第54話 入学
新たな学生生活の始まりといえば、俺の元いた世界の国では春を彷彿とさせ、同時にピンク色の花を咲かせる木が連想される。
しかし、ロワード王国の国立魔術学院の始まりは9月。四季で言えば、夏が終わり、秋の訪れを感じることができる季節。
ただロワードは緯度が高く、9月でも肌寒く感じるほどだ。
合格発表日から約1週間後の9月9日、登校初日。
俺は1人、新しく着慣れない学生服を身に纏い、新入生へのガイダンスに参加すべく魔術学院の敷地をまたいだ。
アイツラが一緒じゃないのは、決して俺が避けているとかではなく。上級科と普通科では、入学時期も主に利用する施設も違うため、ノア達は既に4日前に入学しているのだ。
自分で……嘘はいけなかったな。あの日以来、気まずさからいつもの集まりには行っていない。
何度かアミーとアイナが誘いに来てくれたが、適当な理由をつけて全て断ったのだ。そうこうしていたら、すぐにアイツラは先に学院に行ってしまった。俺は真実が暴かれるのが怖くて、あの輪に戻る事ができなくなっていたのだ。
俺は少し大きな荷物をかかえ、入学案内書に書かれた学院の東棟の前まで来た。
荷物がかさばっているのは、国立魔術学院は全寮制であり、生活に必要な私物を持参するからである。
東棟は、受験者全員が受けた筆記試験を行った別館の内の一つで、普通科の生徒が主に使う校舎。本館である城のように豪華ではないが綺麗で立派な校舎だ。
そんな東棟の外の掲示板にはクラス名簿が1〜5組まで、張り出されていた。
「なるほど……偶然にしては出来すぎだな」
1組から順番にみていき、俺は5組だった。
そして、ある二つの名前を発見した。




