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第十八話 奇襲

何かご都合が……(汗)





四つの砲弾は暗闇で俺からは見えないが放物線を描きながら翔鶴の至近に命中して水柱を上げる。


「反転や急げッ!!」


操艦手が慌てて舵を切る。


「長官ッ!!五十鈴以下の水雷戦隊が突撃しますッ!!」


軽巡五十鈴には遣独艦隊水雷戦隊司令官橋本信太郎少将が乗艦していた。


「あッ!!愛宕と摩耶も突撃しますッ!!」


これで空母部隊を護衛するのは第二四駆逐隊の駆逐艦海風、山風、江風、涼風やった。


ズドオォォォォーーンッ!!


レナウンの主砲が火を噴く。


砲弾は二発が外れて海水を上へと上る。


しかし、一発が右舷を航行していた江風に命中した。


ズガアァァァァァーーンッ!!


砲弾は魚雷発射管に命中して江風は瞬く間に沈没した。


そして残りの一発は翔鶴の前部飛行甲板に命中した。


ズガアァァァァァーーンッ!!


翔鶴が揺れる。


「グアァァァァァァーーーッ!!」


翔鶴が悲鳴を上げる。


「翔鶴ッ!!」


倒れた翔鶴を起こす。


右手にヌルッとした感触があった。


それは翔鶴の血やった。


翔鶴は腹を貫かれ、腹から腸が露出した。


「………ッ!?」


俺はあまりのグロさに目を背けようとするけど、何故か背けられなかった。


ズガアァァァァァーーンッ!!


「重巡摩耶被弾ッ!!」


見張り員の言葉に俺は双眼鏡で摩耶を見る。


摩耶の水上機が燃えている。


飛行甲板に直撃弾があったみたいや。


さらにレナウンは摩耶に向かって砲弾を放つ。


しかし、砲弾は外れて摩耶の周辺に盛んに水柱が上がる。


摩耶は黒煙を噴きながらレナウンから逃げる。


「逃げろ摩耶ッ!!奴は直ぐにくたばるッ!!」


既に駆逐艦群と五十鈴は魚雷を発射していた。


そして俺の願いが通じたのか、レナウンの左舷に水柱が上がる。


敵の護衛の駆逐艦は既に沈没していた。


レナウンは三発の魚雷を食らい、瀕死の重傷を負っていた。


愛宕が妹の仇とばかりに、主砲弾をレナウンの構造物に叩き込む。


レナウンは遂に戦闘を停止して白旗を掲げた。







―――10月29日、アレクサンドリア―――


捕獲した空母イラストリアス、ビクトリアス、戦艦レナウン、重巡摩耶の応急修理をしていた。


摩耶は何とか沈まなかったけど、大破したために約半年のドック入りが余儀なくされた。


そのために、四隻はアレクサンドリアに入港した工作艦明石、輸送船から工作船に改装した下北が付きっきりで航行可能なレベルまで修理をしてからセイロン島に回航する予定や。


……やってんけど、遣独艦隊は一時、俺の独断でセイロン島に帰還する事にした。


砲撃部隊も何隻か損傷してるし、レナウンの奇襲を受けた時も駆逐艦四隻がレナウンの副砲で損傷してるしな。


勿論、被弾した翔鶴も修理と補給を受けなあかんし。


翔鶴の艦内巡視をしてあまりの悲惨さに息をのんだ。


直撃弾を受けた上甲板から艦首に至っては飛行甲板前部がめくりあがり、完全に使用不能やった。





「翔鶴、大丈夫か?」


俺は翔鶴の部屋を尋ねていた。


「大和か……まぁ今のところはな」


翔鶴はベッドで横になっていた。


左腕は骨折している。


「ゴメンな翔鶴。俺があの時、翔鶴の言葉を聞いていれば……」


俺は翔鶴の頭を撫でる。


「仕方ない。私だって確信はなかったんだ」


翔鶴は左腕の苦痛に堪えながら微笑む。


「……ほんまにゴメン」


俺は翔鶴を抱きしめる。


「や、大和……//////」


「……よろしいですか長官?」


いつの間にか扉の近くに早川がいた。


「な、何や?」


「イタリア艦隊の司令官が面会を申請しています」


「分かった。今行くわ」


俺は頷く。


「翔鶴、ちょっと行ってくるわ」


「あぁ」


俺と早川は部屋を出る。


ムギュッ!!


早川が俺の脚を踏み付ける。


「痛ッ!!」


「フン……ほら早く行くよ?」


「り、了解……」






イタリア艦隊司令官アンジェロ・イアキーノ中将の面会はマルタ島を占領出来た事の感謝を言いにきたらしい。


まぁイタリア海軍にしたら久しぶりの勝利やからな。


とりあえず、イタリア艦隊には三〜四海戦分の重油やガソリンを提供しとこ。


「……そんなに重油とかあげていいの?」


俺の副官である橘が問う。


「一応、イタリアには地中海を抑えてもらいたいからな。それにイタリアには貸しを作っとくのがええねん」


「貸し……か?」


六道が首を傾げる。


「イタリアは弱いけど、古来からの職人技術はピカイチや。貸しをしとくのも何かあった時はこっちが有利になるしな」


後年、それが実を結ぶんやけどそれはまたな。


「長官ッ!!」


そこへ大川内が走ってきた。


「何や?」


「……これを…」


大川内は息を整えると、俺に通信紙を渡した。


「………面倒なぁ……」


俺は通信紙の中身を見て溜め息をついた。


内容はドイツ政府よりの、首都ベルリンへの出頭要請やった。






御意見や御感想等お待ちしていますm(__)m

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