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幼女魔王の演武演劇  作者: ホッシー@VTuber
第2章 幼女魔王の召使黒狼
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感想で『更新まだですか?』といくつかあったので急いで書きました!現在、深夜3時半です。学校なんか知るかああああああああああああ!!


あと、私の別作品である『東方楽曲伝』の人気投票を開催中です。

期限は4月21日までですので、もし興味のある方は参加してみてくださいね。

途中までしか読んでないから投票できない、などということはないので期限ぎりぎりまで読んで投票することも可能です。

「駄目です!」

「……駄目じゃない」

「駄目なものは駄目!」

「……駄目じゃない」

「……早く行こうよ」

 マルガの勇者を倒しに行くと決めた魔雪たちは早速、移動を開始することにした。幸い、オーガの軍勢を倒すのにあまり時間がかからなかったため、時刻は午後を少し過ぎたくらいだったからだ。

 しかし、いざ出発しようとした矢先、狼が魔雪を自分の背中に乗せて移動すると言った。それに反対したのがルフィアだ。魔雪はチャーリーに乗って呆れている。

「いいですか? 私とマユちゃんはずっとチャーリーに乗って移動して来たんです。それこそ、ガルガの西の端っこからここまで数か月と短い期間で移動出来ました。なので、私とマユちゃんはチャーリーに乗って、貴女は狼になって移動した方が早いんです」

「……でも、私の方が速い。早くマユをマルガに連れて行きたい」

「私は!? その場合、私はどうなるんですか!?」

「……置いてく」

「ちょっとおおおおおおおお!!」

 狼は正直、魔雪だけを連れて行きたかった。もちろん、魔雪を独り占めしたいという欲望もあるのだが、勇者との戦いにルフィアを巻き込みたくなかったのだ。勇者は強い。一度、勇者に勝ったとしても次に勝てる保証はない。だからこそ、足手まといになるルフィアをここで放り捨てたかったのだ。

「なら、ルフィも一緒に狼に乗ればいいじゃん」

 いい加減、飽きた魔雪が妥協案を出す。これならば3人一緒に移動出来る。

「……無理。そうすると移動速度が下がる。ルフィア、重そう」

「重くないですよ!」

 ルフィアの体はスレンダーという言葉がよく似合う。元々、エルフ自体、大きく成長しないのだ。身長も魔雪の世界では中学生ほどである。胸もはっきりと測定したわけではないが、Bカップはないだろう。

「……例え、ルフィアが残念な体でも人一人分、重くなるのは事実。だから、マユだけ乗せる」

「誰が残念な体ですか!?」

 それから2人は睨み合い(相変わらず、狼は眠たそうな眼だが)が続く。

「あああああ、もう! とにかく、早く移動出来ればいいんだろ!?」

 2人を見ていた魔雪がとうとう切れた。無理もない。かれこれ1時間は言い争いをしていたのだ。

「狼、お前、小さくなれるか?」

「……どれくらいかによる」

「最大限小さくなれ」

「……わ、わかった」

 突然、男口調に戻った魔雪に驚きながらも狼は子犬ほどまで小さくなる。すぐに魔雪が子犬サイズの狼を抱き上げた。抱き上げられた狼はまんざらでもないようで甘えるように魔雪の胸に顔を押し付ける。

「いいなぁ……」

「ああ?」

「な、何でもないです、はいっ!」

 狼を羨ましそうに見ていたド級変態エルフを一睨みする魔王。普段、怒らない人が怒るととても怖いと言う話は本当のようだ。

「ルフィア、風魔法で竜巻を起こせ。その中をチャーリーで進む」

 いつもより魔雪はきつく命令する演技を忘れるほど彼はいらいらしていた。そして、『ルフィア』と呼ばれ、きつい言い方で命令されたルフィアは――。

「あ、あい……了解でありましゅ……」

 ――口から涎を垂らしながらものすごく嬉しそうに頷く。その顔は完全に雌の顔である。

「……くぅん」

 そんなルフィアを見て狼は哀れむような鳴き声を漏らすのだった。




 それから3人はマルガに向かって進み続けた。移動は昼間のみで夜間はルフィアの異空間収納からテントを取り出して野宿。2人が見張り、残る1人が寝て時間制で交代した。

 移動をし続けて5日目。そろそろマルガに到着する頃、魔雪は移動の為にテントを片づけていた。

「マユちゃんマユちゃん!」

 そこへルフィアがニコニコ笑って近づいて来る。

「どうしたの? ルフィ」

「新しい魔法が使えるようになったんです!」

 実はこの5日間、見張りをしている間にルフィアは新魔法を開発していたのだ。

「え? でもそんな様子見せてなかったけど」

 魔雪とルフィアが見張りする時、決まってルフィアは魔雪を抱っこしながら話していたのだ。だからこそ、魔雪は少しだけ驚いていた。

「何も練習することだけが全てではないのです。頭の中で理論を構築することだって立派な開発ですよ」

 そう、モグボルーツの魔法は決まった形をしていない。属性魔法1つでも個人の創造力や理論、常識によって変わる。極論、水魔法を使って火魔法を使うことも可能だ。その分、火魔法から火を生み出すよりも魔力を消費するが。

