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第74話 研究会への誘い

「そこのお前……。よかったら、ウチの研究会に入らないか? 」


 そう言って廊下で突然に俺を誘ってきたのは、色黒い肌とグレーの髪に、鋭い眼光が特徴的な2年上の先輩だった。


 そして彼もまた魔人である事を示す赤いチョーカーを首につけていた。


 この学院にはエリカ以外にも、魔人が何人か居るのは知っていたけど、こうして会うのは初めてであった。


「おい、何を呆けているんだ。聞いているのか?」


「は、はい……」


 初対面でしかも、ただ勧誘されているだけだというのに、俺は萎縮してしまった。


 けど、言い訳がしたい。


 彼の野太く落ち着いた声をきいて、そのギラギラとにらみつける様な赤眼に見られて、威圧されない方がおかしい。


「えっと、研究会へのお誘いですよね。

 ど、どういった事をテーマにしているんですか?」


 ここ数日のあいだ、同じ様に数度声をかけられた。まぁ、ネクタイの白色から判断して手当たりしだいに声をかけているのだろう。


「……俺たちの研究テーマは、魔術式道具だ」


          ・

          ・

          ・


 寮部屋にて、俺はグリーンとケイに今日の出来事を何気なく話していた。


「てな感じで誘われたんだけど、グリーンは研究会に入ったりするのか?」


 クラブ、研究会への勧誘………。前世界でも、新学期を迎えるたびに、誘われる方も誘う方も経験してきた。


 入学したて、少し落ち着いてきた頃、起こりがちなイベントの一つである。


 我が学院にも、スポーツ、武道、学問、芸術、学院生活に関するクラブ、研究会が存在しているため、例外ではない。


 しかし、ここ魔術学院だ。当然ただ運動、武道、学問を極める集まり等ではない。


 全てが魔術に関係があり、スポーツ、武道は魔術を用いた物となっている。


「研究会かぁ……。

 ボクは生物対話研究会に入ろうか迷ってたよ」


 そして、多くの者が所属している魔術研究会。それは言葉のまま魔術の研究をする為に、発足する会だ。


 生徒が自由に創ることが許されており、同じ魔術系統を追求する者達で、構成される事が多い。


 その種類は多種多様に渡り、細分化されていると言っていい。


 そんな中でも、一番多くを占め、ポピュラーなのが、基本四元素魔術をそれぞれ扱う会。


 しかし、同じ炎を扱うとしても、上級科の生徒と、普通科の生徒では、別々の研究会だったりもする。

 これは格差……というか単純なる実力差によるものだ。同じ実力者同士でないと意味がないことだってあるのだ。


 対してマイナーどころは、生活魔術、芸術、音楽などを魔術と融合させる活動や研究をしていたりと、まぁ研究会はとにかく自由なのだ。


 魔術の研究であれば何でもいい。


 規模も内容も関係なく、成果や功績を上げて認められれば、学院から研究費の支給がされる場合もあるし、施設や器材の利用権限が与えられる。


 でも、絶対に成果を上げる必要もない。


 中には研究会の題材をコロコロと気ままにかえる会もあるし、趣味程度の研究、息抜きなんて考えもある。


 つまり研究会によって、熱量が違うというとわかりやすい。大規模、小規模……教授が直接に指導、監督する会もあるし、研究室として成っている場所とサークル程度で収まっている場所、様々だということだ。


「生物対話……? あぁ〜俺も誘われたところかな? ララ生徒会長が代表を務めている所だろ?」


「そうだよ。だからなのか、結構大きかったなぁ〜。あそこは……でもね」


「なんだ、合わなかったのか?」


「うん。先輩達は皆んな優しかったんだけど……。残念なことに動物だったんだ」


「えっ?

 ………あぁなるほど。植物と対話している人がいなかったのか」


「そうなんだよ! それでも、いい雰囲気だったから、入るか結構迷ったんだけどね。

 植物達との会話時間が減るのが嫌だったから、断ったよ」

 

「まぁ、たしかに放課後や休日に集まるとなるとな」


「ユウくんは他にも研究会に誘われたの?」


「俺があと誘われたのは、その生物対話と色彩操作魔術、味覚誘導魔術かな」


「へぇ、どれも面白そうだね。その内で、決めるの?」


「いや、決めるというか……元々、何処にも入るつもりはないから、ぜんぶ断ってる」


「え? もしかして、自分で立ち上げるとか?」


 立ち上げるか……ユウは、実は立ち上げた経験がある。中等学院の時の話で、アイツらと一緒に複合魔術の研究会をやっていた。

 基本的には真面目に上級魔術師になることを目標に掲げて活動していたが、時には無茶な実験をしたりして、先生に怒られた……でも、楽しかったな。

 

 違う……俺は何を考えてるんだ。楽しかったのは俺じゃないだろ。

 なんだか最近、こういう事が多い。ユウと俺の記憶の区別が前にも増してつかなくなっている気がする。もしかすると、俺はこのまま……。


「いや……それもない。まず研究テーマがないしな」


「そうなんだ。まぁ無所属も珍しいことでもないよね……」


 俺は寝耳で話を聴いていたケイにも、興味から質問を投げかけた。


「ちなみに、ケイは何処かに入ったりするのか? 」


「……愚問だね。僕はそんなに暇じゃないから、何処にも入らないよ。

 でも、睡眠魔術研究会なんてものが、ここにはあるらしくて。そこにはセンスを感じたね」


コイツ……まだ寝るつもりか。


「睡眠魔術って、この間言ってた禁忌魔術だろ? 解散待ったなしじゃないか 」


「うん? そうだったかな? 忘れてたよ」


「はは、ケイくんらしいね」

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