第十五話 遣独艦隊
―――1942年10月5日アデン司令部―――
「……あぢぃ……」
オッス、俺古賀大和。
アデン攻略は僅か二日で終了した。
てか一個連隊対二個師団やで?
航空攻撃で英軍の主要陣地は潰したし。
まぁ占領されたイエメン王国は『支援してくれるなら構わない』と土地の借用を了承してくれた。
アデンを占領した事によって、補給を絶たれたエジプトの英軍は急速に士気が落ちていた。
さらに、ロンメル将軍の北アフリカ軍団がアレキサンドリアを占領した。
まぁ、第二航空艦隊がちょくちょくとアレキサンドリアやカイロを爆撃してからな。
勿論、ピラミッド等の重要遺跡は攻撃してないよ。
後、結局はインドを攻略しなかった。
ただ、アメリカが援蒋ルートしないためにカルカッタだけは占領している。またボースには多大の武器支援をしている。
「古賀長官。追加部隊が到着しました」
ルツィアが入ってくる。
アデンに入港してきたのは捕獲して改装した英空母銀龍、神龍と護衛の駆逐艦四隻や。
ちなみに、二隻で第七航空戦隊を組んでいる。
司令官は元翔鶴艦長の城島高次少将や。
「分かった。城島少将を呼んでくれ」
「分かりました」
ルツィアが再び部屋を出る。
―――30分後―――
「城島入ります」
「おぅ」
城島少将が部屋に入る。
「第七航空戦隊、只今到着しました」
「あぁ、今日はゆっくり休んでくれや。それと………」
俺はルツィアに合図を送る。
ルツィアは一升瓶の酒を十本持ってきた。
「俺からのプレゼントや。乗組員達と一緒に飲んでくれ」
本当は大川内から出さしたけど……。
「ありがとうございます。乗組員達も喜びますよ」
城島少将は俺に敬礼をして退出する。
「………ルツィア。アレキサンドリアのロンメル将軍に打電してくれ。『我、二日後ニ出撃ス』や」
「了解です」
ルツィアが部屋を出る。
「………まさかこうなるとはなぁ……」
引き出しから一枚の通信紙を取り出す。
通信紙には『第二航空艦隊ヲ遣独艦隊ニ改メ、独軍ヲ支援セヨ』と書かれていた。
「……最悪、ドイツ本国まで出張かな?」
俺は呟きながら派遣艦隊を編成した。
―――遣独艦隊―――
戦艦長門、陸奥、金剛、榛名。
空母翔鶴、瑞鶴、龍驤、銀龍、神龍。
重巡妙高、足柄、愛宕、摩耶。
軽巡長良、五十鈴。
駆逐艦二十隻。
―――二日後―――
「全艦出撃」
旗艦翔鶴で、俺は命令をする。
「了解。微速前進」
翔鶴二代目艦長の有馬正文大佐の声が艦橋に響く。
遣独艦隊は、紅海を進む。
―――10月8日クセイル沖―――
五隻の空母の飛行甲板には多数の航空機が並べられていた。
「長官。第一次攻撃隊全機発艦準備完了です」
大川内が告げる。
「よし、第一次攻撃隊全機発艦やッ!!目標カイロやッ!!イギリス軍の息の根を止めるんやッ!!人類の重要文化財には手ぇ出すなよ」
発光信号が各空母に飛び回り、整列していた航空機のプロペラが回り始めた。
風上に回った各空母から次々と攻撃隊が発艦していく。
第一次攻撃隊は零戦五四機、九九式艦爆五四機、九七式艦攻五四機の一六二機で攻撃隊隊長は高橋赫一少佐や。
攻撃隊は編隊を組むと、エジプトの首都であるカイロを目指して行った。
―――1時間半後―――
「古賀長官ッ!!攻撃隊より入電ですッ!!」
艦橋に上がってきた通信兵が報告する。
「読め」
「は、『我、敵軍事施設及ビ多数ノ戦車隊ノ破壊ニ成功ス』以上です」
「よし、直ちに第二次攻撃隊を発艦させるんやッ!!」
再び発光信号が空母を飛び交い、五隻の空母から次々と攻撃隊が発艦していく。
そして、一時間半後に第一次攻撃隊と同等の戦果を引っ提げてきた。
「長官。予想以上の戦果ですね」
大川内が言う。
「そうやな。……遣独艦隊はドイツ軍がエジプトを完全に占領するまで当海域に留まる。それを全艦に伝えろ」
「了解」
発光信号が飛び交う。
ロンメル将軍率いるドイツ軍がエジプトを完全に占領したのはそれから十日後やった。
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