【聖剣使いの英雄伝説・第10章・42ページより】
「みんな、聞いてくれ!」
国会議事堂の前に集まった大観衆を前にしても、英人は臆さず堂々と語り掛けた。
「六年前、突如現れたCEによって、俺は故郷を、そして両親を失った」
あの時の悲しみは、今も彼の繊細な心に深い傷を残している。
「そして、俺や皆を守るために、戦う事を決意した姉さんも、CEの大軍を倒すために一人で……」
姉の最期を思い出し、涙ぐむ英人に釣られて、観衆も思わず目尻を濡らす。
「あの時、俺は決意した。必ずCEを滅ぼしてみせると。そしてピラーを破壊し、この日本を救ってみせるとっ!」
英人は涙を拭い、力強く宣言する。
「いや、日本だけじゃない。CEに苦しめられている世界中の人々を、この聖剣で必ず救い出してみせるっ!」
そう告げ、黄金に輝く聖剣エクスカリバーを天にかざした。
まるで太陽が降り立ったかのような神々しい光に、畏敬の念を抱く大観衆に向かって、英人は宣言する。
「絶対にピラーを破壊して平和を取り戻す。だから皆、俺を信じてくれっ! 未来を信じてくれっ!」
平和を愛する彼の心に打たれ、大観衆は割れるような拍手喝采を上げた。
「英人ったら、格好つけて……」
舞台袖で彼を見守っていた音姫は、言葉とは裏腹に感動の涙を拭っていた。
二〇三一年七月二日、後に『英雄の日』と呼ばれるこの日こそ、人類は真の英雄・天道寺英人という希望の太陽によって、絶望の闇から救済されたのである。