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スレバ

 2010年8月12日、イラク

 窓がない壁に囲まれ、天井の中央部からぶら下げられた電球一つで照らされている薄暗い部屋は太陽を恋しくさせる。最もその思いが強いのは、部屋の真ん中で上半身を裸にされ、鉄製の椅子にロープで縛られた男だった。顔は殴られた傷と腫ればかりで、元の顔を想像できるのは家族ぐらいだろう。体には水滴がついており、その一粒一粒は汗ではなく、拷問で水攻めを受けた証拠だった。

 意識を失いつつある男の閉じていた目を「いい加減に話さないか、ハビエル」と呼びかけた声が開かせた。ハビエルはその声を無視したかったが、前方にいる声の主から受ける拷問で少なくとも悲鳴で反応しなければならなかった。

 拷問官の男の名はスレバといい、それが本名か偽名かはハビエルには関係のないことだった。重要なことはスレバの所属する組織の正体だった。アラブ語を話しているが、顔を見ただけでアメリカ人かイギリス人であることをハビエルはわかった。どっちにしろ軍か諜報機関の人間であることは自分への尋問内容でわかった。

 「あのな、ハビエル。俺は人道的な拷問をしてるんだぜ。でもお前がテロリストのお友達の居場所を吐かないなら、非人道的な拷問に切り替える必要があるんだよ。意味わかるか?」

 意味がわからんな、という思いを込められたハビエルの目を見たスレバはため息をつき、「連れてこい」とドアに向かって言った。呼びかけに応じたドアが開くと、口に猿ぐつわを付けられ、縄で腕を縛られた2人の女が床に叩きつけられた。そのあとに2人の男が続く。

 「ミア!レセヌ!」

 妹たちの痛々しい姿にハビエルは愕然とした。どちらもわずかに服を破られ、口元には痣がついていた。これは自分を脅すための演出だ、そう言い聞かせたハビエルに対してすぐに甘い考えであったことを「やれ」というスレバの言葉が教えた。その言葉のあとにミアの脚にスレバの仲間の一人が9ミリの弾丸を撃ち込んだ。

 ハビエルと2人の妹の悲鳴が壁に当たり続けた。

 「あー、こんな可愛い妹を傷つけたくなかったんだけどなー」

 と、笑いながらスレバは更に続けた。

 「それで、ハビエル。次はどうする?お前の目の前でミアの頭を撃ち抜くか・・・」

 そう聞いた男の1人がミアの頭に銃を突きつける。

 「それともお前の目の前でセレヌを犯すか・・・」

 そう聞いたもう一人の男がセレヌの服を剥ぎ取り、露わになった肌に自分を押し付けた。

 「どっちがいいかな?ハビエル」

 何て鬼畜な奴だ!?ハビエルはそう思いながらも自分が妹たちを救う手段は一つしかないと観念した。

 「わかった!アジトの場所を言うから妹たちには手を出すな!」

 「よく言った!それでこそ兄だ!」

 と言ったスレバはパチパチと拍手をしていたが、ハビエルに向けたものではなく、自分自身に向けていたように見えた。

 5分後、全てを白状したハビエルは自分が助かることは絶望的に思えたが、妹たちを救えたことをせめてもの慰めにした。

 「ありがとう、ハビエル。望み通り妹たちの命は助けるよ。命はね・・・」

 ハビエルはスレバの妙なセリフに疑問感じたが、考える暇を9ミリの弾丸は与えなかった。スレバの構えた銃から薬莢が落ち、ハビエルの額から血が溢れた。その様子を見ていた妹たちからは悲鳴が出たが、猿ぐつわがその声量を抑制した。

 「よし、次はアジトの殲滅だ」

 そう言って、スレバは後ろに振り向くと、ニヤッと笑った。仲間たちも何かの了解を求めるような目でスレバを見ている。

 「その前に息抜きも必要だな。お前ら、女を楽しむことはご無沙汰だろう。そいつらはご褒美だ」

 と言い残しスレバが部屋を出るのを確認した仲間の2人はパンツを下ろし、ミアとセレヌを全裸にした。部屋では1時間恥辱の声が響き続けた。

 

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