第30話 目覚めの朝
また……夢を見ている。
狭い木造建築のボロボロの家の食卓に座る子供が二人。両親を失い、貴族様の領地にある村に住まわせてもらっての初めての夕食。
村の誰かの家庭に一緒に住まわせて貰うことも考えていた。けど、当時は村の人達に余裕なんてなかった。
国からは空っぽの廃村を渡されただけ、何もしてくれなかった。いや、難民であるオレ達に国民としての権利を与え、住む土地を提供してくれた。それ以上の事を望むのは欲張りなのかもしれない。
けど、今の温かい村の様子とは違い。皆んな、悲しみに触れて、活気もなかった。
卓上の上には、子供が作ったといえば、納得できる完成度の料理が並んでいる。
そう……不慣れなのに頑張って作ってくれた料理。美味しかった。
「ねぇ。ユウ、寂しくはない? 今からでも遅くないんだよ」
「なんで? だいじょうぶだよ。だって、姉さんがいるもん」
「そう……。私もユウさえいてくれるなら」
そういえば、その辺りからかな、姉さんは変わった。
勿論、いい変化だ。
当時は、今とは印象が異なり、黒い長髪の優しい姉さんだったけど、強くて優しい姉さんに変貌した。
でも、オレはそんな頼れる姉さんが……。
「ねぇ、ユウってば! もうそろそろだよ!」
誰かが肩を揺すって、オレを起こそうとしてくる。まだ少し寝たい気分なんだ。
ほっといてくれよ。
「こんな緊張感がない大バカには、お仕置きが必要なのよ」
そんな声が朧に聞こえたと思うと、急に耳元で自動車のクラクションに似た音が鳴り響く。音の衝撃が耳を襲い、そのあまりのインパクトに、思わず声をあげてしまった。
見ると二人は、オレのリアクションが面白かったのか、くすくすと笑いあっていた。
「おいおい、起こすにしてももっと方法あったろ」
「ごめんなさい。でもテスト本番の日に寝坊しそうになってる人が悪いと思わない?」
「そりゃ、そうだが……」
しょうがないだろ、昨日は長期の移動で身体はガチガチに疲れたし、試験のことを考えると流石に緊張して寝付けなかっただから。
ていうか朝から元気なことだ。皆、狭い式車移動で疲れた顔してただろう。アミーなんて乗り物酔いしてたくせに。
「ほら、さっさと準備して」
「遅かったら、先いっちゃうよ〜」
「わかってる、今準備するって!」
時刻は朝の7時。オレたちは、試験会場となる。国立魔術学院に向けて出発した。




