第八話 帰還
―――1942年(昭和十七年)2月20日柱島泊地旗艦大和―――
「これが……大和か……」
ども、古賀大和だじぇい。
只今内地に帰還したで。
約三ヶ月ぶりやな。あ〜、暑かった。そして、さみぃよ。
「漫才しとる場合とちゃうわ」
一人ボケツッコミをした俺は案内人の士官に連れられて長官室に向かった。
―――長官室―――
「古賀、入ります」
「うむ」
中から、豊田長官の了承の声が聞こえたから入る。
「古賀大和中将、出頭しました」
「うむ、何故呼ばれたか分かっているな?」
「は、自分が零戦を操縦して空戦に参加したからであります」
おのれ……誰やチクった奴は?
「撃墜数は?」
「十二機です(ジャワ島攻略後、スマトラ島攻略支援で艦隊に攻撃にきた敵機を撃墜したのも入っている)」
「ということはエースパイロットの仲間入りだな。おめでとう」
……へ?
「……それだけ……ですか?」
「当たり前だ。お前が何かするのはもう慣れているからな」
……改めて問うけど、転生する前の俺は何をした?
「陛下からお褒めの言葉を貰っている。『将官でのエースパイロットは日本軍では初めてだ。これからも頑張ってくれ』だと。今日はめでたい日だ。飲むぞ」
ドンと豊田長官が日本酒を出す。
「自分はまだ、未成年ですが……」
「んなもん知らん」
その日、無理矢理飲まされたわ……頭いてぇ……一気飲みはやめとこう。身体に悪いわ。
てか、豊田長官の性格変わっていいひんか?
『気のせいやby作者』
「実はな、二点程悩みがあってな」
豊田は頭をトントンと叩いている。
「悩みですか?」
「うむ、一点目は、軍令部が女性兵士を作ろうとしているんだ」
「………何故ですか?」
おいおい、軍令部は何を考えているんや?
「占領地の拡大の時に部隊が不足したら困るとか言っているがな……」
「……自分の考えですが、女性兵士は採用しても構いませんが、本土防空隊で設立したらいいじゃないですか?」
「本土防空隊だと?」
「はい、女性兵士を戦闘機のパイロットに育成して、本土防空専門の部隊に纏めたらいいと思います。外地に派遣して捕虜にでもなったら通州事件のような凌辱される懸念があります」
「そうだな。本土防空専門にしたら本土にいる男子パイロットを外地に派遣出来るな」
「はい、ですが、女性となると衛生方面でも問題が起きると思いますが……」
「うむ、それに関しては儂も何とかしよう。それで二点目の問題が、井上成美や山本五十六達航空主義者が旧式の扶桑型と伊勢型を空母に改装しろと言っているんだ。プリンス・オブ・ウェールズとレパルスを捕獲したからこれを空母護衛の戦艦にしろとだとさ」
豊田長官は溜め息をはく。
「四隻の確かに旧式戦艦ですが、今、大改装をしているんですから無視すべきですね。5月には隼鷹型が二隻が竣工しますし、改飛龍型の空母六隻が今年の1月中旬に起工しているんですから足りるはずです」
「そうなんだが……奴らはまだ足りないと言っているんだ。太平洋は空母で守るべきだと抜かしているからな」
「分かりました。なら、自分は明日、艦政本部に行くので何とかします」
「苦労をかけるな」
「慣れてますよ」
俺は長官室を退出した。
―――空母翔鶴―――
「それで、明日艦政本部に行くのか」
「ほんまに山本は五月蝿いな。自業自得やのに」
俺は、自分の部屋で翔鶴ともう二人の女性と話している。
「てか、君誰や?」
「あぁ、紹介していなかったな。右は私の妹空母瑞鶴の艦魂瑞鶴だ。左は戦艦大和の艦魂大和だ」
瑞鶴はポニテ、大和はショートヘアやな。
「よろしくお願いします」
瑞鶴は頭を下げる。真面目そうやな。
「大和だ。あまり会えんと思うがよろしく頼む」
多分金剛みたいな性格やな。
俺達四人はたわいのない話しをしながら、翌日、三人に見守られながら九九式艦爆で翔鶴から発艦した。
御意見や御感想等お待ちしていますm(__)m