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第49話 「実技教習」


芸能人に会ったからといって、普通の人のように憧れを表に出して喜ぶようなことをせず、冷静さを保っていった誠だったが、内心は嬉しくてたまらなかった。


自宅に帰ると思い付いたように携帯を開いて、一緒に撮った写真を見て、アドレス帳に鮎川瑠美の名前を見付けると、夢でなかったことを実感して心が弾んだ。


早速、メールを送ろうとしたが、印象を良くするためには、どんな文章にしたらいいのか、キャラクターや絵文字はどうしたらいいのか色々考えて上手く書けず送れずにいた。

すると、手にしていた携帯が、突然鳴り出した。

鮎川瑠美からのメールだった。


誠は、目を丸くして、何度も読んだ。

そこには、引っ越しをするということ、また、すぐにでも会いたいということが書かれていた。

誠は、瑠美からのメールを見ると、意外とシンプルで解りやすい文章だったので、同じようなスタイルにして、返事を返した。


すぐに、返事が返って来た。

結局、マネージャーの加藤真紀も会って話がしたいということで、あさって会うことになった。

誠は、マネージャーの加藤真紀がどうして会いたいのかよく解らなかったが、瑠美が自分に会いたいと思っていることだけで、ただ嬉しかった。


布団に入っても興奮気味の誠だったが、いつの間にか眠っていた。


朝が来て、昨日、鮎川瑠美と会った事が、夢の中のことだったような気がしたが、携帯で一緒に撮った写真を見て、夢でなかったことを実感した。



教習所で口論をした2人だったが、この日も当たり前のように教習所で会った。


誠は、みずきを見ると、わだかまりを振り払うかのように明るく声を掛けた。

「おはよう!」


みずきは、元気なく答えた。

「おはよう。」


「よく寝れたんじゃない?」

「それって、私が居ないと、よく寝れるいうこと?」

「いや、そうじゃなくて、自分の家だと良く寝れたんじゃないかと、ただ思っただけだよ。」

「そう。でも、誠さんは良く寝れたみたいよね。私は、悩んで寝れなかったわ。」

「何悩んでるんだよ。」


みずきが、眉をひそめた。

「そういうのが、無神経なのよ。」

「何だよ。心配して聞いたのに。」

「もう止めよう、ケンカしたくないから。」

「まーそうだけど。」


みずきは、深呼吸をして言った。

「ねぇ。美樹や知佳が、またみんなで遊びたいって言ってたよ。」

「そーかー、いいかもね。ただ、都合合うかな?僕は来週は、サークルの合宿だし。そーだ、みずきはどーうする?」

「えっ? どーするって、合宿? どこで?」

「山中湖で、月曜から水曜までの2泊3日。」

「山中湖かー。」

「毎年恒例みたいなんだ。プロ選手も来て、教えてくれるよ。」

「いくら掛かるの?」

「そーか、僕らは積立しているんだけど・・・いいよ。僕が何とかするから。」

「何とかするって?」

「気にしないでいいって。どうする?参加する?」

「誠さんは、私に参加して欲しい?」

「当たり前じゃんか。僕のパートナーだし。」

「それだけ?」

「あっ、そーだ。彼女だからだね。 最近怒ってるから忘れてたよ。」

「なんかムカツクんですけどー。 参加してあげるよ。」

「有り難うございます。女王様。」

「モーッ! 何よそれ。」

「可愛い顔が、台無し。」


「それじゃー、今日から、自宅に帰ることにするよ。」

「そう。その方がいいよ。電車代は僕が出すから。」

「いいよ。自分で出すから。」

「教習所の費用で大変なんだから、それくらい僕が出すよ。」

「そう言ってくれるなら、お願いしようかな。」

「かしこまりました。姫様。(笑)」

「マジ、ムカつくんですけど・・・。 

私、今日から、バイクに乗るんだ。触ったことも無いのに、大丈夫かなー。」

「みずきは大丈夫だよ。一見弱そうに見えるけど、実は根性据わってるから。」

「えっ? 励ましてるように聞こえないんですけど・・・。」

「僕も、今日から車に乗るんだ。」

「あっそー、へそが曲がってるようなので、ぶつけて来ないでねー。」

「有り得るかも~(笑)」


誠の教習が始まった。

始業点検、発進、停止、後退、ギヤチェンジと何とかこなして、終了した。

同時に、みずきのバイク技能教習も始まった。

倒れたバイクを起こすのに手間取って、教官とマンツーマンになったが、乗ってしまうと意外にも、男子達と同じ様に操作して、走行が出来た。


教習を終えたみずきを、ジュースを持って誠が迎えた。

「みずき、お疲れ!」

「ありがとー、もう喉、カラ、カラ。」

「上手かったじゃん。男より、スムーズだったよ。」

「そう? ギアチェンジが、訳解んなくなっちゃって・・・。」

「走れればいいんじゃないの。そのうち慣れるって。」

「そうかなー。」

「でも、バイク、重そうだったね。」

「重過ぎだよ! 何であんな重いのよ! 一人だけ別にされて、涙が出て来ちゃったよ。」

「でも、起こせないと、免許取れないよ。」

「よし、筋トレでもするか!(笑)」 

「逆らえなくなるじゃん(笑)」


「そー言えば誠さん、ガチガチに緊張して運転してたの見えたよ。」

「教官が、色々言うから、何だか解らなくなっちゃってさ。車の運転なんて、面白くないよ。」

「そう? 私は、ギアチェンジさえ無ければ、バイクに乗ってる時は、面白かったけどなー。」

「すげーなー、初めて乗って面白かったなんて、なかなか言えないよ。」

「そーかな? もしかして、私、才能が有ったりして(笑)。」

「早く終われば、余計なお金も掛からないし、いいじゃん。」

「誠さんだって、運動神経はいいんだし、慣れれば人よりもきっと上手だよ。」

「そっかなー。それじゃー、F1ドライバーでも、目指そうかなー。」

「F1でも、M1でも、好きにすれば。」

「M1って、お笑いでしょ。 そっちの才能はないと思うんだけどなー。」

「そうかも・・・。」

「えっ・・・。」



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