第二十二話 ドーバー海峡突破2
『敵機接近中。数は約十機』
電探室からの報告や。
襲ってきたのはソードフィッシュ九機。
上空直掩の零戦十二機にあっという間に落とされた。
「全空母の零戦の発進準備を急がせろ」
「了解です」
これから二次、三次と続くやろうな。
「長官ッ!!敵の魚雷艇が接近中ですッ!!」
足止めか?
「艦爆隊、零戦隊発進やッ!!」
各空母から六十キロ爆弾三発を搭載した九九式艦爆と零戦が発艦する。
そして雨のように、機銃弾と爆弾を投下していく。
水柱が収まると、残ったのはイギリス軍魚雷艇の残骸と無傷の日独艦隊や。
「……俺も準備だけはしとくか……」
そして次々と襲い掛かってくるイギリス航空隊に遂には俺も発進した。
「散れェッ!!」
ダダダダダダダダッ!!
ドドドドドドドドッ!!
十二.七ミリ機銃弾がエンジンを傷つけ、二十ミリ機銃弾がスピットファイヤーの左翼の付け根を貫いて左翼を吹き飛ばした。
左翼を失ったスピットファイヤーがフラフラと墜落していく。
「よしッ!!」
艦隊を見ると、相変わらず無傷やった。
だが、イギリス軍の数も多い。
「このままやと零戦隊の防衛網から突破されるな……」
そう呟いた時、大陸から多数のメッサーシュミットやフォッケウルフが飛来した。
「ゲーリングさんの応援かッ!!」
出撃前に、ゲーリングは航空機の応援を約束してくれた。
流石のイギリス軍もドイツ空軍の増援には勝てなかった。
アメリカから輸出されたB―17が日独戦闘機にやられて、炎上しながら墜落していく。
瑞鶴に降りると、膝はプルプルと震えているけど、何とか耐えて艦橋に向かう。
「迎撃お疲れ様です長官。艦隊はオランダの沿岸に達しています。もう少しです」
大川内が報告する。
「そうか、もう少しでも気を抜くなよ?」
「分かっています」
ズシュウゥゥゥーーンッ!!
爆発音が響いた。
「何やッ!?」
「シャルンホルストがやられましたッ!!水柱一本ッ!!」
潜水艦やろか。
「急いでシャルンホルストに報告を求めろ」
十分後、シャルンホルストから回答があった。
「接雷……機雷か……」
「恐らく、作戦前の掃海が完璧ではなかったんでしょう」
「まぁ、当たったもんはしゃあないわな。ティルピッツ以下の艦艇は先行してもらおう。シャルンホルストは我々が護衛する」
直ぐに発光信号が飛び交い、ティルピッツ以下の艦艇は速度を上げた。
「長官ッ!!偵察に出した二式艦偵二号機より入電ッ!!『我、敵艦隊発見。空母二、戦艦三、巡洋艦、駆逐艦多数』」
「……スカパフローを出た本国艦隊か。引き返してきたんか……」
俺はシャルンホルストを見る。
シャルンホルストの艦上では乗組員達が慌ただしく動いている。
「………全機発艦ッ!!対艦攻撃用意やッ!!」
シャルンホルストを見捨てられるか。
「了解ですッ!!」
各空母は忙しなく動く。
攻撃隊は零戦三六機。
九九式艦爆五四機。
九七式艦攻五四機。
指揮官は高橋嚇一に任した。
ブオォォォォォンッ!!
乗組員達の『帽振れ』に見送られながら次々と攻撃隊が発艦する。
一時間半後、攻撃隊は敵イギリス本国艦隊を発見した。
「零戦隊は敵制空隊を頼むッ!!野津ッ!!ト連装だッ!!」
零戦隊が向かってくるシーファイヤーとの格闘を尻目に高橋機から『トトト……』のト連装が発信された。
突撃態勢をしていた攻撃隊が一斉に敵イギリス本国艦隊に襲い掛かった。
ドンドンドンドンッ!!
ドドドドドドドドッ!!
激しい対空砲火が攻撃隊を襲い、一機、また一機と九九式艦爆や九七式艦攻が墜ちていく。
高橋機も右翼に被弾したが構うことはない。
「高度六百ッ!!」
「撃ェッ!!」
野津特務少尉は後部座席で高度を読み上げていた。
高橋は投下レバーを引く。
二百五十キロ爆弾は見事に敵空母に命中した。
ズガアァァァーーンッ!!
しかし、敵空母は装甲を持つイラストリアス型なのであまり効果はなかった。
だが、その合間に嶋崎少佐の九七式艦攻一個中隊が突撃。
対空砲火で三機を失うも、距離七百で航空魚雷を投下した。
敵艦長は必死に操艦をするが四発が命中した。
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