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「今日は集まってくれたことに感謝する。」
深みのある声をした男性が話しを始めた。
「今宵は建国記念祭の最終日だ。存分に楽しんでいってくれ。」
短い挨拶が終わると、再びクラッシックな演奏が始まった。
周りの人達もそれに合わせて踊り始めたり、再び話し始めたりする。
そんな周りの様子を、早く夢から醒めないかなとぼーっと考えながら見ていた。
ん...?なんか、さっき挨拶していた人が近づいてきてる気がするな。
気のせいかと思ったが、そうではなさそう。
男性がこちらに向かってくる最中にバッチリと目が合ったが、夢の中でどう動けばいいのか分からず固まってしまう。
目の前に来てしまった。
男性だけかと思ったが、後ろには先ほどの女性の姿も見られた。
「イル」
私の名前が呼ばれた。
私の名前が呼ばれた?
「イル・コロナリア、どうしたんだ。」
名前を呼ばれても反応しないことに、目の前の男性が怪訝な表情を浮かべている。
『イル・コロナリア』
その名前が呼ばれると同時に、私ではない記憶が蘇る。
情報が一度に押し寄せ、ズキズキと頭が痛み始め思わずこめかみをおさえる。
目の前の男性はこの国、ロズィーレの皇帝グラン・ガリカローズだ。
体が咄嗟に椅子から立ち上がり、慌てて挨拶をする。
「ロズィーレの太陽にご挨拶を。」
隣の女性は皇后リュンヌ・ガリカロース。
「イル、顔色があまり良くないように見えますが。」
淡々とした表情で、感情が読みにくいな。
「申し訳ございません。考え事をしているうちに少し頭が痛みまして。」
「そうですか。今日は建国記念祭の最終日ですが、気を抜かず最後までコロナリア家として自覚を持って過ごすように。」
「もちろんでございます、皇后様。」
皇后に向かって、頭を軽く下げた。
主人公の名前が出ました。
イルちゃんよろしくお願いします。