「あー、そう言えばそうだったね」

「この5日間、私はずっと頭の中で新しい魔法の研究をして来ました……そして、やっと昨日、完成したのです! もちろん、テストはしました!」

 彼女の雰囲気からそのテストも無事に成功したのだろう。魔雪はルフィアの表情から結論付ける。

「じゃあ、出発する前に見せて」

 更に『ルフィアが新魔法を彼に見せたい』ことも汲み取っていたのでそうお願いした。

「はい、お任せください!」




「それじゃ行きますよ」

 朝食を済ませて後は出発するのみとなり、ルフィアの新魔法披露会が始まった。観客は魔雪と狼。

「どんな魔法なの?」

「今回は私の苦手な時空魔法です。どうも時空を言われてもピンと来なかったのでずっと放置していました」

 その放置期間は100年以上である。

「しかし! 私はその苦手を克服しとうとう新しい時空魔法を――」

「……長い。早くして」

 ルフィアの力説を狼がぶった切った。因みにこの2人が見張り番をしている時、一言も会話などなかったりする。

「良いところだったのに……わかりました。では、行きます!」

 彼女はそう言って目を閉じた。『ワード』を登録していないので魔法を発動するために1から頭の中で理論を構築しなければならないのだ。

「ッ――」

 約1分後。ルフィアは立っていた場所にいなかった。足を動かすことなく、立っていた場所から移動したのである。




 1メートル先に。




「「……」」

「はぁ……はぁ……ど、どうですか? これがモグボルーツ初となる転移魔法です!!」

 肩で息をしながらドヤ顔を披露するルフィア。

「あー……うん、すごいすごい」

 でも、正直言ってたった1メートルだけ転移しても全くの無駄である。そのため魔雪は背を逸らしながら手を叩いた。あの演技の天才である魔雪でさえ誤魔化せないほどのしょぼさだった。

「……しょぼい」

 そして、狼は素直に感想を漏らす。

「な、何ですって! なら、貴女も転移してみてくださいよ!!」

 それが癪に障ったようで怒りを露わにして地団駄を踏む弩級変態エルフ。

「……はい」

 座って見ていた狼は立ち上がると一瞬にして10メートル先に移動した。

「それはただの高速移動ですよね!?」

「……1メートル転移より高速で10メートル移動出来た方がいい」

「こうなったら!」

 ルフィアは『ぐぬぬ』と唸ると連続で1メートル転移をする。その隙に狼がまた10メートル先に移動。圧倒的だった。

「ッ……ルフィア、危ない!!」

 競い合ってどんどん遠くへ行ってしまう2人を呆れた様子で見ていた魔雪は近くに魔獣がいることに気付き、叫ぶ。その魔獣は『ロックアルマジロ』と言って岩石砲を放って来る危険な魔獣だ。

「え?」

 魔雪の叫びを聞いて振り返ったルフィアだったが、それが好機だと思ったのかロックアルマジロが口から岩石砲を放つ。

「くっ!」

 やっとロックアルマジロの存在に気付いたルフィアは顔を歪ませながら早速、1メートル転移で回避を試みる。まぁ、転移と言ってもたった1メートルだけなので岩石砲はルフィアの右肩に直撃してしまった。だが――。

「え?」

「……嘘」

 ――岩石砲を喰らってもルフィアはノックバックすることなく、その場に立っていた。それどころか岩石の方が木端微塵に砕け散ったのだ。その光景を見て魔雪と狼は目を丸くする。

「ぎゃああああああああああああああ! 痛い痛い! なにこれ!? ドラゴンの尻尾ビンタを喰らった時より痛い!」

 岩石が粉砕したことより転移した瞬間、その場で悶えているルフィアに2人は驚いていたのだが。

 つまり、ルフィアの『超至近距離転移魔法』は『1メートル』だけ転移できて、その転移魔法が展開されている間――移動から着地まで『慣性などの物理法則・魔法効果を完全無視』することが出来る。デメリットは攻撃を喰らった時、自分自身が吹き飛ぶことで逃がしていた衝撃がダイレクトに本人へ襲い掛かるため普段以上にダメージが増幅されることだ。

「でも、何で急に魔法の開発を?」

「……あの狼に負けたくなかったんです」

 狼がロックアルマジロを倒している間、魔雪に介抱されていたルフィアは目を赤くしてそう言ったそうだ。因みに、『超至近距離転移魔法』は封印されることとなった。

ギャグ回でした。ルフィアさんがとてもいじりやすくて作者の私も楽しんでいます。

次の更新も遅れると思いますが、気長にお待ちくださいね。

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