第一話 もしも悪人がいなくなったら
「続いてのニュースです。昨晩、〇〇高校の男子高生が自室にて首を吊った状態で発見されました。」
また一人いなくなっていく。どうせイジメのせいだろう。しょうもない、くだらない。そんなことしてるやつ全員いなくなればいいのに。
教室に教師の声が鳴り響く
「というわけで、イジメはダメだぞ。気をつけるように。では授業を始めます。」
おれは正堂翔矢、星縁高等学校2の年生だ。
いつも何気ない日常を送っている。
特別頭が良いわけでもない、ただちょっと真面目なくらいだ。
「うわぁ、朝から数学とかマジ無理ー。」
だるそうにしているのが幼なじみの花千果硝華。勉強嫌いの女子高生。ただスポーツだけはできる。
「なぁ花千果、もしも悪人が1人もいなくなったらどうなると思う?」
「えー、まぁ平和になるんじゃない?」
花千果がそう答えると、机に突っ伏した。
俺は常日頃、悪いことする奴なんてみんな居なくなればいい、なんて思っている。そう思っていた。
俺がふと窓から空を見上げた時だった。
「ん?なんだあれ、隕石?」
一瞬にして目の前が真っ暗になる。
あれ、何が起こった...?手足が動かない、というよりは感覚がない。どうなってるんだ。
意識が朦朧とする中、目が覚めるように起き上がる。
目に映ったのは薄暗い教室、机に寝ている生徒たちの姿、そして、教卓に置かれている謎のキューブ。
「は?おい、どうなってるんだ!」
俺が戸惑っている間に次々と生徒達の目が覚める。
「んー、どうしたのー?」
「花千果!なんだか様子がおかしい!」
何が起きたか分からず混乱していると、キューブから声が聞こえる。
「あー、あー、聞こえるかい?」
騒がしい教室が静まり返る。
「君たちにはこれから人類選別計画に参加してもらうよ。ゲームとでも思ってね。」
「人類選別計画?」
「そう、この人類を作りかえるための人材を選別するんだ。」
言ってる意味が分からない、人類を選別?なにを言ってるんだ。
そんなことを思っていると、キューブがまた話しだす。
「まぁ話を聞いてよ。慌ててもなにも変わらんぞー。」