第75話 いざ研究会へ
次の日の放課後。講義が終わって直ぐの話だ。
「ねぇねぇユウ〜!」
「どうした? ずっと何かしてたみたいだけど……」
マナは講義中だというのに、またしても何か他の事をしていた。今回は読書ではなく、ブツブツと地図を広げて、このコーナーがとか、ここをショートカットしてとか、よくわからん事をいいながら、必死に何かに取り組んでいた。
「みてみて! これっ!」
マナは嬉しそうに、カラフルなプリントがされた紙を突き出し、俺の目線を遮る。
「なんだこれは……ボードレース?」
「そうっ! 今度、魔術式ボードの大会がこの都市であるんだよね〜」
「……なんか意外だな、マナがそういったスポーツに興味を示すのは」
「えぇ〜? なんで〜? 私、毎年出場してるんだよ」
「へぇ〜……そうなんだ。まぁ今年も頑張れよ。うん、応援してるぞ」
「まってまって!! そこで話を終わらせないでよ」
「いやだって、俺興味ないしなぁ……」
「あぁ〜〜たしかにユウって〜。運動神経なさそうだもんねぇ〜」
「あっ?」
クスクスと笑いやがって、コイツ……俺を煽ってやがるよ。
「……大会というからには、順位が着けられている筈だ。去年の順位を教えてもらおうか」
「えぇ〜。それ聞いちゃう〜」
「変にもったいぶるな」
「腰抜かしても知らないからね〜。私はなんと〜18位だよ!!」
「…………ん? 18?」
正直、ビミョウ〜じゃないか。
まず大会の規模を知らないし、何人参加中の18位なのかによって見方が変わるし、どの程度の実力なのか数字を聞いただけでは分かりづらい。
「すごいじゃない! 20位以内に入ってるなんて!」
共に聴いていたエリカは、俺に反して驚いた表情を見せる。
「そうなのか?」
「えぇ、王都のボードレースは有名よ。毎年恒例行事で、参加者も沢山いるわ」
「まぁ〜私の腕にかかれば、お茶の子さいさいだよ〜」
マナは腕を組み、ドヤ顔でふんぞり返ってる。
「そんなのたまたまだろ」
「ひどい! ホ〜ント、ユウは疑り深いよね。
いいよ、今度の大会で私の華麗なる走りをとくと見せてあげるから!」
「わかったわかった、楽しみにしとくよ」
興味がない俺に対して。
「ボード大会かぁ……」
エリカは羨ましいそうに大会のチラシを読んでいた。
そんなエリカを見てか、マナは思いついたように。
「……そうだ! エリカも一緒に出ようよ!」
「えっ? 無理よ……私、ボードなんか乗ったことないし、だいたい魔導具はまともに使えないから」
ボードは魔術を少しでも噛じった人間なら誰でも乗れるものだけど、魔人であるエリカは魔導具を使うのに苦痛を伴う関係上……厳しいものがあるのだろうな。
「あ、諦めるのはまだ早いよ! 普通のボードは確かに魔力消費が多いけど、改造ボードならワンちゃんあるよ!!」
「改造ボードって、そんなのどこにあるのよ」
「それは〜……え〜と……え〜……」
普通に考えれば魔導具専門店にある気がするが、絶対お高いし魔人が乗れるボードとなれば話が変わってしまうだろう。
魔人に合わせて設計された魔導具が、置いてある場所なんて、そう都合よく……。
ん? ……魔導具? まてよ。
「あっ……もしかしたら何とかなるかもしれない」




