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第42話 止まる足

 会場内は、ユウ以外の人の気配は殆どせず、辺りは静まり返っていた。


 ユウはアリシアと話した後、治療室を出た。


 そして外に出るため、試験闘技場の正面玄関へ続く、通路を歩いていた。


 しかし、その足取りは異常に重く、遂に近くの休憩スペースのベンチに座り込んでしまった。それはノア達と会うのを拒んでいることから、出た行動なのかもしれない。

 


 いま……何時なのだろうか。正確な時間は辺りを見渡してもわからない。俺の試合が終わって、数時間がたったぐらいかな。 


 結局、昨日の試験も散々な結果で、さらには妙な行動をとったせいで今日の試合にも負けた。  


 いや、今日の事は考えてみれば、エリカに頼まなくとも、ルークが相手ならどっちみち負けていただろうし。対戦相手が違っていても、挽回できる程の結果は残せなかっただろう。なら、そこはどうでもいい。


 問題は、この入学試験の不合格がほぼ確定だということだ。昨日の基礎魔術の中には発動も出来なかったものもあった。そして、致命的なのは、試合中に魔力を使い果たしたことだろう。戦闘中に気絶するなど許される筈がない。当たり前だ、戦場だったら死んでいる。自分でも何で、こんなにも大切なことを忘れていたのかと呆れる。


 姉さんやアミー達に、なんて説明したら納得してくれる。ユウは何年も前からこの日を、合格を目標に、上級魔術師を夢見て、皆と歩んできた。

 

 俺自身は一切の後悔もしていないが、ユウを知っている人間はこの結果を認めてくれないかもしれない。


 あぁ、もう考えたくない。思考が停止している。今日は凄く疲れた。


 帰って……その場の雰囲気で、てきと〜に誤魔化せばいい。人生って意外とノリで何とかなるもんだろ。

 

 そうやって、怖気づいた心に言い聞かせていると静かな通路。俺が来た道からコツコツと音が徐々に近づいていくるのがわかった。

 

 これは……人が歩いてくる音? 


 しかし、歩いているというには、ぎこちなさを感じさせるリズムの音。


 廊下の端に人影が見え、遠目にもその人物が誰かすぐにわかった。あれはエリカだ。

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