第33話 意外な再会
アイナ達と別れ、オレは1人、第三闘技場に足を踏み入れることになった。
第二・三闘技場は、フィールドの大きさ、自体は第一闘技場と同じであるが、全体的に簡素な外観となっており、最高収容人数も少なくなっている。
これからどう時間を潰したものか。
自分の番までは、かなり長く待つことになる。
まぁ無難に出番の直前までは、観客席から参加者の試合でも見て、参考にでもするべきだろう。
オレはそう考えて、観客席の隅の方に座った。辺りを見渡すと同じように何人かが座っていた。
なんだ、こうしてみると観客席に受験生らしき生徒がちらほらといるじゃないか。皆んな、考えることは一緒なんだな。
ただコッチの観客席はスカスカだった。第一闘技場には、試験説明の時点で学院の在学生、先生やお偉いさんが結構、座っている様に見えたのに。まさか受験生のレベルで会場を分けているのか。……いや見栄えや効率を考えると有り得る。
意味がない試験の裏側を考えていると、此処には知り合いなど居るはずもないのに、不意に後ろから声をかけられた。
「こんにちわ、ユウ。やっぱり貴方も試験に参加していたのね」
オレは後ろから声をかけられたことに驚いた。というよりも、二度と話かけてくるはずがない人物の声を聞いて強く衝撃を受けた。
振り返ると階段上から、アリシアがコチラを見下していた。顔は穏やかだが、相変わらず、威圧的な赤い目でこちらを見ている。
「アリシア!? なんで此処にいるんだ?」
「ここにいる理由なんて……。試験を見る以外にある?」
それを聞いてすぐに納得した。何故、アリシアが此処にいるのかを。
「まさか……エリカも試験を受けるのか?」
「そうよ。ていうか別に意外でもないでしょ。上級魔術師を望む人なら、全員受験するわ」
何故だか分からないないが、その時『意外でもない』という言葉が納得できなかった。
エリカが上級科を受験するという行為に猛烈な違和感を覚えた。
「確かにそうだが……。
エリカがいるんだとしたら、オレと話している所を見られたら、その……不味くないか?」
「大丈夫よ。だって姉さん、試験前は集中したいって、一人で何処かに行っちゃったし」
オレとは別タイプで、他人の試合は一切見ない主義なのか。
しかし結局、後でバレましたなんて方が怖いんだが。
「いや見られなきゃいいって、問題か?」
「いちいち細かい。大体、前の話は姉さんが一方的に決めただけでしょ。私には関係ないわ。それに……」
「なんだよ?」
「いえ、何でもない」
「はぁ……オレは構わないが、見つかっても知らないからな」
「もし見つかったら、また怒られればいいだけよ」
先日はオレとエリカの言い合いを見て、泣きそうになってたのに、よく言うよ。
……なんだか、あの日のことを思い出したら、段々と胃が痛くなってきた。
「怒られるのはオレだけなんだろ。勘弁してくれよ」
俺のことをからかい満足したのか、一連の会話の中でアリシアの表情が少しだけやわらいだ気がした。
「あら、それはご愁傷様ね」
アリシアのやつ、完全に他人ごとだ。
まぁ、この間の約束は破ってない、オレからは話しかけてない。不可抗力だろう、許してくれ。
しかし、また話せて、話しかけてくれて良かった、素直に嬉しかった。あの様な形で、一生の関わりを終えていたら、死ぬまで心に引っかかる物が、後悔として残るところだった。本心から、出来る事ならエリカとの関係は修復したいと思っていたし。
「あっ! 見て、最初の生徒が入場してきた」
時刻は午前9時を回ったところ。ひと試合目が始まる時間だ。アリシアは隣に腰掛け、観戦モードに入っていた。




