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第57話 庭園

 おいおい……。どこにいるだよ。


 食堂、図書館、闘技場や運動場、他の科の生徒が主に使っている北・西・南棟など、思いつく所は大体、探し回ったぞ。


 広い敷地内で、二人組か一人でいる奴を中心に声をかけていったが、全くかすりもしない。


 まじで、どこにいるだ? 


 知らない奴に話しかけるのって、結構メンタル削られるんだからな。


 流石に上級科の敷地には、行かないだろうし……。あと可能性があるとすれば、少し離れた場所になるが庭園とかか。


 一度は、部屋に戻って待っていた方が楽だし、早いと思ったりもしたが、今は逆にここまできたら、絶対に見つけてやると俺は意固地になってしまっていた。


 しかし、もうすぐ日も沈む。次の庭園が最後になるだろう。


 国立魔術式植物庭園。そこには屋外と屋内両方に四季折々、地球中の花や木々達が美しく広大に展開されており、彼らは生物として強く生きている。


 この庭園と関連施設では、地球上に存在が確認されている植物の殆どを保管、管理されている。魔族や魔物の出現によって地球の環境は、大きく変化した。そういった変化に耐えられない種の絶滅を避けることを目的に作られた施設だ。


 他にも、この国には存在しないが、さらに広大な土地を利用して、人間以外の動物に着目した同じ目的の施設もあるらしい。まぁ、動物園と植物園の規模を世界級にしただけと思えばいい。


 この庭園において、一般生徒が入ることが許可されている領域は少なく、せいぜい鑑賞フロアぐらいだ。 


 しかし侮るなかれ、その鑑賞フロア内は素晴らし過ぎた。


 俺は施設に入った時から、それら光景に心が射抜かれ、放心状態と化した。


 植物達の配置、色バランス、成長サイクルなど、全てが計算されて管理。いや違う適切ではない。この情景を成すには植物達と理解しあえていないと活かす事が出来ない物だと思われる。ここは一生涯で一度は見るべき、一見の価値がある庭園であることは間違いない。


 そんな美しく整った庭園内をゆっくりと、散策していると、一人の男子生徒が目に入る。


 彼は植物達に囲まれるような場所におり、彼の問いかけに合わせて花達は花びらを開き、木々は揺らめく。よくある例えだが、そう……まるで植物と会話しているようだった。


 てか、どうやって、あそこの植物の隙間、空間に入ったんだ。その植物達と一体化した彼を、不思議に思ったのと同時に。


「なんか幻想的だな……」


 つい単一な感想が口から溢れる。


 そんな言葉から、俺に気づいた彼は、こちらに向かってきた。さらに不思議なことが起こっていることに気がつく。こちらに来る彼が植物を躱すのでなく、植物が彼の通り道を作ってるかのように見えたのだ。 


 彼は声が充分に届く距離まできた。


 何をしていたかは分からないけど、新しい制服は土で汚れている。


 すると……。


「あの……ボクになにか御用がお有りですか?」


 少し自信なさげに質問を投げかけてきた。


 彼は薄暗い緑色の髪が特徴的で、その髪が目の辺りまで伸び、目が隠れて視線が合っているのかわからない。


 『目は口ほどに物を言う』なんて、言葉があるほど、目とは相手に感情を伝えるのに大きな役割を担っている俺は思っている。そんな大切な目を見してくれない彼の、感情はとても読みづらい。


 感覚的に年は同じだと思ったが、もしかしたら上級生かもしれない。彼は作業をするにあたって、学年で差があるネクタイを外していて、その確認もできない。

 

「作業を中断させて、申し訳ないです。

 実は人を探していまして」


「人探しですか……。でしたら、恐らくお力になることは出来ないと思いますよ」


「そうですか……。でも、一応お伺していいですか?」


「はい、構いませんよ」


「自分はいま、グリーン ガードナー、ケイ ハワードという人物を探していまして」


「えっ!? ……そうなんですか。あの因みに何故、その人達を探しているのですか?」


「なぜって……。自分は彼らとはルームメイトなので、これからの始まる学院生活の事を話し合おうと思っていました。

 けれど部屋はもぬけの殻で、さらに辺りを探しても、部屋に何度か戻っても見当たらなくて、そして最後にここを調べに来た訳ですね……」

 

「なるほど……。それは大変迷惑をかけました」


 彼は軽く、頭を下げた。 


「えっ!? まさか!?」


「すみません。そうなんです。ボクが貴方の探しびとの一人 グリーン ガードナーです」

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