…………」

「それに榴弾は一発で二十万円以上もし、それを一度の作戦で二百発以上も撃ち込んでいる。掃討を行う戦車の弾薬、燃料、それにメンテナンスの費用も考えると……嫌になってくるな」

「何億万円かかっとるんや……」


 CEの進行は年に何十回も繰り返されるのだ。

 いったいどれほどの資金と資源が失われているのか、財務大臣でなくとも頭を抱えたくなる話であった。


「そら消費税も十二%に上がるわな」

「近々、十五%になるそうだぞ」

「うえっ!?」

「仕方がないんだ、輸入している武器弾薬の原料費が右肩上がりだからな」


 映助をたしなめつつ、大馬も勘弁してくれと溜息を吐く。

 他国もCEとの長い戦争を続けており、慢性的な物資不足に悩まされている。

 自国の分すら不足している物を、売ってくれと頼まれて、はい喜んでと安値で差し出す馬鹿はいない。

 CE登場以前の何倍という値段を吹っ掛けられても、それを黙って買うしかないのが日本の現状であった。


「戦うには金が要る、CEに滅ぼされたくなければその金を払い続けるしかない。そして言い方は悪いが、諸君らエースは非常に安上りなんだ」


 全国から適任者を選び出す作業や、幻想変換器の作成費、校舎やその他設備の費用諸々を含めても、自衛隊に掛かっている金額の十分の一もない。

 何より、戦車や自走砲と違って弾薬のような消耗品が要らず、物資不足に悩まされない。


「CEの進行が始まって六年、元から資源不足で悩まされてきた日本は、むしろ良くもった方だろう」


 自衛隊の装備はどれも使用劣化が激しく、騙し騙し使っているのが現状だ。

 今の所は進行を全て防ぎ切り、都心部まで攻め込まれていないから、市民の多くが余裕を感じているが、それは混乱を避けるために流された偽りの希望でしかない。

 一度どこかが崩れれば、東京、名古屋、大阪といった大都市にまでCEが流れ込み、日本という国は地図から消滅するだろう。


「我々は勝ち続けているのに敗北に向かっている。この流れを止められるのは諸君らエースしかいない、それを良く覚えていて欲しい」


 普段厳しい大馬が、珍しく彼らを褒め称えた。

 お世辞や激励の意図も含まれていたのだろうが、それでも嬉しくて、生徒達はむず痒そうに微笑する。

 そこで丁度チャイムが鳴り響き、大馬はプロジェクターを片付けて教室を出て行った。

 だから、宗次は聞く機会を逃してしまった。


(そこまで追いつめられて、どうしてピラーを破壊しない――いや、破壊できなかったんだ?)


 無尽蔵のごとくCEを生み出してくる敵の拠点、巨大結晶柱ピラー。

 それさえ破壊できれば、この不毛な防衛戦を終わらせる事ができる。

 誰だってそう考え、実行に移すに決まっている。

 しかし、今なお戦争が続いている以上、その作戦は失敗に終わったのだ。

 その理由が何か、仮に聞いたとしても、大馬は答えてくれたかどうか、宗次には分からなかった。


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