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 はぁ...思わずため息が漏れ出てしまう。

 無駄に婚約破棄を拒む必要はないだろう。

 今の私には正直関係ないことだし。

「本来であれば婚約解消には、正式な手続きが必要となりますが殿下がそのようにおっしゃるのであれば承知致しました。婚約を破棄致しましょう。」

 自分がしてもいないことを認めるようで癪だが、だらだらと弁明をしてもこの人は話が通じないであろう。

 今後がどうなっていくか分からないが、さっさとこの場から離れよう。

 殿下に背を向けて、立ち去ろうとする。

「な...!おい、待て!」

 なぜか慌てて呼び止められる。

 まだ何か言いたいのか。

 しょうがなく振り返ってあげると、わなわなと肩を振るわせ、顔を真っ赤にしている殿下がいる。

「なぜ弁明しない!」

 なぜ弁明しない、とは?

「この国の王子である私との婚約破棄だぞ!もっと泣いて縋って弁明するべきだろう!」

 何を言ってるんだこの人は。

 誰がでっちあげの証拠を持ってきて、勝ち誇ったように言ってきたのやら。

 呆れて答える気にもならず、まだ何かを怒鳴りつけてくる殿下を無視をしてホールから離れる。

 本来であれば皇帝とかに挨拶しなければいけないようだが、そんなこと知ったこっちゃない。

 長ったらしい廊下を文句を言いながらつかつかと歩いていると、突如強引に腕を引っ張られ部屋に引き摺り込まれる。

 頭に血が登って、全然人の気配に気が付かなかった。

 誰だか確認しようにも、部屋の明かりがついていなくて顔がよく見えない。

 相手は部屋の構造を知っているのか、迷い無く進んで行き私を床に放り投げて押し倒す。

 そのまま馬乗りになられて、手首を掴まれた。

 抵抗しようにも押さえつけられる力が強くて、びくともしない。

 叫んで助けを求めようとするが、口も布か何かで塞がれてしまった。

 この状況は...私は殺される感じなのかな。

 この身が私ではないからか、今の状況が他人事のように感じてしまう。


 ふと思う。

 この体の人は、イルは死んでしまったのだろうか。

 けど死んでいたら体があるのはおかしいか。

 中身だけ、いなくなってしまったとか?

 いや、そんなことがあり得るのか。

 こんな状況なのに...こんな状況だからか普段よりも思考が巡る。

 これが夢ではないのなら、なぜ私はここにいるのだろうか。

 前からずっと思っていたことがある。

 2度とまた生まれ変わりたくなんかないって。

 これから第2の人生を歩んでいく気力なんて、もうないよ。

 この体の人には少し申し訳ないが、もう疲れてしまった。

 これまでも、今も散々だった。

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