第49話 選択
会長との会話を終えて、二人は学院を出た。
「意外だったわ。アンタが最後の質問の答えを聞いて尚、行くことを選ぶなんて」
「そりゃ、お互い様だよ。あんなにも上級科にごだわっていたのに」
「私は…………」
エリカは昨日の出来事。訪ねてきたオリビア先生と話した内容を脳内で振り返った。
「先生……もういいんです。
今更、生徒会長の話を聞いて、何になるんですか?」
「エリカ、すまない……。
お前の家庭の事情は調べさせてもらった。だから、何故上級科に入りたかったかも予想はついている。
そして、今からロワードを出ようとしていることもな」
「…………」
「止めておけ、ユーフテス無き今。この国より魔人に対して待遇がいい場所は、この大陸にはない。隣接する他の国に行くくらいなら、人間であることを捨て、魔族達の国へいく方がまだいい」
「私は他の国にも、魔族の国にも行く気もありません……家族全員で暮らせる魔人達の集落を探します」
「そうか……。でも一度会長に会ってみろ。アイツは変わり者だ。思想が変わっている。きっとお前にとって願ってもない提案をしてくる筈だ。それに上級科を諦めるのはまだ早いかもしれないぞ……」
そして、エリカは最後の希望として、会長の元を訪ねたのだった。
「……チャンスがあるなら、諦めたくなかっただけ」
「チャンスって、普通科に行っても上級魔術師の受験資格は得られないだろ」
「可能性はゼロじゃない。歴代生徒の中には、普通科から上級科への編入を果たした人がいるの。まぁ……今までで、たった一人らしいけど。
てか、アンタがなんで知らないのよ!」
「なんのことだ?」
「もぅ……いいわ。とにかくふたりとも行くことになった訳だし、よろ……。
いえ、何でもない。早くアリシアに知らせないとだから、もう行く」
「あぁ、またな」
……さて、俺も行くと決めたからには腹をくくらないとな。
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会長室。二人の帰路を眺める二人の人物がいた。
「会長……彼らは睨んだ通りの人物でしたか?」
「そうだね……。実際に合って、私が求めている人材であると思ったよ。ユウも最初の質問で、欲しい答えを聞けた。
ただ……彼の人格については、聞いていた印象とは少し異なっていたね」
「そうですか? 私は想像通りの人物だったと思いましたが」
「私も最初、彼は心優しい、単純なる善人だと思っていたよ。でも、最後の質問の答えに対して、ユウは不思議な顔をしていた。勿論、幼馴染の合格を妬むという顔でもない。だが、祝福する顔でもなかった。
ひどく安堵した表情だったよ。そう、云うなら、4人には合格して貰わないと困るといった感じだ」
「なるほど……」
「……今はまだ、何故そのような顔をしたのか理解できないけど、単純な人間より難解な方が面白い、そうだろ?」
ララはそう言い楽しそうに笑った。




